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「新宿迷宮女子高生」   作者: 南蛇井


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第4章 蠅野レイの地上大冒険 〜居酒屋で人間観察編〜

ナンパに失敗し、

スイーツも追い払われ、

イケメン擬態の尊厳もズタズタ。


だが――

蠅野レイ(イケメンVer.)は諦めなかった。


「……人間社会の本質を知るには……

飲食店……いや、居酒屋こそ最適……!」


その夜。


新宿の路地裏の赤提灯を前に、

蠅野はスーツの襟を整えた。


「よし……紳士として振る舞えば、

誰も私がハエとは気づくまい……!」


ガラガラ……


のれんをくぐると、

そこには酒と油の香りが充満した

人間たちの楽園があった。


カンパーイ!!


酔っ払いのサラリーマンたちが

意味のわからないジョークを言い合い、

女子グループは唐揚げを奪い合っている。


蠅野は空いていたカウンター席に腰掛けた。


店員「ご注文は?」


「……パフェはございますか?」


店員「……え?」


「いや……とりあえず生で……」


店員「かしこまりましたァ!!」


ドンッ!


生ビールが目の前に置かれた。


蠅野はジョッキをじっと見つめる。


「……これが……人間たちの夜の血液……」


意を決して――

グイッと一口。


ゴクッ


「に、苦い……!!」


思わず人化の術がブレて

額に触角が出かけたが、

何とか踏みとどまる。


「苦いが……クセになる……

これが人間の社会を回す源か……!!」


ふと隣を見ると、

泥酔したサラリーマンが隣の若者に説教していた。


「だからな〜〜人生ってのはよぉ〜〜

うぇっぷ……結局は勢いなんだよぉ……!!」


蠅野は心のメモに刻む。


「……なるほど……人間とは酒を飲むと

どうでもいい理屈を語り出す生き物……」


次の瞬間、唐揚げの皿が隣から滑ってきた。


「兄ちゃんも食え〜〜!」


「……お、おお……!?」


パフェの代わりに、人生初の唐揚げを口に入れる。


カリッ


ジュワァ……


「……う、うまい……!!

人間……侮れん……!!」


蠅野の複眼が感動の涙で潤んだ。


しかし――

店員が唐揚げの皿を下げたとき、

蠅野の背中からまた翅がひょっこり。


「……あれ、兄ちゃん……背中……ハエ?」


居酒屋の空気がピタリと止まる。


「……ッ!!」


蠅野はビールをジョッキごと置き――


「さらば!!」


ブゥゥゥゥゥゥゥゥゥン!!!


店内を飛び回りながら

新宿の夜空へと消えていった――!!

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