第3章 ランプの魔女の怪しい占い
店内の奥、古びたカウンターに三人は並んで座らされていた。
柚葉は相変わらずクレープを食べかけのまま口をもぐもぐさせ、
華は店内の謎の置物をキョロキョロ眺めている。
まどかだけが、全神経を使って目の前のターバン女――自称「ランプの魔女」を警戒していた。
「さて……。お嬢ちゃんたち、迷い込んだのは運命か、それとも――ただの間抜けか……」
魔女は低い声でつぶやきながら、机に古びたタロットカードを並べる。
「……いや、間抜けでしょ普通に!」
まどかが反射でツッコミを入れるが、魔女は意にも介さずにカードをシャッシャッと切っていく。
「まずはアンタから……そう、そこの生クリームまみれちゃん。」
「えっ! あ、あたし!? わ〜い! 占いって初めて〜!」
柚葉がクレープを置き、カードの前で正座する。
魔女は目を閉じ、カードをパタパタとめくると、
やたら重々しく言い放った。
「――アンタ、食べすぎに注意ね。」
「……え、だけ?」
「だけ。」
「ええぇぇ!? 占いってもっとこう……運命の人とか……地上への道とか……」
柚葉が崩れ落ちる横で、魔女はお構いなしに次のターゲットへ目を向ける。
「次はアンタ、お嬢様風の子。」
「わ、私? 華ですけど……」
カードがめくられる。
魔女の手が一瞬止まり、ニヤリと笑った。
「アンタは……道に迷うのが、もはや才能ね。」
「ちょっとそれヒドくない!?」
「才能よ、誇りなさい。」
魔女は勝手にうなずいて次に視線をずらす。
最後に、完全に呆れ顔のまどかと目が合った。
「……まさか私も?」
「もちろん。」
魔女はカードを3枚だけ並べ、真剣な顔で語り始めた。
「アンタ……この三人の中で唯一、常識と理性を持つ人間……」
「まぁ、そうですけど。」
「だが――」
魔女はスッとカードをめくる。
「……スマホの充電だけは、気をつけなさい。」
「知ってるわ!!!」
「はぁ〜〜〜! で、結局出口はどこなんですか!? 占いなんかじゃなくて道を教えてください!!」
まどかが声を荒げると、魔女はうっすら笑いながらカウンター下から何かを取り出した。
それは、黄ばんだ紙の地図だった。
「この地図は……地下街の古い設計図。現代の地図アプリにはない隠し通路が書いてあるわ。」
三人は思わず身を乗り出した。
「それを渡す代わりに……」
魔女の目がギラリと光る。
「この店の 『謎の壺』 を一つ買っていってちょうだい。」
「謎の壺!?」
見渡せば、あちこちに置いてある意味深なツボツボツボ。
よく見ると「幸運」「財運」「恋愛運」と手書きの札が付いている。
「……ぼったくりだぁぁぁぁぁ!!」




