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SSC ホーリークレイドル 〜消滅エンドに抗う者達〜   作者: Prasis
フロラシオンデイズ 第二章~エンジェルディセント~
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2-38 雷弾解放

 雷人は廃墟の壁を背に様子を(うかが)っていた。

 かなりの数のロボットが数メートルの距離を開けてゆっくり進軍してくる。


 この状況はなんとなく(なつ)かしく思えるが、実際のところそれほど前でもない気がする。

 長かったような。短かったような。


 以前の俺ならこれほどの数が相手では歯が立たなかっただろう。

 しかし、今は微塵(みじん)も負ける気がしない。


 以前の奴らと比較すると連携も取れているみたいだし、昼間の奴はあまりよく見れなかったがいい動きをしていた気がする。

 そんな感じでだんだんと敵も強くなってきているが、俺の方がもっと強くなっている。


「よし、始めるか。特訓の成果を見せてやる」


 背中に翼をイメージしそれを実体化させる。

 そして飛ぶ事を強くイメージする。


 すると翼の上と前方にカナムが集まってリングを形成、回転を始めた。

 意識してみると確かに感じることが出来る。


 回転速度を上げれば浮かび、下げれば沈む。

 左右で回転速度を変えれば傾き、進む方向を変えることが出来る。


 今までは減速が難しかったが、後ろ側でも回転させて引っ張ればいいわけだし、前側から引っ張るから加速も容易だ。


 昼にやったように他の攻撃にも応用が出来るだろう。

 飛ぶ時には色々と並行して考える必要があるので使いこなすには練習が必要だが、何とも便利な力だ。


 無意識にやるのは難しかったが、知ってしまえば扱い自体はそう難しくない。


雷弾生成(バレットチャージ)


 俺は空高く飛び上がり、自身の周囲にカナムを集めた球を複数回転させる。

 一度に放出することが出来るカナムの量には限りがあるが、戦闘前に出して(とど)めておけば瞬時に使うことが出来る。


 これに関しては以前からやっているが、回転速度が遅いから体の周りを飛ぶ球からの作用は正直分からないレベルだ。


 でも集中してみれば一応は体に若干力が掛かっているような気がするような……?

 もっと早く気付けていればとは思うが、そんなことは今更考えても仕方がない。


「とりあえずは目の前の敵だ。まずは数を減らさないとな」


 俺は手元に球を二つほど引き寄せ一気に急降下し、ロボットの群れより一メートル程上を猛スピードで飛ぶ。


雷弾解放(カナム・バースト)!」


 そのまま下に向かって放電すると、後方で立て続けに爆発が起きた。


「そうそう、ロボットはやられたら爆発しないとな」


 すぐに上昇し、下を見るとすぐさま反撃の銃弾が飛んで来て髪を(かす)める。

 危なかった……一瞬ヒヤッとした。


 かなりの速度で飛んでいたはずなのに(かす)るなんてどんな精度だよ。

 そう思って下を見ると、何十体ものロボットがこちらに銃を向けているのが見えた。


「はぁ!? 何だそれ、いつもに比べて銃持ってる奴の比率が高過ぎるだろ……!」


 流石に危ないので、そのまま動きを止めることなく急いで上空へと離脱(りだつ)する。

 こっちに飛べる奴がいることを考えて増やしたのだろうか? それとも偶々(たまたま)


 なんにしても早急に数を減らさなくては……出来れば離れたままで。


「ってあれは! ミサイル!?」


 数は少ないものの大型のロボットがミサイルを撃ってきた。

 流石にあれは(かわ)せばいいというものではない。変な所に落ちれば被害も大きい。


 この区域は元から廃墟(はいきょ)ばかりだとはいえ、今後の事を考えるとな。

 更地にされると少しやり辛くなる。ここは空中で処理しないとな!


雷弾射撃(カナムバレット)! それから……解放(バースト)!」


 指先に球を集めて放ち、ミサイルに着弾する直前に放電させる。

 こうすれば万が一にも当たらないことは無いし、全てのミサイルを撃ち落とすことが出来る。冴えてるな、俺!


「おわっ! くぉ、いったぁ!」


 などと調子に乗っているとミサイルの爆風に(あお)られて壁に叩きつけられた。

 今のはやばかった。背中に激痛が走った。普通の人間だったら絶対死んでいるだろうな。


 反射的に減速をかけれたのが良かった。

 加えて、身体能力強化と痛覚の軽減もあるからな。


 それらが無ければ悶絶(もんぜつ)どころでは済まなかっただろう。


「はは、やってくれるじゃないか……許さんぞ! 絶対に!」


 若干俺のセリフ悪役っぽいなーとか平和ボケしたことを考えながら、瓦礫(がれき)をどかして起き上がり地面すれすれを高速で飛んだ。


 あんなに銃を持った奴がいたんじゃ、空から行くメリットが少ない。

 すぐに発見されるだけ愚策(ぐさく)とも言えるだろう。


 であれば高速で動きながら一体一体倒し、あわよくば同士討ち(フレンドリーファイア)を狙った方が堅実的(けんじつてき)だ。 


 そんなことを考えながら俺はロボット達の集団を発見し、その中へと突っ込んで行った。

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