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距離バグ幼馴染みとのVRMMO攻略記  作者: 暇杉小次郎
開端綴るは双極の冕旒
12/17

油断大敵

――残念なことに、このゲームには武器や防具の耐久力と言うものが存在する


「ボロッボロじゃないか、お前の剣」

「いやぁ、あとちょっと長引いてたら壊れてたねこれ!」


その典型的例がこちらに、既にレッドゾーンに突入している初期装備の剣。あと一振でもしたら砕けそうだ。


おいたわしや。


「あーくんの本は?」

「俺のはまだ大丈夫、ルナみたいに切ったり叩いたりしてないからな」


ぷくっとハリセンボンの様に頬を膨らまして。


「剣だからしょうがないじゃーん」

「分かってるって」


まずは剣だ、前衛が機能しなきゃ俺も戦えない。


「にしてもさ!」


ルナは夜になった街をくるくると回りながら見渡している。


さながら夜の妖精、だと思う


「うん」

「夜の街、すっごいきれい!」


小並感再び、そういえばルナはまだ夜の街を見たことが無かったか。


あれが綺麗これが綺麗って、ずっとはしゃいでる。頭に浮かぶヘイローが、良く映えてそれよりも遥かに笑顔が光輝いて見えた。


リアルじゃああまり見ない笑顔と言うか。


こんな笑顔、あんま見たことないかもしれない


「昼夜が切り替わるのって何時間だっけ?」

「……確か、四時間だった気がする」

「へえ?意外と長いんだ」


確かに長い、でも夜にしかできないクエストとかあるかもしれないし順当ではあると思う


「ま、雰囲気以外はなにも変わらないしさっさと露店に行こう」

「はいはーい、夜じゃないのに夜ってなんか不思議だね」

「確かに、籠ってたら体内時計変なことになりそうだ」


それでも本当に籠るプレイヤーは出てきそうだが、このゲーム内と現実の時間を早くするなんてできれば……なんて。


「露店ってあのりんご飴食べたとこ?」

「そうそう、ついでに食べてくか?」

「うん!あそこのりんご飴また食べたいと思ってたんだ~」


うっきうきなようで何より、ちょうど自分も食べに行きたいと思っていた所だ。


「てか、普通に一人で食べにいきゃ良いだろう」

「あーくんと一緒に食べた方が美味しいって」

「……そうかい」


あっぶねえなこの幼馴染み本当に、通話越しじゃないのも相まって火力がたけぇ。


――本当に


「おーこないだの、また買っていくのかい?」

「うん、二つちょうだい」

「ほいよ、ちょいお待ち」


覚えているもんなんだな、ここまで来ると正直人間と区別がつかなくなる気がする。NPCに恋をするプレイヤーか……百合園とかありえそうだな


りんごを一緒に食べながら露店を回る


活気が良くてNPCも多いがプレイヤーメイドの物もかなり多い印象だ。


「うまうまぁ、あっこれとかどう?」


手に取ったのは使っていた片手剣とは遥かに違う両手剣。そもそも片手で持てるもんなのかそれ


「口出しはあんましないけど、狭い通路とかダンジョンだとどうなんだ?それ」

「あぁ、確かにそっか……じゃあ二つ買えば解決では?」


私天才とでも言いたそうだな?謎にかわいいドヤ顔が憎たらしい


「……金が足りるなら好きにしろよもう」

「いえっさー!じゃあこれと……これ!」


選んだのは両手剣一つと片手剣、それに短剣?


