第11章 スイーツ王国のお菓子の試練
「さぁ……お嬢様方、
ここはただの夢の国ではございません……
心してお楽しみください……」
執事がパチンと指を鳴らすと、どこからかマカロン帽子の小人たちがわらわらと現れ、
三人を取り囲むように金平糖の道を作り始めた。
「な、なにこれ……!? 出られないじゃん……!」
まどかが焦る。
「執事さん……どういうこと……?」
華がプリンのスプーンを握ったまま硬直する。
執事は背後の大きなショーケースを開けると、
中から色とりどりのスイーツを手に取った。
「これより――
『甘美なる試練』を始めます。」
小人たちが合唱するように高らかに歌い出した。
スイーツの試練は 三つだけ〜
食べきれなけりゃ 帰れない〜
甘いだけじゃダメなのさ〜
本物だけが 生き残る〜
「ええぇぇぇぇぇ!?」
三人は顔を見合わせて絶叫した。
執事は一つ目のスイーツを差し出す。
「第一の試練――
『極限激甘プリン』
このプリンを最後まで食べきれ。
ただし……甘さは尋常ではございません。」
柚葉がニヤリと笑う。
「任せて! 甘いの得意だから!!」
「やめとけって柚葉!!」
柚葉はスプーンを豪快に突き刺し、一口――
「……あまっ……うっ……!? あま……!? 甘すぎ……っ……!!!!」
顔が真っ赤になり、口から火を吹きそうになる。
「水! 水ぅぅぅ!!」
小人たちは「水は無し!」と指でバツを作る。
「修行だ……これは修行だ……!!」
柚葉は震える手で二口目に突入した。
執事は二つ目のスイーツを華とまどかに向けて差し出す。
「第二の試練――
『激酸レモンパイ』
口直しのつもりで油断すると……泣くことになります。」
華がそっと指先でつまんだ。
「レモン……爽やかでいいじゃん……」
ぱく。
「……っっっっっ!! すっぱぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
華の目から大量の涙がぼたぼた落ちた。
「うわああああ!! すっぱいの苦手なのになんで食ったぁぁぁ!!」
まどかが絶望の顔で華の背中をさする。
執事は最後にまどかの前に、怪しげな黒いケーキを置いた。
「第三の試練――
『真夜中のビターショコラ』
苦味と渋味と、わずかな辛味が、あなたの理性を試すでしょう……。」
「いや理性試さないで!!!」
まどかが泣きそうになりながらも、仕方なくフォークを刺した。
一口。
「……にっっっっっっっっが!!!
なんで辛いの!? 苦いだけじゃなくて辛いの意味わかんない!!!」
三人は泣き、叫び、甘さと酸っぱさと苦さに翻弄されながら、
スイーツ王国の『お菓子の試練』を必死に耐え抜いていた。
執事は静かに笑う。
「さぁ……
これを乗り越えた者だけが――
次なる『出口』へ進めるのです。」




