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(旧:幻惑のアレース)10年間森の中でじっちゃんに稽古をつけられたあと、友達を作ってこいと能力者の学園に入学させられた  作者: MRプロジェクト
<< 1章 1節 >>【芽吹く入学1日目】

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#9【蘇我ファミリー】

「て事でチームリーダーである私、蘇我乃々愛率いる蘇我ファミリー結成よ!」

「うわキャラ濃ぉ」

「いきなり過ぎて理解が追いつかないわ…」

「蘇我ファミリー!! 友達よりも仲が良さそう!」

「そうよ昇也! 今日からあなたも家族よ!」

「いえーい!」

「なんで乗り気になれんねんこいつ…」


くじ引きの番号に従い、廊下側後方の席に集まった5人。男性3人、女性2人。


机をくっつけるとさっそくと蘇我乃々愛さんは声を上げていた。


蘇我ファミリーというのはこの班の名前なんだろう。それに異論はなく、むしろファミリーという語感がすこぶる気持ち良くて小躍りしたい気分になった。


見渡す先にいる班員の面々。


みんなの表情は固くもなくゆるくもなく、平静の雰囲気だ。場の空気は少し蘇我さん? のキャラクター性に押されている節が強いが、全く受け入れられないと言った空気は今の所見受けられない。


「華園くんって適応力の塊ね。山田くんとか青峯さんとの会話聞いてたけど」


ファミリーが結成されてすぐのこと。

俺の隣に座る女の子は小声でその更に隣に座る男の子に声をかけていた。


「それには同意見やわ。なんやろなぁあれ。別に無理してる感ないから多分ああいうキャラ濃い子にとっては嬉しい人材になりそうやな」

「確かに…。あ、じゃあ蘇我さん担当を華園くんにしよっか」

「それがええと思うわ」


よく聞こえなかったが、まぁ問題ない話だろう。

それよりも、明確に耳に届く蘇我さんの声の方がーー


「まぁ蘇我ファミリーといえどもまだ会ってすぐ! だから自己紹介と能力紹介よ!」


ーー頭に直撃してくる。


「自己紹介の始める順番は言い出しっぺの法則に則りわたしから! 私は蘇我乃々愛! 蘇我、乃々愛(ののあ)よ! 能力はラブリーマッスルね!」



蘇我(そが) 乃々愛(ののあ)

年齢 ー【15歳】

生年月日 ー【2024年11月17日】

身長 ー【156センチ】

能力 ー【特殊怪力系 <<ラブリーマッスル>>】


「備考」

○背中あたりまで伸びている長髪。

○綺麗な黒髪。

○幼顔でかわいいと言った印象を受ける。

○表情は今の所ずっと自信ありげで、基本的にムフンっとしているといった風。

○我が強そうな感じだ。



「特殊怪力系ってことだけど、怪力系に付帯してる特殊効果ってなんなん?」


ひとまず紹介を終えて真っ先に声を上げたのは目の鋭い男の子だった。


そんな彼の疑問に蘇我さんは「いい質問ね!」と嬉しそうに言うと説明を始めた。


「まず私の能力【ラブリーマッスル】の基本効果は、基礎代謝力、要するにエネルギー消費量を増幅させる代わりに怪力を手に入れるというものよ!」

「……。…?」

「簡単に言えば、全力疾走の速さを手に入れる代わりに体力の減りがとても早くなるってことよ!」

「なるほどぉ」


一瞬頭がこんがらがりかけたが蘇我さんの注釈のおかげですんなりと頭に入った。

ありがとう蘇我さん!


