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距離バグ幼馴染みとのVRMMO攻略記  作者: 暇杉小次郎
開端綴るは双極の冕旒
2/17

月と鼈の体現者

『遊ちゃんおはよ!……あっ、天見君もおはよ』

『おっはよ~!』


雨晴遊は()()()()で天見歩は()()()、俺は雨晴遊のおまけだ。


「なあ、天見!ちょっと雨晴さんの電話番号教えてくれよ~!お願いだから!この通り!」

「……幼馴染みだからって持ってるわけないだろ?」

「じゃあ紹介してくれるだけでいいからさ!」


教室に一人で居れば雨晴遊の幼馴染みと言うレッテルのお陰で絶えず男子が寄ってくる。


そこには結局友情なんてもんはなくて雨晴遊の幼馴染みが居る。天見歩はその瞳に写っていない。


誰しもが言う。


『お前ら幼馴染みってマジ?マジうける、釣り合ってなさすぎ』


月とすっぽんなのだと、お前ら二人には決して埋まることの無い差があるのだと。


いつも言われてきた。


「今日もここは平和だねぇ……」


慣れ親しんだ校舎裏、何故か佇む廃れたベンチに腰を掛ける。高校入学からずっと、ここだけが居場所だ。


「あーくん!」

「……」


……そんな居場所もたった一人の存在によってぶち壊されるのだけど。


「あーくん!聞いてる?」


どこからともなく、横から顔を出して来た幼馴染みを横目で見る。これは……めちゃくそ探してきたって顔してるな。


「……聞いてる聞いてる、地球と火星における公転周期とその違いによるテラフォーミングの難易度についてだよな?」

「……?って聞いてないじゃんかこのバカタレ幼馴染みは……」


はっきり言ってうざい、鬱陶しい。この目の前に写る美少女に付きまとわれる事が鬱陶しいとかどれだけ贅沢なんだよ?とか言われることが多いけど。


よく考えて欲しい、四六時中、朝昼毎晩、春夏秋冬、この幼馴染みは犬のごとき嗅覚で居場所を嗅ぎ付けてやってくるんだぞ?


たまったもんじゃない。


きっとこのコミュ力お化けは一人で考えると言うこと、むしろ一人と言う言葉が脳の辞書に書かれていないんだろう。


「あーくんのクソバカ理論……は後で聞くとして、このテストの事だよあーくん!」


眼前に見せつけられる数学のテスト用紙、赤点ギリギリでもないそこそこと言ったところの点数。


おぉ、適当に答えた所が当たってんじゃん。

ラッキー


「上出来じゃないか?」

「どこが!?ここ!こことか途中めんどくさくなって答え適当に書いてんじゃん、もっと高得点取れたって!」


出たよ事あるごとにもっとできると謎の鼓舞をしてくる指示中幼馴染み。これでも成績上位者なのも更にうざい、越えられるかっての。


「別に良くね……?あといい加減人のテスト用紙勝手に貰ってくんの辞めなさい」


残念なことに先生からの信頼も厚いこの女。こいつの一言だけで先生も生徒もだれしもが首を縦に振る。


ただかわいくて性格もまあ良くてコミュ強で運動神経あたおかのこいつのどこにそんな信用される要素が?……ありまくりだなおい。


「いいか遊?生まれてこのかた俺と毎日会ってきたお前なら分かると思うがな?俺は努力を怠る努力をする人間なんだ。そんな人間がテストをまともに受けるなど言語道断だと思わないか?」

「またでたよあーくんのクソバカ論理、あー言えばこう言う、だから彼女できないんだよ?」


……俺にだけ謎に毒舌なのも辞めて欲しい。そういう些細な扱いの違いでも男は勘違いしてしまうんだぞ?俺は勘違いしないけど


「お前だって年齢=彼氏居ない歴だろうがアホ女」

「いや、やろうと思えばすぐ作れるし」

「……正論デスネー」


はぁつっかえ、相手するの疲れるし無視だ無視


「あぁすねちゃった、意外とすぐ拗ねるよね?あーくん」


耳元を吐息がくすぐった、横目で少し見えるぐらいだけど間違いなくこの女は超至近距離に居る。


イコールヤバい


「そんな子供みたいなあーくんに朗報でーす」


……どうだクラスの愚民共、幼馴染みの生ASMRを聞けるやつなんて少なくとも俺ぐらいだろう?


なんせコイツは距離感がバグってるのだから。


心臓がロックを奏でても俺は男らしくこの瞬間を享受させて貰うぜ!


「ふーん?……はいっ、サービスタイム終了」

「いっだ!やりやがったなてめぇ!」


割と痛い方のデコピンをかましてきた幼馴染みの顔面にアイアンクロー。男心を弄んだ罪はでかいのだ。


「アイアンクロー、いつまで食らいたい?」

「ちょちょちょ!ごめんって!ほ、ほらこれ!いい()()()見つけたから!」


手を震わせながらご丁寧に梱包された包みを渡してきた、どんだけアイアンクローが嫌だったのか分からないが内容によっては減刑してやる。俺達二人の間でゲームはそういうものだ。


「なになに?……へぇ?VRMMOか、また新しいの持ってきたね」


VRMMO、今際大沸騰中のゲームジャンル。それにコイツが持ってきたのはその話題を起こした超有名タイトル。


「プレイヤー一人一人が歴史を刻むMMO、『パンゲイアオンライン』か、最近大型アップデートが入ったってちょうど気になってとこだよ」

「ふふふ、パッケージからしてそそるでしょ?」


なんせゲームこそが俺らの幼馴染み関係を続かせていると言ってもいい。こいつは子供の頃からたまに持ってくるんだよな、一緒にやりたいゲーム


「だからさ、あーくん!ちょうど金曜だし久しぶりにやろうぜ!ゲーム!」

「……乗った、ちょうどバイト代入ったし後で買いに行くよ」


俺のライフスタイルは努力を怠る努力をすること。ことゲームにおいては違う。


ゲームでは全てが数値で解決する、現実のような回りくどい才能なんて関係ない。


努力すれば全てを持った天才(雨晴遊)だって越えられる、だからゲームが大好きだ。


精々、全力で攻略してやろうじゃないか


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