しっ!こんな変態達見ちゃいけません!
「根窟街タルタロスか、こんな隠しマップがあるんだな」
「えぇ、攻略サイトには載せられないと言う点も相まって名前通り一種の裏社会が形成されてるところでもあるのだよ」
つまりアルカ見たいな変態が跋扈しているのがこの隠しマップって事か。てかあれ?
「攻略サイト……ロールプレイ?」
「ん?あぁ、ここからはメタ的な説明を交えなければ説明をするのも難しいのでな。ここからは少しだけロールプレイを外させて貰うよ」
別にこのマップまで摩訶不思議に誘導するのがわたくしの目的なのであーる!とか言いながらくるくる回る本人、口調とかの本質的なロールプレイを外す気は無いらしい。
え?これが素の可能性だって?
んなもんあってたまるか
「んで、俺をここまで案内してくれて嬉しいんだけど。ここで何ができるんだ?」
「うむ、まあ表ではできないことは大体なんでもできるぞ?あと初心者が辿り着くこともごく稀であるし……相対的に変態も多いのだよ、わたくし見たいに」
「あぁうん、分かりやすい解説どうも」
つまりこの裏マップ、一種の情報収集場所としても使えるな。変態ってのが気になるが。俺と同じLUCビルドもどこかには存在しているだろうし
「噂をすればなんとやら、ちょうど知り合いが歩いてますな」
「おお、イケメンだ」
このゲームを初めてたったの一日、だけどそこら中にイケメンが居るのは身を持って知っている。
その肥えた目を持ってしてイケメンだと思える青年が前方に一人。なんというか存在感がキラキラしてる気がする。
こちらに気づいたのか、少し早歩きで近づいてきた。
「ご機嫌麗しゅう、我がコメラードよ」
「大袈裟な所作は相変わらずだね、アルカ」
ん?
別に動きも顔も装いもイケメンなんだが、なんか違う気が。
やべっ目が合った。背中がゾワゾワするのなんで?
「へぇ?また初心者連れてきたんだ?せっかくなら女の子連れてきてよ」
「いやわたくしも女性を連れてきたいと思っているのだよ?でも大体わたくしを見ると逃げ出してしまうのだ、実に悲しいことである」
「その仮面外したらどうだい?君の素顔を見れば良い意味で落ち着くと思うよ?」
な、何か違う!
凄くごわごわする感じが胸のうちに広がる気がした。男の目から見てもイケメン、凄くイケメンだ。
でもこの感覚……かわいいVtuberから野太い声が出るような感覚が。
そもそも声からしてこの人は――
「おっと紹介し遅れたなコメラード、この者は百合園。魅力ステータスに置いては右を行くものはいない……生粋の女性好きであるな」
「コメラード、ねぇ?」
コメラードと呼ばれた俺を興味深そうに見る……男性?
「今度は変態見つけてきたのか、ギルマスが喜びそうだね」
目線はそのまま、近づけた顔を離して彼は言う
「そこのアルカが言った通り私は女の子が好きでね、女の子に囲まれたくて男アバター作っちゃった☆」
「なるほど……業が深い」
「言うと思った!」
もう、なんつーか……ルナが恋しいッ!
ここ変態しか居ねえじゃねぇか俺も大概だけどさ
「ちょうど良いことだ、そこのカフェで少しこの初心者の相談に乗ってみないかね?」
「ふーん?まあこの子も普通のプレイヤーじゃ無いみたいだし、オッケーいいよ。ちゃんとアルカの奢りでね?」
「ええ、それで手を打ちましょう」
トントン拍子で決まっていく話、もしかしなくてもすっごく貴重な質問ができるのでは?
「えっと二人とも、ありがたいんだけど本当にいいのか?」
「ハッハッハッ!今さらであるな」
「まあ普通のプレイヤーならもう少し扱い変わってただろうけど、アルカ公認のコメラードなら話は変わるかな」
コメラードって言葉に一体何の意味があるのか……ありがたいんだけど遠回しに変態って言われてるよなこれ
二人に付いていって例のカフェとやらに来た、外観はまあ普通かな。
【ケモミミエンジェルマタタビ】とか言う名前に目を瞑れば。
うん、目を瞑ればね……
「うおっ癖」
「うっひょー!いつきてもいいね」
「こういう店もあるのがこの街の醍醐味でありますな」
店内はもう癖よ、メイド服を来たケモミミが大量に居た。一瞬キャバクラか?なんて思ったけどこのゲームでんなわけはないと――
「にゃ!百合園様にアルカ様、お久しぶりですにゃ!誰を指名しますにゃ?」
――思っていた時代がありました
「え……え?」
「ハハハ、安心しなよちゃんとR15ぐらいだからここは」
「今日は通常席で頼む」
「分かりましたにゃ!そちらのご主人様は?」
「あ、えっと二人の連れのアマミです」
「アマミ様!初のご来店ありがとうございますにゃ!では付いてきてくださいにゃ」
何がとは言わないけど胸の露出が……
「こんな所が存在していて良いのか?」
「うーん?だからこそ隠しマップにしか存在しないんじゃないの」
そう言われてしまうと反論はできない、か。このゲーム自体r15+だったはずだし……もう考えないでいいか、うん
「店内はまあまあ普通なんだ」
「これでも分類上はカフェであるのでね、座りましょうか」
「こちらメニューですにゃ!」
「ありがとうね子猫ちゃん」
ウィンクする百合園、それを見て子猫と呼ばれたNPCは顔を赤らめて逃げていった。
えぇ?そんなんなる?