「消費エネルギーが多い割に獲得する力は1が50になる程度で単体での使用に関しては燃費が超悪いわ!」

「……まぁ特殊系統やからな」

「そうね! それでその特殊効果についてね! 【ラブリーマッスル】が持つ特殊効果は半径5m以内の人にも同じ怪力効果を付与できること! 人数に応じてエネルギー消費量に変動が生じない事が魅力かしら!」


詳しいことは理解しきれなかったがみんなにも強くする能力を与えられるってことかな。

そう考えたらかなり凄い能力だ。


「ラブリー要素って、そこなんやろなぁ多分」


少しして、頭の後ろで腕を組みながら背もたれにグーっともたれかかる男の子はそう呟いた。


「愛情って…こと?」


彼の向かいに座る男の子のそんな相槌。


「そうちゃうかぁ? しらんけど」

「偏見かと思ってたんだけど、大阪の人って本当にしらんけどを語尾にするのね」

「あー。どうやろ、俺だけかもしらん。あんま意識したことないからわかんね」

「しらんけど?」

「しらんけど」


大阪。


その言葉を聞いて、どこか懐かしく思えた。

でも、大阪のことなんてなんにもわからない。

精々その独特な話し方が大阪のものであると言うことを理解できるくらい。


「じゃあ次私良い? てか身長とか本当にいるの?」

「まぁ念のため?」


そうしてすぐのこと。

誰も次の紹介を名乗り出ないことを見て、俺の隣に座る女の子が挙手した。


「私は灰田抄子。灰田でも抄子でも、どちらでも。変なあだ名は……勘弁してください」



灰田(はいだ) 抄子(しょうこ)

年齢 ー【15歳】

生年月日 ー【2024年2月20日】

身長 ー【157センチ】

能力 ー【現象系 <<振動>> 】


ー 備考 ー

○茶色の綺麗な髪。

○毛先が真っ直ぐなミディアムボブだ。

○瞳の色も茶けている。

○整った顔立ちで、年相応の雰囲気。

○見た目からなのか話し方からなのか賢そうな一面を感じる。



「能力は現象系。主に振動を操る能力で最大3m先を震動の発生源にできるわ。球状に揺れを発生させる以外に、縦揺れと横揺れもできる。でもそっち二つは要鍛錬が必要かな。威力は最大で地割れを起こせる程度」

「……終わり?」

「ええ」

「ほんじゃあ次俺行くわ」



古賀(こが) 虎宇治(こうじ)

年齢 ー【15歳】

生年月日 ー【2024年12月24日】

身長 ー【172センチ】

能力1 ー【現象系 <<空気塊(くうきかい)>> 】

能力2 ー【変身系 <<獣化 : 虎>> 】


ー 備考 ー

○金色の髪に黒色のメッシュ。

○猫のような瞳はセレモニーの時一緒になった西条さんと一緒。

○目の色が西条さんが琥珀色だったのに対して古賀くんのは翡翠色。

○体型は細いが筋肉がついている細さだ。



「俺の能力は2つ。変身系と現象系。変身系は大型の虎に変化するやつ。変化後の身体能力の倍率は約30倍。俊敏系の能力者に追いつけるくらいには早く動けるし並の怪力系よりも馬力がある。けど燃費が悪い。一回10分、クールタイムは30分」


んで。


「もう一つ、現象系。風を操る能力。ただ攻撃特化というより妨害系で、風圧だったり空気の塊を罠みたいに設置できるって感じやな。大きさは頑張ってこの教室くらいやな」


机をトントンとつつく。


「……なるほど…」

「燃費は風系の例に漏れず悪い」

「……あれだね、古賀くんは銃火器って感じだね」

「そうやな、よくそう言われるわ」


灰田さん、すっごい考えてる。

俺が必死に情報を固めてる中で、平然と相槌だったり見解を述べてる。


集中しているのかずっと机をみてる。


「じゃあ次、僕かな。僕は米田健二(けんじ)。よく……けんちゃん、とか呼ばれてます」

「流石にまだけんちゃんの距離感ではないなぁ」

「そ、そっか。まぁ呼び方とか全然、なんでも、大丈夫っ」



米田(よねだ) 健二(けんじ)

