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(旧:幻惑のアレース)10年間森の中でじっちゃんに稽古をつけられたあと、友達を作ってこいと能力者の学園に入学させられた  作者: MRプロジェクト
<< 1章 2節 >>【炎天無比】

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#25【小テストと不安と】

それから日曜日は1日勉強して、気づけば月曜日。


また1週間が始まった。今週には初めてのテストがくるから、気合を入れて頑張る週間となる。


普段以上に量の多い練習問題。習い続けた問題は、ここ最近の努力のおかげで頭に残り始め、練習問題は月曜日の時点で5割程度を安定して取れるようになってきた。


そんな俺のメキメキと育っていく姿をみんな褒めてくれた。


蘇我さんに至っては満点の笑顔で「流石ね昇也!!」と言いながら背中をバシバシ叩いてくれた。


嬉しかった。


そして、やってきた金曜日。小テストの日。


「このテストは100点満点ではありません。が、欠点とする7.5割は100点を基準にします。つまりは75点以上が欠点で変わりない、という事です」



手に汗握る瞬間。



普段と違いやけに静かな空間が、余計にそんな手汗をかかせはじめる。



荒くなる呼吸。



覚えていられるのかわからず一生脳内で復唱し続ける。


テストはホログラマーを使用。筆記用具は配布された電子ペン。テスト用紙はノートと同じ洋式で机に投影される。


「テストの時間は20分。今から10秒後にタイマーを進めます。質問や体調不良はそのテストの概要を開いて、リンクされてる教官呼び出しボタンを押してください。では、間も無く始まります」


激しい鼓動の揺らめきに吐き気を催す。


体調不良を訴えるか。


いや、それは逃げだ。逃げても何の解決にもならない。大きな壁は壊すためにある。そして今、俺が歩いてきた道にそれは立っている。


見据えていた壁に自ら近づいてきた。


頑張ろう。


「始めてください」


瞬間、みんな姿勢を正して浮き出てきたテスト用紙に目を通す。


(ざっと見る感じ歴史……能力史が小問20問、論述2問。能力についての小問が31問。「自身の能力を簡潔に説明せよ」という論述が1問……)


最後の問題はいわゆるボーナス問題ってやつか。


ただポイントは簡潔にと言う点。いかにわかりやすく書けるかが加点部位となっているのだろう。

難しそうだ。歴史の論述は……少なくとも今の俺には解けない。


でも、ほかのものならいけそうだ。


ただ問題が多いというのが厳しいか。

いや、それでもやるんだ。


やれるだけ、頑張った分だけだすんだ。


ーーー


「はぁ……」


今日1日の力を出し切った。それくらい強く脱力する。


息が自然とこぼれ落ち、背もたれに助けを求めるように体が倒れる。


そうしながら周囲を見渡せば、友達と話し合う余裕のないみんなが机に伏したり、俺と同じように背もたれにもたれかかったりしていた。


たった1人を除いて。その1人とは、蘇我さんだ。


(余裕綽々って感じ…ちょっと羨ましい)


腕を組んで自信ありげにしている。まぁずっと練習問題100点だったし、そりゃそうかと思う。うちの班の頭脳は古賀君曰く、蘇我さんと灰田さんだそうだ。


まぁ、テストに関して言えば蘇我さんほどではないもののある程度の自信はあった。


恐らくテストはクリアできてる、それくらいの手応えは気持ち的にはある。けれどその奥。

核となる気持ちは不安で構築されていた。


もし字が間違っていたらどうしよう。

答案箇所を間違えていたらどうしよう。

単純に答えが間違ってたらどうしよう。


いくら勉強をしてきたからと言って、もとより得意ではない、むしろ苦手な勉強。


喰らいつくのが必死で、物事の覚え方のコツについて師匠に教えてもらってはいたが、それを完全に扱えてはいなかった。


余裕を持ってやったからと言って、それが簡単に結果に結びつくわけではない。

それが常だと俺は思う。


結局は、努力は足し算で、元となる数字が低ければどんなに長く足していっても大したものにはならない。わかってる。


だから、不安になっている。


やりきって、確かに頑張って、でもそれはあくまで過程。結果が伴わなければ過程がなかったに等しい。じっちゃんは常々そう言っていた。


厳しい文言だが、少なくとも道理はあると俺は思っている。だから自身に言い聞かせている。



呼吸が、浅い。



テストの結果次第でチーム全員が補修を受けることになる。みんな優しくて、ほぼ俺の勉強に力を費やしてくれた。それにみんなもみんなで凄く頑張ってた。


練習問題では俺なんかよりも高い点数を安定的にだしていたのに、それに驕る事なく何周も繰り返していた。


その足し算の結果は、間違いなくこのテストに届いていると思う。


みんな頑張ってた。


自分のため、みんなのため。

そして取り残されたのは、能力の低い自分だ。


もし俺だけ落としてしまったら、どうしよう、みんなに迷惑がかかってしまう。

最悪、みんなに嫌われてしまう。

それだけは嫌で、だからこそ怖くて。


不安にまどろむ渦中。


そしてある時、小さな喧騒をまとめるように、橋田先生が声を上げた。


「はい、皆さんお疲れ様です。えー、かなり量も多くて大変だったと思います。テストに対して不真面目な方を炙り出す為の策略でした。が、先生が浅はかでした申し訳ない」


橋田先生はそう言って深々と長く、頭を下げた。


「テスト結果を出します」


その一言同時に、ホログラマーの共有アプリにデータが送られたという通知がやってきた。

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