「相変わらず魅力を磨いているようでなによりだよ、百合園氏」
「そもそも魅力なんてステータスに無いんだけど、隠しステータスってやつ?」
「うんうん、バリバリの隠しステータスよ。上げ方は企業秘密ね」
人差し指を唇につける所作もかっこ良くなるの、ずるいなぁ。現実なら絶対キツイのに。
こほんっと咳をしたアルカ
「では始めましょうか?わたくしは大まかなビルドの把握はできているが百合園氏にも分かるように詳しく説明してくれるかね?」
「了解、俺のビルドはまあ珍しく無いかもしれないけど魔法使いのLUCビルド。やること自体は単純で兎に角魔法を当ててクリティカルの威力を上げるだけっていう」
「うげっLUCビルドか……」
苦い顔をして顎に手を当てる百合園、そのとなりでアルカも考えているようだ。
「そうだね、まずLUCビルドで火力を出せたプレイヤーは見たこと無いかな」
「わたくしも同じく、わたくし達二人が知っているLUCビルドのプレイヤーも大体は攻撃を捨てているのです」
「そ、そんなに?」
のっけからビルドの根本を否定されたんだが?泣くよ?
難儀なビルドにしたね、と百合園から一言。このパンゲイアオンラインがサービスを開始してから三ヶ月、多くのプレイヤーを持ってしても攻撃面では無理だと判断されたのか。
「そもそもの問題、LUCビルドの礎となるサブジョブの特性からしていけないんだよねぇ賭博師だっけ?」
「ああ、このサブジョブがなかったら結局LUCってドロ率とクリ率上がるだけだし」
「確かに火力をだしたいなら兎に角魔法を放ってクリティカルを伸ばすしかないだろう……そのうえにサブジョブ特性からなる火力の低下をなんとかできれば……不安定性が一番の敵だからねLUCは」
言葉に詰まる二人、とどのつまり現時点でこのジョブのデメリットを消すことはできないと言うことだろう。
「とりあえず参考になるかもだから私たちが知ってるLUCビルドのプレイヤー二人を教えようか」
「ふ、二人だけ……?お、お願いします」
「一人目はうちらのギルマスかな」
「マジ……?」
リアクションが予想通りだったのか、心底楽しそうに笑っていた。
「私とアルカ、あと一握りの変態ビルドのプレイヤーが存在するのが私たちのギルド【コンキスタ】」
「そしてわたくし達を束ねるギルドマスターこそが君と同じLUCビルドであるのだよ、目指す場所はある意味逆ではあるが」
俺と逆、つまり火力ではなく耐久面でのビルドか。参考になるとこはあるかもしれないし、会えると良いな。
「ギルマスの都合ができたら紹介するよ」
「次、賭博街に入り浸る問題児……はやめておきましょうか」
「あれはちょっと参考にするどころじゃないからねぇ」
苦笑い気味に言う二人、察するにLUC極振りのギャンブル中毒と言ったところか。
うん、気になりはするけど参考にするもんじゃないな
「参考になったよ、ありがとう二人とも」
「お力になれたようなら何よりなのであーるよ!」
「うんうん、かわいい知り合いが居たら是非とも紹介して欲しいな!」
……絶対ルナと会わせないようにしよう
その後は頼んだメニューも来てアドバイスを聞きながら時間を過ごした。
「……なにを、してるのかな?」
「なにって、チェキに決まってるでしょ!」
「にゃん♡」
「そこのメイド様、もっとわたくしの近くによってくだされ!」
ちょっとかっこいいとか、すげぇ優しいとか思い始めてたのに。
……台無しだよこの野郎!
心のなかではそう言うけど、自分も誘惑に負けてチェキに参加してしまう深夜だった。
一日目
完




