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距離バグ幼馴染みとのVRMMO攻略記  作者: 暇杉小次郎
開端綴るは双極の冕旒
6/17

ロールプレイヤー

「負けた……」


幸い初心者プレイヤーなのもあってデスペナルティーからは逃れたけど。ただ一つの事実が気持ちを落ち込ませる。


「うぅ、負けたぁ」


あの時点での最大火力で、負けた。勿論ゲームなのだからしょうがないし、ワクワクしてる面もあるけど。


……だけど、あれはさすがに勝ったと思った


こんな時に、ルナが居ればなんて思うのはダメだよな。


「あのクソ猪、いつかリベンジしてやる」


はたまたレアエネミーなのかエリアボス的ななにかなのかは分からないが、少なくとも初心者エリアで出る敵なのだから攻略法はあるはずだ。


そうこう考えていると時間は既に2時の半ば、ついさっき寝たあいつはそりゃもうぐっすりだろうな。


にしても


「意外と印象変わる、よな」


現実と同じく現在は夜、ここは自然に囲まれた街。だけど暗いなんて事はなくてファンタジーな植物が旨い具合に街を照らしている。


少なくはなったけど人は相変わらず大量に居るし。分からないけどリアルと違って空気も清んでるような気がした。


「男女の二人組……意外と多いな」


普通のMMO、人気なのだとファイネストファンタジーとかだとゲーム内結婚もざらにあったと言うしここでは更に身近な事になるんじゃないだろうか。


現実とほぼ変わらない、下手をすれば現実よりもいいかもしれない仮想空間。


そう思うとこの世界での結婚式も全然あり得る気がしてきた。


まああいつとは絶対起こり得ないだろうけどさ、やっぱ――


「いいな、相手が居るって」


これでも月並みの男子高校生なのだ、こういうのに憧れるぐらいバチは当たんないだろう。


いかんいかん、何を考えてるのか。ゲームなんだから恋愛なんて必要ないだろう出会い厨じゃあるまいし。


とりあえずもうログアウトして明日また考えようか?遊とレベルを引き離しすぎるのもなんだし。


よし、そうしよう。そして明日また――


「そぉこの少年よ!」

「ん?」


変に間延びした凛々しい男の声、ログアウトに手を掛けようとしていた俺の手を止めた。


辺りを見渡すも何もない、勘違いだったかな?


「先程の独り言!聞こえていたぞ少年!」

「え――はあっ!?」


な、なんだこいつ……急に目の前に現れたんだが、なんか変な仮面着けてるし。


「あ、新手のモンスター?」

「心外だなぁ少年、ただこのワタァークシは君の独り言に共感を抱いてやってきただけなぁのだよっ!」


ねっとりとしたしゃべり方に言葉の節々で行われる奇っ怪なアクションとポーズ……な、なんか変なのに捕まった。


「ふぅむ……?おっと申し遅れたな少年!わたくしはさすらいのマジシャン!適当にアルカとでも呼んでくれたま~へ!」


そう言ってお辞儀をする謎の仮面プレイヤー、名前がプレイヤーネームが表示されないのは設定か


この動向を見るに所謂ロールプレイってやつなんだろうけど、そういうのあんまりわからないんだよなぁ俺。


「え、えっと……旅人?のAmam1(アマミ)だ、よろしく頼む」

「ほうほうほう、見ての通りであーるなぁ!」


どうやら返答が気に入ったらしい、更にアクションを大袈裟にしやがった。


……深夜になにしてんだろう俺


「それで?なんのようなんだアルカ?」


待ってました、と言わんばかりのポーズで俺に人差し指を向けるアルカ。仮面付けてるのに何故か感情が分かるのは何故なのか。


「そうそうそーう!この幸福なカッポーまみれの広場で一人寂しくしている旅人のき み に!良い場所まで案内してあげようと思っただけなのであるよ!ん?」


後ろを向いて来るのか?と問うように顔だけ向けてくるアルカ。恐らく相当な先輩プレイヤーだし、良いところがあると言うなら付いていっても良いか。


「そうしてくれると思ったぞ少年っ!!!ではついてきたまへ!」

「ちょ、ちょっと速いって!」


全速力で駆けてくアルカを見失わないように走る、遊……ルナといいこいつと良い、プレイヤーってのはとりあえず走らないと気が済まないのかよ!


「いったいどこに行く気だ?」


既に門を通って平原のエネミーエリアへとやってきている、街を囲む大きな壁を回り込むように走って、やがて一つの小屋へとやってきた。


走りすぎて息が上がる、スタミナなんてあるのなこのゲーム。


「こ、この小屋が良い場所なのか?」

「そうであるが、厳密には違うなぁ!」


戸惑う様子もなく小屋の扉に手を掛けるアルカ、その隣にいきなりゴーレム?がスポーンした。


何かしらのギミック?と、兎に角魔法を……いやっ、注意しないと!


「あ、アルカ!」

「ふっ」


指パッチン一つ、それだけで謎のゴーレムの四肢が弾けとんで消えていった。


「気にするな少年、もう慣れたギミック故」

「お、おう……つ、強いんだな」


何をしたのかが見えなかった


確かサブジョブにマジシャンなんてのもあった気がするけど……指パッチン一つでモンスター倒せるもんなのか?


「わたくしより強いものなんていくらでも居るさ、わたくしの力なぞ所謂弱小、変態と呼ばれる物である。」


弱小、変態ねぇ?つまりどこかしら俺のLUCビルドと同じ欠点があるってことか。


「……アルカもそうなのね」

「ほう……?まあ、少年も入りたま~へ!」


手招きされたので小屋へ入る、ボロい見た目にしては妙に手入れされてるようだ。


「少年もそういう感じかね?」


おそらくビルドの話か、振り向かず部屋にある無数のランプに火を灯していくアルカ。


「ええ……まあなんというか、運任せの魔法使いってやつというか」

「――運?えっLUC??」

「そ、そんな感じ」

「う、うわぁ……」


明確に引かれてる……ちょっと今地声出たよなこの人、LUCビルドってそんなにヤバイのか。


「う、うーむ!……お主もわたくしと志を共にするコメラード(同志)であったか!尚更歓迎するぞ、コメラードよ!」


すべてのランプに火が灯り、壁が開いて螺旋階段が顔を出した。


「おぉ、隠しエリアってやつか」

「うむ!聖なる神々の式典にも記載できない場所であるぞ!」


聖なる神々の式典……攻略サイトか?


「そ、そんな貴重な場所に」

「遠慮するなコメラード、わたくしの気まぐれさ」


螺旋階段を下っていくアルカの後を付いていく、上の方で隠し扉が閉まる音がした。


どんなとこに出るのか?隠しダンジョン?隠しショップ?ワクワクしてきたな


階段を下りきると木製の扉が一つ、アルカがなにもいわずにドアノッカーで三回ノックするとガチャリと扉の開く音がした。


開くドア、固唾を飲んで後を追う


「ここは……」


なんだよこれは……裏世界?


上を見渡すと、天井が()()()()()()で覆われていた


プレイヤーはまばらにいて一直線の道路の横に屋台がいっぱい並んでいた。道路を照らすのは上と同じ光る植物、だけど色が違うな。上の黄色やオレンジとは違ってここは青


全体的に薄暗くて風は吹かないし、上とはまた違った幻想的な雰囲気だ。


「ふふふ、ようこそ我がコメラードアマミ」


クルっと回ってお辞儀をした


「ここは《《裏世界》》【根窟街タルタロス】であーるっ!!!」





ここまでお読み頂いてありがとうございます

良ければ評価や感想をしてくれると絶叫しながら喜びますm(__)m

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