大鎌の女性からの依頼
暗殺者レイザック・フォーチェルは、王国の第二王子を狙った任務の最中、あまりにも間抜けな理由――床で滑って捕まり、公開処刑にかけられてしまう。
観衆の罵声の中で処刑され首を落とされた彼だったが、死の直後に「世界の境界」と呼ばれる場所で神と出会い、なぜか現世へと戻される。
処刑場で再び体をつなぎ生き返ったレイザックは、人々から「悪魔の子」と恐れられながらその場を去る。
翌日、何気なく立ち寄った教会で彼が目にしたのは、血に染まった礼拝堂と、そこに立つ一人の女性だった。
それは、処刑場でただ一人沈黙していたあの女性。
大鎌を背負った彼女は、レイザックにこう告げる。
「――神を殺すのを、手伝っていただけませんか?」
「――神を...殺す?」
「はい。どうか手伝っていただけるでしょうか」
この女性は何を言っているんだ。そんなの、あまりにも無謀すぎるのではないか。
そもそも、あの境界に生身で行けるのか?
「――とりあえず、それは依頼......であってるん...だよな?」
「そう、なりますね」
その女性は、顔をうつ向かせながらそう発した。
「――どうか引き受けてくれませんか」
そんなふうに俯きながら言われると、何か返さないと申し訳ない気がする。
「とりあえず、神までの詳しい情報など知らないのか」
「いえ、序列だけしか知らなくて」
「序列、なんだそれ」
どうやらその彼女の話によると、
<信者→神官→神の御使い→十一神徒→神>
という序列で決められているらしい。
十一神徒は神直属の精鋭部隊であり、各所に役割が割り振られている。
そして、各地域に散らばって教会で仕事をしている...そう。
「そのくらいでいいや。それで......後ろのやつって、死んでんのか?」
後ろのほうを見ると、大量の人の服が血で染色されているのが治まっているのがわかる。
「それは、大丈夫ですよ。少し気絶させてから裏腿に切り傷を付けた程度ですので」
「...殺さないのか」
「そうですね。神以外には興味がありませんので」
神以外には興味がない...か。
「わかった。手伝う。ただ、契約書がないんだよな。口頭でいいか?」
そんな問いに「大丈夫ですよ」と彼女は答えた。
「わかった。俺はアイザック・フォーチェル。つってもそっちから依頼したからあなたはわかるのか」
「そうですね。私は、グラーヴァ・ネフィト・ガートランドと言います」
「こんな状況騎士団なんかに見られたらまずいことになるぞ。あいつら教会にかかわると途端に過剰になるからな」
「そうですね。今のうち...に......」
そういって出口に目を向けたら...もう遅かった。そう、騎士団に見つかっちゃった。
「こんなところで何を.......って人が殺されているじゃないか。全員、この殺人犯たちをすぐさまに生け捕りにしろ」
そんな合図とともに数人が襲ってきた
「どうする?戦うか?」
「そうですね。ここで逃げてもおってくるだけですからね」
俺とグラーヴァは戦闘態勢をとる。
俺は単純な拳だけの戦闘をした。騎士団に斬られたって問題はない......だが、一応できるだけ生存できるようにして立ち回った。
グラーヴァは、大鎌を振り回しながら、騎士団の防具を切り裂いていた。
「後ろ、がら空きだったぞ。もう少し警戒したほうがいいんじゃないのか」
「そうだね、ありがとう」
その後も、俺は突っ込んできた騎士の腹に拳を叩き込む。
鎧越しでも関係ない。男はそのまま壁に叩きつけられた。
そんなこんなしているうちに制圧できたみたいだ。
そっからこの教会の神像の目の前に立ったグラーヴァが大鎌を振り下ろした瞬間。
「ガッシャァァン!ガラガラ」
そんな音を立てながら崩れ去った。
「像を壊すのに意味があるのか?」
「一言でいうと、神の力が弱まる」
「弱まる?」
そんなことなぜわかるんだ。
「そんなことより。これからレザって呼んでいいかな?」
「......ああ。別にいいけど。じゃあこっちからもネフィイって呼んでいいか?」
「うん。それでいいよ」
そこから二人の長い旅は始まっていくのであった。
今回の物語を最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
アイザック(レザ)とグラーヴァ(ネフィイ)の無謀で危険な挑戦や、二人の絆の始まりを描くことができて、とても楽しかったです。
神や騎士団という大きな力に立ち向かう二人の姿を通して、少しでも「勇気」や「希望」を感じてもらえたなら嬉しいです。
これからも二人の物語は続きます。読んでくださる皆さんと一緒に、その冒険を見守っていけたら幸いです。




