第4章 逃げろ! そしてアイスクリームの誘惑
「……ぼったくりだぁぁぁぁぁ!!」
まどかの悲鳴が響いた瞬間、華が素早く周りを見回す。
「まどか、柚葉……今よ!!」
「えっ、なにが?」
「逃げるのよ!!!」
華の号令と同時に、まどかが地図をひったくり、柚葉の手を引っ張った。
「ちょ、待って! あたしクレープまだ半分……!」
「置いてけぇ!!」
カランカランカラン!!
ランプの魔女の怒号が背後から聞こえたが、三人は振り向かずに地下街を全力疾走した。
「こらぁぁぁ!! 壺を買えぇぇぇぇ!!!」
どこをどう走ったか分からない。
気づけば人通りの多い明るい通路に飛び出していた。
三人は柱の影に隠れて、肩で息をする。
「……はぁ、はぁ……助かった……!」
「まどか、地図! 無事!?」
「ちゃんと取った……けど、これ読めるのかな……?」
まどかは黄ばんだ設計図を広げて見たが、くねくねと線が交わり、謎の英語や謎の落書きが混ざっている。
「……無理だわ。」
「ええー!!」
そのとき。
柚葉が鼻をひくひくさせた。
「……アイス……」
「は?」
「アイスクリームの……匂いがする……」
誘われるままに視線を向けると、地下街の一角に可愛らしい小さなアイスクリーム屋があった。
店名は 『地下アイスパラダイス』
お洒落な看板と色とりどりのジェラートがガラスケースに輝いている。
「……ちょっと、一息つこっか……」
華が汗だくの前髪を直しながら苦笑する。
「……そうだね……もう、流れで……」
まどかも完全に諦め顔。
「やったー!! 地下街最高!!」
柚葉はパン袋とクレープの残骸を抱えたまま、嬉しそうに店の列へ並んでいった。
数分後。
三人はベンチに座って、カラフルなジェラートをスプーンですくっている。
「……でもさ、なんだかんだで美味しいもの多いよね、新宿の地下。」
華がピスタチオ味を一口。
「だね……。帰りたいけど、美味しいから許す……」
まどかはチョコミントを少しずつ。
「最高〜〜!! 二個目いっちゃおっかな〜〜!!」
柚葉はイチゴとマンゴーを一気に交互で攻めていた。
だがこの時、誰も気づいていなかった。
このアイス屋の奥に、さらなる『地下の罠』が待っていることを――。