あだな? ー【けんちゃん】

年齢 ー【15歳】

生年月日 ー【2024年9月19日】

身長 ー【171センチ】

能力 ー【治癒系 <<持続性治癒>> 】


ー 備考 ー

○灰色の髪。

○髪型は目立った感じじゃなく耳にかかるくらい。

○優しい顔立ち。

○喋り方は少し気弱な気色を感じる。

○かなり細身だ。



「能力は回復系。ちょっと…僕のは特殊で、回復後に回復持続効果が付くんだ。回復力も高くて、10センチ程度なら欠損していてもしっかり治せるし、傷の深さも、その、腕の骨部分まで届いていても1分くらいあれば治し切れる。あ、あと除菌作用というか病原体を吹き飛ばす効果もある。普段使いなら風邪予防にもなるよ」


そんな話を聞いて。


「あらすごいわね健二! 普通の回復能力よりもすごい能力よ! 蘇我ファミリーに来てくれてありがとう! あなたは欠かせない家族よ!!」

「あっ……うん…」


蘇我さんはけたたましい声を上げて賞賛した


「そうだわ! ちょっと私風邪を患う予感があるの! かけて!」

「え、あぁうん。どぞ」


米田くんはまぁそれくらいならと言った風にスッと手を蘇我さんへ向かわせた。


米田くんの手が少しずつ蒼い光を帯び始め、その眩しさは増していく。


「発光型なのね…」


灰田さんは少し懸念するようにつぶやいた。


そして金魚鉢ほどの大きさに膨れ上がり、なによりその大きさを視認できるほどまでに発光するそれは米田くんのてから離れて蘇我さんへと浸透していく。


次の瞬間。


「へぇっ…」


ボフンっと風が吹きいでた。

後方に棚びく蘇我さんの綺麗な長い黒い髪。

そして瞑った目を開けた蘇我さんは開口一番に言った。


「回復かけられソムリエとしては健二の回復はとても暖かいわね! ムースの中に放り込まれてる気分よ! 気持ちいいわね! ずっとしててほしいわ!」

「そ、そう…? 回復能力の中には不快感が伴うものもあるって言うから、そう言う評価もらえたの嬉しい」


さて。

最後。

俺。

俺の自己紹介。


集まる視線。

深まる興味。

そして顕になる自己の解像度の低さ。


自分の情報をまとめるのに奔走するほどに、早くしないとと考えてしまい息が詰まってしまう。

それにみんなについての情報を覚えるのに手一杯で、頭がかち割れそう。


頭が、熱い。

燃えて、溶けて、消えてしまいそうで。

とても、痛くて苦しくて、すっごく意識がボーってしてて、疲れてて。


もう、何が何だかわからなくなってきた。


そんな時。


「昇也! ゆっくりで構わないわ! 時間は多分にあるもの!」


蘇我さんがそう言ってくれた。


俺はその言葉を信じることにした。


「ありがとう」


はっきりしない頭。

思考することを受け付けない脳。

だからすごく時間がかかった。


けど、なんとか話せそうだ。


「えっと、俺は華園 昇也(はなぞの しょうや)です。みんな、みたいに、能力の、分類? みたいなの、知らないから、なんとも……言えないし名前も、なくて、それで効果は俺がすっごく強くなれる能力、かな…」

「なるほど。それなら怪力系ね」

「…そう、なん、だ……」


怪力系。

俺の能力は怪力系。


「………」


だめだ。

短くて簡単な言葉のはずなのに。

そのはずなのに。



何故にどうして覚えられない。



全然、頭がその言葉を理解してくれない。

いや、それよりも、頭が、熱い。

さっきが比にならないくらい熱い。



ーーあ。



「ちょっと華園くん!!?」


あれ……。


意識が、フワフワしてる。


それに、灰田さんの声も、周りの音もボヤけてて、遠くて。


なんだろう。


何も、わかんなくなっちゃった。

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