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距離バグ幼馴染みとのVRMMO攻略記  作者: 暇杉小次郎
開端綴るは双極の冕旒
9/17

天使の実力

「結構敵が多かったな」

「だねぇ、私疲れた~」


魔力回復ポーションを買ってなかったら今頃街の方でお留守番だったか。


ただでさえ魔力消費が激しいのに金の消費も激しいとかクソすぎるだろこのビルド。


「にしても、遺跡スッゴいね~」


そこはかとなく小並感がする物言い、そのまま遺跡を見渡している。


「どっかにダンジョンとかありそうじゃないか?他プレイヤーもちらほら居るし」


何かのクエストに必要なのか、遺跡の隅々でなにかの植物を採取しているプレイヤーを見つける。


後はパーティーとかソロプレイヤーがちらほら。


初心者エリアだからプレイヤーが多いのは分かるけどパーティーが多いのは何故か?


どこかしかにダンジョンかそれに匹敵する旨味があるなにかがあるとしか思えないよな?


「パーティーと言えばだけど俺達登録してなかったじゃない」

「あ、ホントじゃん!フレンド登録もしてない」


危ない危ないこの反応、マジで忘れていたらしい。


「ほら、申請送っといたから承認して」

「はいはーい」


さっとメニューを閉じる。


フレンド欄を開けばアルカと百合園の名前が……俺は何も見なかった。


――登録してたのかよあの二人


「おーすっご、あーくんのHPが見えるよ」

「お前のもな、これでお互いカバーしやすくなっただろ?」


辺りを見渡す、遺跡とは言っても失楽園と同じぐらいか。あの街を更に風化させればこうなるか。


心なしか植物も多いしここら辺はなにかしらと植物に縁があるのだろうか?


とりあえずやることは……


「あーくん!なんか見つけたー!」

「……早くね?」


相変わらずなにかを見つける嗅覚は犬並だこと、近くに行ってみれば確かに下へと続く階段が。


それを下ろうとすると謎のバリアに拒まれてメニューが表示された。


「【繁茂した遺跡内】か、でかしたぞルナ」

「ふっふん!ここにパーティーが入ってくの見つけちゃったんだよね~」


他プレイヤーはそもそも攻略サイトを使わないなんて縛りプレイしないだろうしな。


そもそもパーティーの出入りが多いなら中は大混雑してそうだけど。


「インスタンスが別れてる感じか」

「インスタンス?それって確か他プレイヤーとは分けられたワールドに行くって感じだよね?」

「そそ、ダンジョンなのにモンスターどころか他プレイヤーしか居ないなんて嫌だろ?」

「確かに~」


インスタンスが無ければそもそものエネミーとか宝箱とかの子競り合いになってPKも……そういうMMOもいくつかはあるけど。


「んで、どうする?入る?」

「もっちろん!」


そりゃそうなりますよね、ルナだもん。でもダンジョンとなればある程度の難易度は覚悟しなければいけないか。


インベントリからアイテムを取り出してルナへと譲渡する。


「え?回復ポーション?」

「お前が壁なんだから、死なれたら困るだろ」

「ありがたいけど、どこからそんなお金でてくんの?」

「……昨日色々頑張った」

「そうなんだ?」


そこからは深く追及しないらしい、アルカから腐るほど頂いたなんて言えない。


言ったら芋づる式に根窟街のこともバレてしまう


そしてバレたら絶対行きたがる。つまりそういうこと。


「早く行きたいから、さっさと準備完了にしてよ」

「はいはい」


マナは勿論満タンだし魔法具も起動済み、オッケー準備完了だ。


俺らと迷宮を隔てていたシステムの壁が消え去り階段を下れるようになった。


この感じ、根窟街へと下るときと同じだ


ワクワクするけど、恐怖もある


「先が見えないね~!」

「……あぁ、そうだな」


まあ、こいつが居れば安心か


先の見えない階段を下っているとふと視界が暗くなった。


視界が晴れると迷宮内?ダンジョンまでテレポートさせらたのか。雨が降った後のような草の匂いが特徴的だ。


改めて回りを見渡して確認。隣でルナが目をぱちくりとさせていた。


確かに【繁茂した遺跡内】らしい、全面が緑に覆われている。


「この匂い、ちょっと嫌いかなぁ」

「そうか?俺は結構好きだけど、とりあえず先進もうぜ」


内部はまあかなり広い、遺跡内というかもう洞窟じゃないだろうか?


