第12章 ギリギリ突破! スイーツ地獄の果てに
「ううう……甘い……もう甘いの無理ぃ……」
柚葉は口の端からプリンのカラメルをたらしながら、最後の一匙をおそるおそるすくい上げていた。
小人たちは手拍子で煽る。
食べきれ〜 食べきれ〜
甘さに勝て〜 勝て〜 勝て〜!
「が、がんばれ柚葉……!」
華とまどかは涙目で声援を送る。
ズルッ――
ついにプリンの器は空になった。
「……た、食べた……全部食べた……!」
「おおおおおおおおおお!!!!」
一方、華は手にレモンパイの欠片を残していた。
「これを……これさえ食べれば……」
頬には涙の川、鼻水も滴り落ちている。
「華……!!」
まどかが手を握る。
「いけっ……いっけぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
華は渾身の覚悟で、激酸のラスト一口を口に放り込んだ――
「っっっっすっぱあああああああ!!!!」
最後にまどかの前には、黒光りするビターショコラの残骸が一口分。
「これを……これを食べ切れば……!」
目の前がぐらぐら揺れる。苦い。渋い。辛い。
涙と汗と鼻水で顔はもう原形をとどめていない。
「まどか、負けないで……!」
柚葉と華が肩を抱く。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」
まどかは最後の一口を嚙み潰した――!!
シン……
小人たちがぴたりと動きを止めた。
執事が一歩前に進み、三人の前で恭しく一礼する。
「……お見事です。
三つの試練を超えた勇気と胃袋に――
心から拍手を。」
パチ……パチ……パチ……
スイーツ王国の住人たちが一斉に拍手を送った。
柚葉、華、まどか――
全員、甘さの極地を超え、胃袋をさすりながら地面に倒れ込んだ。
執事が背後のチョコレートの壁に手をかざすと、
壁が静かに溶けて、奥に銀色の扉が現れた。
「お嬢様方……これが『出口』です。
甘さに溺れず、進む勇気があれば――
どうぞ、お帰りくださいませ。」
「か、帰る……帰る……!!!」
三人は泣きながらよろよろと立ち上がった。
小人たちが金平糖の花束を持って見送る。
執事は微笑んだ。
「また甘さが恋しくなったら……
いつでも、お待ちしております。」
三人は手をつないで、銀の扉を押し開け――
長い長い地下の彷徨いに、ついに終止符を打つ……!
……はずだった。




