4.
急に河地にサックスを持っている方の手首を掴まれて、持っていたサックスを本村に取られてしまう。
「ちょっ……!!」
突然の出来事に揚羽が声を上げる。
本村は奪ったサックスを藤木に手渡す。
「私、喉が渇いているから自販機で飲み物を買ってきてよ。じゃないと、このサックスがどうなっても知らないよ?」
藤木が受け取ったサックスを高々と掲げながら不気味な笑みでそう言葉を綴る。
その行動に揚羽はどう言葉を紡いでいいのかが分からない。
「どうする?本当にどうなっても知らないよ?」
藤木がサックスを高々と上げ、不気味な笑みを浮かべたままそう言葉を綴る。傍にいる河地と本村もくすくすと笑っている。
揚羽はその様子を見て、本当にサックスが壊されるかもしれないと思い、しぶしぶ飲み物を買いに行った。
そして、買って切った飲み物を藤木たちに渡すと、とりあえずサックスは返してくれたのだった。
「ありがとー。またよろしくね」
藤木が去り際に、揚羽に向ってそう声を掛ける。
揚羽はため息を吐くと、校舎から出て行く。
そして、帰る途中の道にあるコンビニの前を通っていると、、そのコンビニから山中が出てくる。
「あれ?寺川、今帰り?」
山中が揚羽に気付いてそう声を発する。
「山中君……」
揚羽が力の無い声を出す。
(いけない!!)
揚羽がそこでハッとして笑顔を作る。
「うん!今帰りなんだ。遅くまで練習していたら下校のチャイムが鳴ったことに気付かなくて慌てて学校を出てきたの」
揚羽がいつもより早口で「あはは」と、笑いながらそう言葉を綴る。
「……何かあったのか?」
その様子に山中は何かを感じたのか、揚羽にそう声を掛ける。
「うぅぅん!何もないよ!あっ!急いで帰らないと夕飯時間になっちゃうから、またね!!」
揚羽は早口でそう言葉を綴ると、その場をそそくさと立ち去っていく。
「……悪いな!待たせて……って、なんかあった?」
そこへ、山中と同じサッカー部に所属する友人がチキンを手に出てくる。
「いや、さっき寺川に会ったんだけど……」
山中がそう口を開く。
「寺川さん?寺川さんと何かあったの?」
友人が頭にはてなマークを浮かべながらそう声を発する。
「いや……、何もないんだけど……」
友人は頭にはてなマークを作ったままだったが、山中は「大丈夫だろう」と思い、それ以上は気にしない事にした。
***
「……学校で何かあったの?」




