第2章 蠅野レイの地上大冒険 〜新宿ファミレス潜入編〜
クレープ屋から命からがら逃げ延びた蠅野レイ(ハエ)。
次なるターゲットは――
「……人間界の社交場……
それがファミリーレストラン……!」
新宿の喧騒の中、看板の『ドリンクバー無料』の文字が
彼の複眼をキラリと光らせた。
ブゥゥゥゥゥゥン
自動ドアの隙間から華麗に潜入。
「……ふむ。
人間たちが集い、食事をし、
語らい……そして……甘味を楽しむ……
実に優雅だ。」
店内では大学生カップル、
おしゃべり主婦、テスト勉強の高校生……
みんな自分の世界に夢中で、
一匹の蠅の存在に気づかない。
「ふふ……完全なる潜入成功……!」
しかし――
彼にはどうしても欲しいものがあった。
それは――パフェ!
「……あの巨大なガラスの器に積み上がる
生クリームとアイス……
迷宮のスイーツ王国にも匹敵する……!!」
蠅野はターゲットをロックオンした。
テーブル席の女子二人が注文した
特大チョコバナナパフェだ。
ブゥゥゥゥゥゥン
蠅野は音もなく舞い降り、
そっとホイップの上に着地した。
「……ちょっと、今なんか飛んできた?」
「気のせいじゃない?」
女子たちがスマホに夢中な間に、
蠅野はおそるおそる……
ペロッ。
……極上。
頭の奥まで染み渡る、
生クリームとチョコのハーモニー。
「……こ、これが……
人間界のパフェ……!!!」
しかし、幸せは長くは続かない。
女子の一人がスプーンですくおうとした瞬間――
蠅野と目が合った。
「……ぎゃあああああ!!!!!」
「見つかったぁぁぁぁぁ!!!!」
ファミレス中に悲鳴が響き、
店員が殺虫スプレーを片手に追いかける。
「そこのハエ止まれーーーーー!!」
ブゥゥゥゥゥゥン!!
蠅野はファミレスの天井すれすれを
猛スピードで飛び回り、
人間たちの騒ぎを背に――
またも華麗に非常口から大脱走したのだった。




