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(旧:幻惑のアレース)10年間森の中でじっちゃんに稽古をつけられたあと、友達を作ってこいと能力者の学園に入学させられた  作者: MRプロジェクト
<< 1章 1節 >>【芽吹く入学1日目】

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#12【ウィーコネクト】

『ホログラマー2型が起動しました』


という音声と同時に視界の右側に半透明な板が出現した。


その板の中に立ち並ぶ四角いマークたち。

四角いマークは全部デザインが異なっていて、その下には文字が書かれていた。


スマホで見るアプリと形態は同じそう。

そんな直感がある。


「どう? こっちで見る感じレンズずれてないけど、映像ズレてる?」

「…んー、半透明の板みたいなのが右にある」

「あ、じゃピッタシだね。それが右側に来てなかったらズレてるからね、次自分でつける時はそこ意識してね。後レンズに左右はなくて、問題はデバイスの向き。このデバイスは右耳デバイスだから右耳につけて。あとは機械がデバイスに近い方を右って認識してくれるから……あぁあごめん! 保健室に行ってさっきなのにいっぱい話しちゃった!」


申し訳なさげに手を合わせる青峯さんだが、かと言って痩せ我慢も良くないなと「また…聞くかも」と一言添える。


「うんいいよいいよ聞いて聞いて! あ! てかじゃあ連絡先交換しようよ!」

「…めちゃくちゃしたい、けどどうしたら…一応連絡帳って見えるけど…」


あぁーすっごい青峯さんにおんぶに抱っこ。


申し訳ない。


流石にこんなにしてもらったら、何か今度お礼しないと。連絡先ももらえるみたいだし、そうしよう。


「連絡帳は後回し! えっとね、その上にウィーコネクトってアプリあると思うんだけど。あれ、上だっけデフォルトの位置」

「あー…」


アプリの下側には小さくアプリの名前が入っている。

そして青峯さんが言うウィーコネクトというアプリは早々に見つかった。


「上じゃないけどあった」

「じゃあそれを起動するイメージして」

「イメージ…」


しかし、見つかったはいいものの早速大きな壁にぶち当たった。


「んー……?」


アプリを起動するイメージってなんだ。

なにをしたら開けてくれるんだ。


そんな深い疑問と問答の坩堝に落ちていく。


「えっと、なんて言うのかなぁ……」


そしてそれは青峯さんも同じようで、表現方法に頭を悩ませていた。


まさかここに来てつまずくとは思っても見なかった。


そんな折り。


「青峯ちゃん、イメージ起動はアルファ型だよ。あの子のは2型」


青峯さんの班の女の子が、そう言いにくそうにだが伝えてくれた。それを聞いた青峯さんは「あっ…」と色々察した声をこぼすと、目も瞑り、5本の指を揃えて彼女を指した。


「彼女が昇也くんの次の神様です」

「あっ華園昇也です、よろしくお願いします」

「あっえっ、あっあの!」

「神様、あの迷える子羊にお言葉を」

「ぅええ!!? あ、よ…よきにはからえ……!」

「「………ほへぇ」」

「そうじゃない! よ、よろしくしないでください!!」

「鳥田京子ちゃん。ちっさくて可愛いの。うちの班のマスコット」

「へぇ……」


鳥田さんと目があった。

あったが、なんと言うか気まずいそうだ。

まぁ初対面だし、話すこともないし。


鳥田さんも俺も目を逸らす。


「と、とにかく空間認識で動くからっ、指でタッチすればいいんだよっ」


逸らしながらも最後まで教えてくれた。


「わかりました。ありがとうございます鳥田さん」

「………はい」


ウィーコネクトめがけて指を突き出す。


なんとも空に指を打ち付けると言うのはおかしな感覚だ。だが、見える映像にはしっかり前後感があり、空間の把握がしにくいと言うこともなかった。


だから難なくアプリに触れることができた。


触れると同時に小さな波紋が揺れ動く。


そして現れる。


【ウィーコネクト を 起動しますか】


と言うメッセージ。


「多分今起動しますかってでてるのかな?」

「うん、でてる」

「じゃあ起動する選択してー」


起動音は、ない。

ただ普通に映像が遷移してアプリが開かれた。


それと同時に現れた注意事項と書かれた赤枠の文章。


「取り敢えず注意事項全部すっ飛ばして押してー」

「わかった…」


すると顕になるアプリの様相。


機能自体はシンプルそうで、デザインがどこかスマートだ。それこそホログラマーのような美しさに近い前衛的な感触がある。


「それ…で次は」

「歯車のマーク、みつかる?」

「………ぁー、うん、あった」

「それを押して」

「……押した」

「じゃあ3つの項目の中に近距離登録ってのない?」

「ある」

「それをタッチ……したら、葵って文字出てこない? それがわたしのアイコンだから追加して」


その言葉通り、俺の目の前には【葵】の文字がある。葵というのは名前なのだろうか。

いずれにしても選ぶべきもので間違いなさそうなので追加の項目を選択する。


