第7章 謎の地下農園
「……ここ……温室?」
三人が着地したのは、フカフカの苔のようなマット。
見上げれば天井から淡い光が差し込み、周囲には緑の葉が生い茂っている。
巨大なシダ植物や、背丈ほどのトマトの茂みがぐるりと囲んでいた。
「え、ここ地下だよね……? なんで森みたいになってんの……?」
まどかは泣き顔のまま周りをぐるりと見渡した。
「なんか……めっちゃ美味しそうな匂いしない!?」
柚葉がハッとして、草をかき分けて進む。
「ちょっと柚葉! また食べ物!? 学習して!!」
緑のトンネルを抜けると、そこには畑が広がっていた。
ズラリと並ぶイチゴ、ぶどう、トマト、香草。
さらに奥には小さなビニールハウスがあり、中では人影が忙しく動いている。
「す、すごい……地下なのに……本当に農園だ……」
華が目を丸くする。
「誰か……人いるよ……」
まどかが指差すと、ビニールハウスから一人の女性が出てきた。
彼女は大きな麦わら帽子をかぶり、エプロン姿で手には収穫かごを提げていた。
見た目は普通のおばちゃん――だが、目がやけにキラキラしている。
「おやおや〜、新入りさんだねぇ?」
「あ、あの……ここは……?」
華が恐る恐る聞くと、おばちゃんは豪快に笑った。
「ここはね、『新宿地下農園・迷い人専用の癒しのオアシス』 だよ〜!」
「迷い人専用!?」
三人が声を揃えた。
おばちゃんはカゴの中の完熟イチゴを柚葉に差し出す。
「ほれほれ。迷子になって腹減ってんだろ? まずはコレ食べな。」
「わーーーい!!!」
柚葉は何のためらいもなくイチゴをほおばった。
「……で、この農園……どうすれば地上に戻れるんですか……?」
まどかが切実に尋ねる。
おばちゃんは空を見上げ、朗らかに言った。
「ん〜〜、まぁ、出口はあるにはあるんだけどねぇ……」
「あるんですね!? どこですか!? 教えてください!!」
「でも……お手伝いしてもらわないとねぇ……ほら、人手が足りなくてさぁ……」
「えっ……」
おばちゃんの背後には、次々に運ばれてくる収穫かごの山、山、山。
そして目を輝かせてイチゴを食べる柚葉の頭に、すでに作業帽がちょこんと乗せられていた。
こうして三人は、
新宿地下農園での強制アルバイト(?)をするハメになった――




