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距離バグ幼馴染みとのVRMMO攻略記  作者: 暇杉小次郎
開端綴るは双極の冕旒
13/17

雨晴遊と言う少女について

『宝生の森……草原を進んだ先の森を挟んでエルフの街、確かその一端にそんな森があったはずである』

『なるほど、推奨レベルはどれくらいかな?』


何かを企んでいるらしいみたらし団子さんを待っている間、時間が空いていたらしいアルカにプレイヤークエストの相談をすることにした。


ゲーム内チャット機能、ありがたし。


プレイヤークエストにみたらし団子さんからの依頼と。


色々やることが増えてきて優先順位を作らなきゃいけなくなってきたからこそ相談は大事になってくると思った。


『推奨は確か35から40レベルであるな』

『35から40……か、相談乗ってくれてありがと』

『問題ないのであるよコォメラードッ!』


――この人、チャットでもこんな感じなのな。


……現時点でのレベルは10ちょいと言ったところ、どっちにしてもレベル上げは避けられないか。


みたらし団子さんの方もそれぐらいのレベルは必要そうだし、やることと言えば順当にゲームを進めるだけ……よりも大事なことがあったかもしれない。


俺とルナとの間で全て共有されているプレイヤークエスト、それとは違うみたらし団子さんからの個別の依頼について。


――話すか話さないかの問題


そもそもの問題、この依頼押し付けられたように見えて意外と利が見えてくる。


まず一つ目は標的が()()()()モンスターだと言うこと、いわば不確定性の塊。


このゲームでのユニークがどういう扱いなのかが分からないがそのユニークと接触することで目的の素材以外の何かを入手できる可能性がある。


つまりついさっき()に塩を振ってしまった俺にとって何らかのアドがあることは間違いないはずだ。


俺の目的はあくまでやつとの共闘ではなく越えること、ならばやっぱり言わない方が良いのだと。


心の奥底が言っている


――でも、同時に言いたい自分が居る


それは単に二人の方が有益だからなんてことではなくってもっと……


「終わったよ~!」

「ん……お、おかえり」


帰ってきたみたらし団子さんの後ろには隠しきれていないヘイローが。


さて、と。次は何が来るのか?


「恥ずかしがってないで~前にでな~?」

「は、はははひゃーい!」

「恥ずかしがる?いったい、どう……え?」


初期装備ですら既に破壊力万全だったと言うのに。


――心が洗われるとは、このことか?


「えと、どうかな?」


その全てを見せるように、恥ずかしそうにヒラリと回って見せた。どこかモジモジとしていて、雰囲気が違う。


なるななるな、急に塩らしくなるなルナレイン


冷静に考えろ


天使らしい、とはいえルナらしいとも言える。


ひらひらと少しオーバーサイズ気味の半袖、そして裾を押し込んだ鼈甲色のベストと引き立つ青色のリボン。


下は紺色でショートの……膨らんだショートパンツ?確かバルーンパンツだったか。兎に角それがルナの元気っ娘さを残してくれている。


そしてファッションの良さを殺さないように、軽装と呼べる程度の肩当てと胸当てが鎧としての機能を語っていた。


ファンタジーでありながら、確かに衣装の良さをそのままにできるのはゲームの特権だな。


息を吐く、どうにもこのみたらし団子と言う女性は《《分かっている》》。


何と言うか、うん。


うん、かわいい


普通に激褒めしてないか?とか


――そういう思考は捨てることにした


「……更に天使らしくなった……は違うな、ボーイッシュさと天使らしさが反発し合わずに良くなっていてルナらしいと思う。かわいいぞ」

「そっかぁ!そうだよね!そうだよね!私!やっぱかわいいよね!!!」


先ほどの塩らしさはどこか彼方へ消え去ったらしい、超ハイテンションになったルナの傍ら。


ああ、かわいい。


――と思えば有り得ないものを見る目で見られていた。


「こういうの、もう慣れてるから。とりあえずもうめちゃくちゃ素直に誉めることにしてる」


女の子と言うものは凄く難しい。兎に角難しい。


更にファッションとなるとかなりシビアだ、ファッションにある程度詳しくなるぐらいには。


遊の場合しか知らないが素直に誉めなければすっごく不機嫌になる。それはもう


――すっごく


「君意外とナイスガイなんだ」


心底意外そうに目を見開いている


「ナイスガイっていうか、そうせざる終えないと言うか」


――そもそもルナと言う人間は恋を《《自覚していない》》。故に距離の近さはマジで無自覚、無意識のストーキングも勿論無自覚。


圧倒的勘違い製造マシーン


誇張はするが彼女を前にして散った儚き恋心は俺以外のすべての男子と言えよう。


「しょうがないなぁ、あーくんは。どっか奢るよ~今日は」

「じゃあ神戸牛のステーキ」

「リアルじゃないって」


――だから時たま思う。


もし俺が居なくなったら、彼女は結局一人になってしまうんじゃないかと。


確かに異性の友達は多い、けど俺と同じ水準に達しているものを俺は知らない。


彼女はそれを作らない


余計な心配かもしれないけど。


結局、雨晴遊が恋を自覚するまで恋に落ちてはいけないんだと。俺は思う


――些か手遅れな気もするが。


「じゃあ適当に探すか、レストラン的な場所」

「いいね!パンゲイア飯!あ、みたらしお姉ちゃんありがとうね!」


お辞儀をして去っていくルナを追おうとすると後ろから待ってと引き留められた。


「はい?」

「いや、難儀だな~って」

「……そだね」

「可愛そうだし、お姉ちゃんにしてみない?」


――何を言うか、この人は


「誰にも貰われなかったら、お願いします」

「……おっけ~お姉ちゃん、君みたいな男の子ならウェルカムだよ~」


俺は素直な人間だ、リアルじゃ分からんがかわいいなら良い。そういう普通の人間だ。


手を上げて、外へ出る。


名前も知らないバーチャルの人だ。


冗談なのもわかる。


だけど、気の休めにはなった


溢れ出す何かを見ないふりして、ルナを追いかけていく。

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