8.
揚羽が閉じ籠って数日が経過した……。
カーテンは光を入れないために、ずっと閉め切っており、薄暗い部屋で揚羽は一日の殆どをベッドの上で過ごした。
瞳はどんよりとした黒色で、顔は蝋人形のように表情が無い……。
心が壊れて、自分が生きているのか死んでいるのかも分からない……。
そんな揚羽と両親はどう接したらいいかが分からない……。
病院に連れて行った方がいいと思い、揚羽を病院に連れて行こうとしたが、「こんな姿を晒したくない」と、揚羽が言うので、病院に連れて行くことも出来なかった。
***
その頃、学校では藤木たちが揚羽にした行動に関して話し合いが行われていた。
学校の中にある一室に、校長、教頭、それぞれの担任の先生、藤木たちの両親、そして、今回の問題行動を行った張本人である藤木と河地と本村が集まっている。
「……皆さん、集まりましたね。それでは、今回学校内で起こった事案に関して藤木さんたちに処分を言い渡したいと思います。それでは、校長。よろしくお願いいたします」
教頭の言葉に校長が立ち上がる。
そして、咳払いをすると、重々しく口を開いた。
「今回の件ですが、藤木さんたちの話によりますと、言う事を聞かなくて、気に入らない言葉を言われたから、寺川さんの髪を切り刻んだという事です。そして、藤木さんたちがどう言う事を言ったのかと問いただしたところ、返答は呆れかえる内容でした。そして、寺川さんは髪を切られたショックで心を病み、あの日からずっと休学状態です。すなわち、今回の行為は一人の生徒の人生を狂わせた、あまりにも身勝手で軽率な行動だと言えるでしょう。よって、藤木、河地、本村、この三名には退学処分を言い渡します」
校長が藤木たちを厳しい目で見ながらそう言葉を綴る。
この学校側が下した判断に誰も反対はなさそうな雰囲気が流れる。
その時だった。
「……待ってください!!」
本村がそう声を発する。
「私と河地は『それはやりすぎじゃないか?』と、言いました!だけど、藤木は私たちの言葉を聞いてくれませんでした。私たちは藤木に大人しく従っただけです。だから、私と河地には寛大な処分をお願いします!」
本村の言葉に河地も「そうなんです!」と、強く主張する。
「お……お前ら……」
本村と河地の翻った態度に藤木がワナワナと体を震わせる。
「お前ら、裏切るのかよ?!寺川にパシリさせていた時、お前らも喜んで参加していただろ!この期に及んで自分たちだけ助かろうとしてんじゃないよ!!」
藤木が興奮状態でそう言葉を捲し立てる。
「……ほう、どうやら君たちは他にもいろいろと問題行動をしていたみたいだな……」
藤木の言葉に校長が険しい表情をする。
「今回の件でも、そのような件でも連帯責任だ。君らには退学処分を言い渡す。何かまだ異論はあるか?」
あまりに迫力のある重低音が聞いた校長の声に藤木たちが声を発せない。
河地と本村は今回の処分に関して不服そうな顔をしたが、反論することも出来ずに、その処分を受け入れた。
***
しばらくの間、学校内では「三人の女子生徒がある女子生徒の髪をズタズタに切った」という話題で持ち切りになった。
その話は当然、揚羽の友達の耳にも入り、揚羽の所属する吹奏楽部とサッカー部の人たちが集まって、藤木たちのした行為について怒りを露わにしていた。
「藤木さんたち、絶対許さない!揚羽ちゃんにあんな酷いことするなんて!!」




