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(旧:幻惑のアレース)10年間森の中でじっちゃんに稽古をつけられたあと、友達を作ってこいと能力者の学園に入学させられた  作者: MRプロジェクト
<< 1章 2節 >>【炎天無比】

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#13【炎天無比】<< 動き出した戦い >>

合図が響き渡ると同時に、全方向に神経を尖らせて息を呑む。



(能力での記憶、解放)



途端広がる視野角と世界の解放感。

目に映る全ての情報が永遠に近い物量で脳内に流れ込む。


ギューっと脳みそが収縮し、続いてグワーっと膨張するような普通では感じられない感覚。

膨大な熱を噴出するが、平時とは違う脳みそ の状態が気絶を招く事はなかった。


むしろどんどんと鮮明になっていく頭の中。


常に情報が整理、圧縮されて空いていく、情報を収める空間域。


「………」


前回は先手必勝の勢いで飛び込んできた赫糸。


あの時の目にも止まらなかった速さは俺が呆けていたからなのか、赫糸の力からなのか。


それを確かめるにも下手に動かない。


何より、俺にはじっちゃんの教えがある。


『世の中には先手必勝という戦い方がある。戦いにおける一手目に、自身が持てる全てを出し切り畳み掛ける戦い方だ。しかし、あれは双方にリスクのある戦い方。相手の情報がない時に無闇矢鱈に使っていいものではない。だから、今から俺が教えていくのは汎用的な戦い方だ』


動きのない場面に痺れを切らした様子の赫糸が、噴水を中心に大きく弧を描きながら走り来る。


空気を唸らせる振りの大きい腕と、耳にしっかり届いてくるほどの力強い足音。


その速さは確かなもので、認識して呼吸を一回挟んだ頃にはもう目前だった。



けれど、あの急に現れるほどの速さではなかった。



予想するにあくまであれは俺が集中していなかったからであって、赫糸本来の力ではない。


と言うわけではないだろう。

目に映る赫糸の筋肉や表情はまだ緩い。

本気を出していないだけの可能性が十分にある。


いや、むしろそれを前提に据えて動きを見ていく必要がある。


差し迫った赫糸。


瞬時に振り上げた拳は、はたして本当に上から来るのか、それとも下から来るのか横に振り抜かれるのか。


注視する中で小さく上下した赫糸の体。


もう人一人分しかない距離。

歩幅は走り来た時よりも狭い。


腕を振るのはいつだ。

まだ拳は振り抜かれていない。


呼吸を吸い込み切る時間に満たない時間。


そこに挟まれた、タタっという軽快で小さなステップ。それを起点にスンっと消えたと勘違いしてしまうほどの、深いしゃがみ込み。


刹那、背面を取るように赫糸がスライドした。


(拳。右横、斜め下。骨盤側面か脇腹)


振り抜かれる拳の軌道予測。


働いた思考のままに軽く体を反らせ、赫糸を見下す。


赫糸の目線から思うに、想定通り。

となれば、この躱わされた攻撃の姿勢をすぐに整えてからもう一回来る。


その予想は的中。


高速で組み交わされる足捌き。

小さな挙動から発生する大きくも機敏な動き。


交わる瞳孔。


ショッキングピンクの目は、酷く冷静に俺を見つめている。


先手を選び攻撃を仕掛けたことを皮切りに、速度と手数を上げて赫糸は拳を突きつけてきた。


その動きは巧みで、まるで下流の川の流れのように淀みがなく、攻撃後の体勢や、体の反動を上手く使って次の攻撃を捻り出してきている。


無駄が限りなく削がれた、無理のない動き。


乱打の風圧を頬に浴びつつ、噴水を回るように下がりながら全てを弾くか躱わす。


(……大体わかってきた)


赫糸が攻めに転じて20秒も経っていないが、大枠は頭に入り込んだ。細やかな修正は随時していこう。



(ここからは攻守両刀だ)

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