「敵だ、前は頼んだ」

「オッケー!フレンドリーファイアはやめてね!」


勢い良く駆けていく天使。


「安心しろ、運がよっぽど悪くなければクリティカルはでないさ」


相手は苔むしたゴーレムが複数、幸いルナの剣なら支障を期さないぐらいには広いエリアだ。


集中……十個の火球を一度に生成する、意識して火球を複数操れるのは現状これまで。


これをオーバーしたらそもそも操作を受け付けずになにもできなくなる。


これを十回すればクリティカル確定一回分、渋いけどまあ道筋があるだけ良いだろう。


「――せいやっ!」


ちょうど良く、ルナが一体の腕を切断した。


天使とか嘘だろ、こいつにはヴァルキリーの方がお似合いだ。


「ちょっとは残してくれよっ!」


後ろからルナに攻撃をしようとしているゴーレムに火球を撃ち込む、一つクリティカルが入ったのか一際大きい爆発でゴーレムを倒せた。


幸先良し、火球再充電。できるだけ早く、もっと早く!ルナのスピードになんとしてでも食らいつく。


「とっ!ほっ!はいよー!」


当の本人はアクロバティックな動きでゴーレム複数体を翻弄中、腕を切り胴を切り裂き首を取る。


あいつ言うてステータスに振ってないだろ、リアル運動能力が反映でもされてるのか?……こわ


「全滅ぶいっ!めっちゃ動けて楽しい!」


可愛らしくするピースサインも、あれを見た後だとなんか怖いな。笑顔のまま殺られそう


「……楽しいようでなにより」


ゴーレムのドロップ品はなんかの欠片とコアか、まあ拾っておいて損はないはず、インベントリ重量も今は気にする必要はないぐらい空いてるし。


しばらく二人でダンジョンを進む、球体のゴーレムが出たり壁を突き破ってくるドリルゴーレムにビビったり兎に角前に進んでいく。


隠し通路的ななにかも探しながら進んでいるがなにも無し。


「扉があるな」

「ボス部屋!?」

「そうじゃないか?ここら辺セーフティゾーン扱いされてるし」

「わっは!親切でありがたし~」


近くの平たい石に座るルナ、ついさっきまでゴーレムを惨殺していたとは思えないな。


こいつが休み終えるまではドロップ品でも見ておこうか……


「ねぇあーくん」

「ん?どした」

「魔法って便利だよね!」


座ったまま足をぶらぶら揺らしながらこちらを見ている。


「便利だけど?どういう風の吹きまわしだ?」

「いやさ?あーくんは別だとして水とか火とか雷とか!いっぱい使えるのすっごい面白そーだなって!」


目をキラキラさせながら言うルナ、昔っから興味が移りやすい方ではあったしこの疑問はまあ当然か。


「そもそも俺は火と闇の属性しか使えないけど」

「え?そうなの?」

「魔法使いのジョブで選べる属性一つと悪魔の種族がデフォルトで覚えている闇属性で2つ、そもそもそんなに複数属性使えても全部は生かしきれないだろ」


そういうもんなんだ、と興味をなくしたように口を閉じた。この反応、さては気づいていないな?


「ルナも魔法使えるぞ?聖属性」

「……へ!ホント!!?」


食らいつくなぁ、そもそも天使自体魔法に優れた種族だってキャラメイクの時説明に書かれていたはずだが。


「そもそも天使の種族は悪魔と同じで初期に聖属性の適正がある、らしい。それをなんとかすればまあ……使えるんじゃね?」

「なるほどっ!ぐぬぬ!」


力んだように魔法を出そうとするルナに少し笑みが溢れる。


「なんかっ!流れた感じがする!」

「じゃあそれでなんか出してみ?聖属性の球体とかイメージしながら」

「オッケー!ふんんん」


手を前に突きだしてまた力むルナ、でもなんもでない。魔法職で始めたときなんとなく使い方は理解していたけど近接職では違うのだろうか。


いや、そもそも初手からプレイヤーになんとなく魔法を使う知識を与える技術ってなんだよ。


ハイテクすぎてわかんねえ


「無理っぽい……」

「まあ時間が経てば使い方も分かるだろ」

「まあそっか、気を取り直してボスいこ!」

「変わり身が早いなおい、まあいいけどさ」


ボス部屋のドアに手を掛ける、ひんやりとした温度が手に伝わってきてやっと今からボス戦をするのだと実感が沸いてきた。


「――行くぞ」


このゲームで初めてのダンジョンにボス、高揚しないわけがない


ガチャリそれを開こうとした時、後ろからくすりと笑い声が聞こえてきた。


「……どした急に?」


後ろを向かずに聞いた俺に、更に近づく気配を感じた。一体何が目的だ?


「あーくんとゲームするの、やっぱ楽しいなって」


鼻息が首筋に触れて、全身に鳥肌が立つ気がした

アバターには何の変化も無いと言うのに


「……そ、いい加減俺以外のゲーム友達作ったらどうだ?そして紹介してくれよ、ボッチ脱却したいし」


ただの強がりだと、分かったのか鼻で笑われた。


「ふーん?嫌だ」

「そっか」


本当に、この幼馴染みは何がしたいのか。昔っからゲーム友達作りたがらないんだよな、こいつは


俺は雨晴遊が好きではない


好きではない


好きじゃない。


考えても仕方がないので、身に任せて扉を開いた

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