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距離バグ幼馴染みとのVRMMO攻略記  作者: 暇杉小次郎
開端綴るは双極の冕旒
11/17

ドロップ……それは新な沼への誘い

――初のダンジョン、初のボス。ついさっきボスを倒してダンジョンを攻略した後。


二人して目の前の物に視線を向けていた


「ねぇあーくん、なに入ってると思う?」

「さあ?装備とか……?」


あのゴーレムがドロップした一つの宝箱。ずっとにらめっこしていてもしょうがない。


「ルナが開けなよ」

「え?いいの!?」

「良いって、お前こういうの好きだろ?」


欲しいものがあれば一目散に走っていって取りに行く。


それが雨晴遊と言う人間だと俺は認識していたんだが。遠慮なんてこいつらしくない。


「でも……」

「歯切れが悪いな、お前らしくないって」

「確かに開けたいのは山々なんだけどね?あーくんが開けたらもっと良いものがでるんじゃかいかなぁなんて……思ったり思わなかったり」


――ああなるほど、確かにLUCの高い俺が開ければレアドロップ的な何かがでる可能性もあるか。


クリティカルばっかりに注目して本来の用途を忘れていた。


――でも俺の経験上こういうのを開けられなければこいつはしょんぼりする。


言葉にこそ出さないがすっごくしょんぼりする


はぁ……なら選択肢は一つか。


「じゃ一緒に、開けようぜ」

「お……おー?妙案だ!」


その発想は無かった、と言わんばかりの反応


さながら尻尾を振る大型犬。うん、かわいいな


「ほら、早く」

「うんうん!」


――躊躇せずに手を重ねてきた、何故?


もっとこう、左側とかあったろ……うん、もう気にしない。こいつは昔からこんな感じだ


うん、だから気にするなよ?俺


「……」


めっっっっちゃ柔らかい


「どうしたの?あーくん?」

「……この手、もっと置き場所無かったかな?」

「え?別に良いじゃんも~ほらどーん!」


知ってか否か、手を更に握るようにして勢い良く宝箱を開けやがった。


……好きなのか?なぁ好きなのか!?


俺は鈍感系主人公じゃないんだがっ!


「さて、中身を拝借拝借~」


さっきの躊躇いは何処へ


「……普通に、勘違いするって」

「――へ?勘違い?どゆこと?」

「はぁ、なんでもない」


そうだ


ルナレイン、雨晴遊と言う人間はこんなもんだった。天然のひとたらし、年頃の男子にはあまりにも毒すぎる距離の近さ。


勘違いするなら調子に乗りすぎだ。


――いい加減、ゲームに集中しよう


「中身はなんだった?」

「変な玉~」


ルナが宝箱から取りだしたのは掌大の球体、見た目からして中になにか入ってますって言ってるようなもんだなこりゃ。


「えっと、スキルオーブだって!」

「スキルオーブ……『ギアシフト』のスキルオーブか」


スキル効果を見た感じ俺には全く持って有用じゃないな。


一定時間毎にHPが減らすのを条件に一つのステータスを上昇?そもそもMP管理に次いでHP管理もやることになれば間違いなく脳がパンクする。


生憎と言ったところ俺の脳はそこまでスペックがよろしくないんだ。


「それはお前にやる、他には?」

「流石幼馴染み様、太っ腹だねぇ!他には……ん?」

「どうした?なんか変な感触の物でも拾ったか」

「無い」


固まる手と暗い表情、それだけで嫌な予感がする


いやもう確信している


「なんもない」

「すっ――マジかぁ」


ルナさんや?まさかそのスキルオーブ相当希少な物だったりしません?


そうじゃないなら渋すぎる、この宝箱


いや、貢献度的な何かがあったりするのか?


「な、なんかごめんね?良かったらこれあーくんの物でも――」

「要らないって、大丈夫」


敵に塩を振る感じではあるが、使いこなせないものを無理矢理使うより使いこなせる奴に使わせた方が良い。


「そっか、ありがと!パンゲイアオンラインはじめてのプレゼントだやったぁ!」

「プレゼントって……」


――馬鹿馬鹿しい


「んなもん贈るなら、もっと良いもん贈ってるよ」

「なんか言った?」

「何も、ちょっと探索する」


気を取り直して、って感じだな。円上に広がるボス部屋。四方八方が石造りのレンガで囲まれている。


たまーにこう言う場所に何かがあったりするゲーム、あるあるだよな。


とりあえずレンガを押し込めないか?


壁、壁、壁……無いか


じゃあ床かな?


「うっし、走るか」


エッホッエッホッ、隠し部屋を探すなら地道な作業であっても頑張らなければ。


「急に走り出した、こわ」

「黙ってろい」


――お、今何か押し込んだぞ?


『ガガッ、規定条件の達成を確認』


「ビンゴッ!俺ってば頭冴えてる~!」

「わあっ!ナイス!」


レンガの壁の一部が開いて隠し部屋が露になった、こう言うの昔から得意なんだよねぇ。


「次は俺が貰うぞ?」

「分かってるって、さすがにあーくんに悪いし」


気分は快晴、もううっきうっき。どーんな財宝が眠ってるのかなぁ?


「――うげっ」

「ありゃ、またなんか要らないもの?」

「……わからん」


運が良いのか悪いのか、とりあえず宝箱ではないな。祭壇に巻物が置いてある。


とりあえず開けるか


『プレイヤークエストが更新されました』


お、おっと?今()()に情報が……魔法と同じシステムだな?


「ぷれいやーくえすと?」

「お前のとこにも来たのか」


ウィンドウを開いてクエスト欄を閲覧、確かにプレイヤークエストと書いてある。


内容は宝生の森にある宝箱を見つける、か


ご丁寧に地図まで添えてある


「所謂トレジャーハントってやつ?」

「何か分からないけどワクワクするね!」

「まあうん、そうだね」


問題はそう簡単に宝箱を取らせてくれるのか、だな。


仮にもクエストって形にされているのだから、何かしらありそうだが。


「よしっ、一旦街に帰るぞ」

「え?良いけど、宝箱見つけに行かないの?」

「そんなもんの前にやることがあるだろ」


今回だってギリギリ勝てたような物だ、スキルやレベルも大事だけどそれと同じぐらい大切なものを準備しに行く。


「――装備、そろそろ買いに行こう」

ここまでお読み頂いてありがとうございます

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