そしたら早速と。


『よろしくね昇也くんっ、困ったことあったらなんでも聞いてね!』


そんな一文が【葵】のアイコンからやってきた。


「メッセージ送ってみたけど、届いた…?」

「うん!! 届いた! 凄い! なんかワクワクする!! いっぱい連絡する!」

「いっ、いっぱいは全部直ぐに返せるかわかんないけど、頑張るよーっ。おっしゃーばっちこーい」


青峯さん、すっごい頼もしい。


「けど、えっと…メッセージの送り方ってどうするの…?」


文字盤はなく、プレーンな画面だけが目の前にある。よくわからない操作感に青峯さんに目を向けると、少しニヤついた顔で説明してくれた。


「文字盤をタップする方法と目線でタップする方法があるの。目線タップは、目線で文字を選択して瞬きで選んだ文字を選択する感じかな。けどその機能はちょっと難しいから普通にタップする方がおすすめかな。メッセージって書いてるとこ押したら文字盤出てくるからね」


そう言われて、メッセージと薄く書かれた枠を叩くと確かに文字盤が出てきた。

その隣には縦長で、UNOのリバースのような模様が1つ。


押してみるとポインターがでてきて、目線を動かせばポインターが当たる場所の文字が拡大され、瞬きするとそれが選択された。


これが目線タップというやつか。


「んー…」

「あ、目線タップ使ってるなぁシメシメ…」


確かに癖のあるやつだけど、慣れたらこっちの方が早く文字打てそう。


俺はそう思い、ぎこちなくも頑張って文字を打ち、最後に送信するという所を選択した。


1メッセージに1分ほどかかった。

頑張った。


『今度お礼する、本当にありがとう』


早いのか遅いのかで言えば間違いなく遅いんだろうけど、初めてにしては上出来だと肯定する。


そんな俺の動向を見た青峯さんは絶句していた。

いや何事だと声をかければ口を窄めながら悔しそうに言葉を吐いた。


「……初めて目線タップ使ったのにものの1分で文章を完成させられた…。私慣れるまで『よろしくね!』って文字を打つのに2分くらいかかってたのに…」

「そ、そうなんだ。青峯さんって意外に不器用?」

「私の器用な像がぶち壊れちゃった…」


まぁ取り敢えず使い方も大体把握した。


こうして雑談みたいなことをしているとどんどん周りと引き離されるし、みんなと情報共有できないから足を引っ張ってしまう。


急いで戻ろう。


お礼と青峯さんに手を振りながら歩みを進め、さて、帰ってきたぞ蘇我ファミリー。


「すみません、遅れました」


申し訳なさげに姿勢低く席に着くと。


「昇也!」


蘇我さんが大きな声で呼びかけた。


「え、はいなに、蘇我さん」

「体調は大丈夫なのかしら!」

「あぁー、いや、ぼちぼちです」


ここで痩せ我慢するのも良くない気がする。

だから正直にそう答えた。


実際動いたり考えたりは出来るようになったが頭痛が完全に治ったわけではない。多分また変に頭に詰め込もうとしたら倒れると思う。


「無理はしないことね! 私たちが昇也のバックアップするから焦らず話についてきなさい!」

「…ありがとう」


各々に目を向ければ軽く頷いて見せてくれる。


なんか、泣きそう。

みんな優しい。


「あと昇也!」

「なに?」

「私とも連絡先交換しなさい!」

「あぁはい全然っ。と言うか是非。それになんだったらみんなとも交換させて欲しい」


て事で。


ウィーコネクト。


そのアプリの中にあるフレンズと記載された欄には、なんと6人の名前が明記されました!


やったね!!


グループというのにも加入した!

みんなに向けて連絡できるんだって!


一石二鳥だね!


「あ、そうだ。華園くん、今からURL送るからそれ押して」

「ゆーあーるえる」


よくわからない言葉。

俺は思わずと灰田さんに目を向けた。


「……んー…URLってのはまぁ、情報の居場所を教えてくれる文字列みたいのかな。取り敢えず送られたメッセージをタップしてくれあら大丈夫……。……押せた?」

「うん押せた」

「じゃあ多分加入するって文字が出たと思うの。それで…そ、蘇我……ファミリーって名前か確認して、間違いないから加入して…」

「蘇我がそこ譲んなかったんだよ」

「私たちはいついかなる時も蘇我ファミリーよ!」

「こんな調子なのよ…」

「あ、なんかお疲れ様です」


なんだろう。

まぁ蘇我さんだもんね、みたいな、そんな感じ。

ほんと蘇我さんは言葉の雰囲気からして我が強い。

山と話してるのかと錯覚してしまうほどに強い。


「ま、まぁいいの。蘇我ファミリーで。そこに今日のメモをPDFにして資料にしてるから、ダウンロードしておいて。あとはファイルアプリからいつでもすぐ見返せるようになるから」

「うわぁありがとう、すごいね灰田さんっなんかすっごいかっこいい!」

「かっ、そ、いや、かっこよくなんかないわよ」

「おーかっこいいぞ灰田ー」

「古賀うるさいっ」

「へっへっぅ"」


灰田さんの肘打ちは古賀くんの脇腹に突き刺さっていた。

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