「短剣も買うのかよ」

「やっぱ幅広く環境に適した武器使えたらいいじゃん」


一応考えてはいるらしい、金額にうげっと顔を歪めたけど買いはすると。


現実では顕著じゃないがゲームとなると途端に羽振りが良くなる奴、ルナ以外居るのかは分からないけど居ると思う。


そして大体が破産するまでがセット。


「うっ、お財布がかなり軽く……」

「調子に乗って買うからだぞ?」

「むぅ……うっさい、次防具!!」


駄々をこねる子供かと、足りなくなった場合の金は絶対払ってやんねぇ。


「……次は、大通りの方に行ってみるか?」


軽く承諾、ルナの方も()()()には興味があったらしい。


大通りの方にでれば興味の湧く店がいくつもある。


その中でも尚更興味を引いたのがその一角に点在する《《アトリエ》》と呼ばれる鍛冶工房。


アルカに聞いた感じよく名の売れたプレイヤーしかアトリエは開けないらしい。


幾つかのアトリエは初心者用も扱ってるらしい故に品質は一級品だと目をつけた。


「わぁ!意外とおしゃれ」

「内装は普通の服屋みたいだな」


おしゃれな服や防具が着せられたマネキンが所々に見られる。内装は明るいな、全体的に清潔感がある。床は温かい茶色の木材で壁は白い。


いや、まんまあの服屋のコニクロじゃねぇか


「でっか!すっご!」

「そうだな……っておい待て!」


さっそくと、どこかに消えていく背中。なんともまあ、判断が早いこと。


「お互い単独行動ってことかい」


気を取り直して


さてさて、魔法職用の装備は一体どこに。


「――あら?魔法職装備はこっちよ~」


振り向くとゆるふわロングのお姉さん


一瞬誰かと思った。だけど雰囲気に似合わない茶色のシャツと薄茶のエプロン、所々汚れたそれが彼女と言うプレイヤーの存在を物語っている。


言葉に詰まる俺を察してくれたらしい、胸に手を当てて言った。


「私このアトリエの主人のみたらし団子って言うの、よろしくね初心者君」

「よ、よろしくお願いします……魔法職で初心者におすすめの装備を探してて」


うんうん、と首を縦に降って顎に手を当てるみたらし団子さん。


生産職、クリエイティブなのが良く分かるキャラクリだと思う。


綺麗やかわいいと言う概念を深く理解している容姿だ。


ルナとは違うタイプの美貌、現実に居たらアイドル級だななんて思ったり。


「ふふっ敬語はなくていいよ、あとみたらしお姉ちゃんって呼んでくれて良いから。具体的にはどんな性能の装備が良いのかな?」


みたらしお姉ちゃんのお姉ちゃんの部分を強調したような?あ、圧が強い圧が強い


「あ、ありがとうみたらし……姉さん。装備にどれくらい求められるのかは分かんないけど魔力とか魔法速度が上がるのがいいかな?」


冗談では無いらしい、すっごいニコニコしてらっしゃる。


「魔力と魔法速度……魔力消費の激しい一撃必殺系か数で押す系統のビルドかな?」

「……まあそんなとこですかね、できればLUCが上がったりして欲しいかなと」


LUCと言う言葉に首を傾げたみたらしお姉さん。


LUCと言うステータスが当てはまるビルドについて思考を張り巡らせているのか。


「LUC任せのギャンブルビルド……じゃ流石に無いよね、ドロップ率をあげたい感じ?」

「――すっ」


そのLUC任せのクソギャンブルビルドです~


なんて、言って良いのか。一瞬言葉が詰まって、結局言わないことにした。


「じゃあ、これなんかどう?」


ウィンドウが共有された。【縁結セット】と言うらしい。


「この街から少し進んだ湖の上空と色々な場所の上空を飛んでる鶴のモンスターからドロップする羽と魔力糸を練り合わせて作った防具でね~」


――どこからかマネキンがポップする


それに着せられた装備を誇らしげに紹介している。


こんなこともできるのか、アトリエってのは。


「見た目も良くて魔力の通しも良いから結構お気に入りなの。――あ、魔力の通しってのは魔法の使用速度に直接直結するからね~更に君目当てのLUCもかなり上がるよ~?」


全体的なカラーは白、始めに見えたのは繊細に編み込まれたローブにふんだんにあしらわれた美しい黒の羽。


丈の長いそれを強調するように編まれたズボンと白を更に映えさせる黒色のシャツが色の調和を取っているようだ。


眩しすぎず暗すぎず、素人目でも確かにこれはプレイヤーによる傑作だと思う。


「……すごい作り込みだけど、これは流石に値が張るんじゃないか?そんなに払えないぞ?」

「いやいや、流石に割引するよ~?お姉さん世話を焼くのが好きだからさ」


表示された額は確かに今の手持ちを全て支払えば払える程度、だけどオリジナルの値段をちらりと見ると。


0が一つ多い、負けてくれすぎではないか?


「流石に悪いよこれは……そうだ、何か変わりになることがあればやるけど」


ふふっと笑うみたらしお姉さん、どこか含みのあるような笑みを浮かべて。


――ああこれ、さては確信犯だな?


「じゃあ悪いんだけどこれ、取ってきてくれる?結構面倒だから仕入れにくいの~」


準備が異様に速い


「姉さん、意外と商魂逞しいね……?」


クエスト依頼【冠獣の美毛】か、入手経路は……


「うわっ……」

「ね?面倒でしょ~?」


確かにこれは市場に流れにくいだろう、そう思えるほどの条件。


魔法職であることもほぼ必須と……だけどよくよく考えればLUCの力があれば大量に入手できる可能性もある、か。


「……分かった、この条件を受け入れるよ」


少し目を見開いてすぐに余裕のある笑みに戻った


「――驚いた、受けてくれるんだ」

「そりゃ、装備のためだし?」

「受けなくてもそのまま売りつもりだったって話する?」

「え、え?」


クスクスと笑って頭を撫でてきた


凄く良いです


「お、お姉さん……!?」

「ちょっとした試練みたいなやつなんだ~」


うんうんと何かに納得するようにしてまた視線を合わせてきた。


「君なら信用できると思う、だからこの依頼本当に受けてくれるかな?」


……この人、ある意味ルナと同じぐらい厄介な人かもしれない。


断れないのが《《分かってて》》更に嵌めてくるタイプの人だ。


侮れない、みたらし団子さん


「受けたからにはやりますよ、男に二言はないってやつですから」

「ふふっ、ありがとっ依頼はいつでもいいから」


クエストを受注


彼女が提示した金額にオーケーをして遂に【縁結セット】がインベントリにやってきた。


彼女の方はやたらと満足げで、ニコニコとしながらこちらを見つめる。


「じゃあ私君のつれの方も言ってくるから、《《期待しててね~》》」


――期待してて、か


一体何を期待すれば良いのか?


いや、まずはこの素材の入手について考えようか


……数分後、俺は心の準備をしなかったことを


――深く後悔することになる








ここまでお読み頂いてありがとうございます

良ければ評価や感想を頂けると疲れが吹き飛びます。

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