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SSC ホーリークレイドル 〜消滅エンドに抗う者達〜   作者: Prasis
フロラシオンデイズ 第二章~エンジェルディセント~
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2-23 予想外の襲撃

「!?」


 腕時計型端末の振動に芽衣と(みはり)以外の四人全員が反応する。

 最近は無かったが、この振動は間違いなく襲撃(しゅうげき)だ。


 くそ、よりによってこんな時に来るだなんて。

 気を()かせて唯が芽衣と哨を遠ざけてくれたのを確認して通信を開く。

 するとシンシアさんの焦った声が響いた。


「休日にすみません! ゲートが確認されました! 襲撃ですよ皆さん!」


「よりによって、こんな時に……。あ……ダメ……気持ち悪い……」


「フィア、こんな所で吐いちゃ駄目だ。吐くならこの袋に……」


「タイミング悪過ぎるでしょ……」


「あれ? 皆さん大丈夫ですか? なんか見るからに体調悪そうですけど……」


 俺達の様子にシンシアさんが動揺している。

 しかし、もたもたしていたら手遅れになってしまうだろう。


「そんなことより今は早く向かわないと、ちょっとは回復して来たし、ロボットだけならどうにでもなるだろ」


「えっと、あの、それがですね」


 なぜだろうか?

 シンシアさんが口を(にご)している。


 言い(にく)いことを言わなければならないみたいな……。

 何かあったのだろうか?


 ……なんだろう外が騒がしい気がする。

 パレードでも始まったのか? 今は止めてもらいたいものだが……。


「何かあったんですか?」


「……実はゲート誘導を妨害されてしまいまして……、出現場所がですね。現在、皆さんのいる所なんです」


「は?」


 予想外の言葉に三人の声が(そろ)った。

 まさにその時、遠くから銃声が響いた。


 俺達は(そろ)って音のした方角を見た。

 するとその方角から煙が上がっているのが見えた。


「な……嘘でしょ?」


「こんな人の多い所で……」


「そんな……」


「皆さん!」


 呆然としている俺達の元へ唯が走ってくる。

 手を引かれて芽衣と哨も走って来た。


「なになに? どうしたの?」


「唯さん、どうして慌てているのですか?」


「どうしたって……あそこから煙が見えるだろ! それに銃声も!」


 緊張感(きんちょうかん)の薄い二人の言葉につい大声を出してしまう。

 一瞬芽衣はビクっとしたが呆れたような顔をした。


「お兄ちゃん何言ってるの? どうせ何かの(もよお)しでしょ? ここは遊園地なんだからさ」


 その言葉に俺ははっとした。そうだ。俺達は敵の出現を知っているが、他の人達からすれば遊園地の(もよお)し物にしか見えないのだ。


「急いで行かないとまずい。俺は大分回復して来たし、先に行ってるぞ」


「私も行きます! 芽衣ちゃん、哨ちゃん、ちょっとフィアさん達に付いててくれませんか?」


 唯が二人の手を(つか)んで目を合わせて話す。

 二人は戸惑(とまど)っているみたいだ。無理もないか……。


「え? あっうん、分かったけど……」


「……兄さん」


「ちょっと……、待ちなさい……」


「フィアさん……。多分今の僕達が行っても足手まといだよ」


「ん? んぅ?」


「……無理はするなよ。回復したら来てくれ」


 不思議そうな顔をしている芽衣と不安そうな(みはり)、そして(けわ)しい顔をしているフィアとダルそうな空を置いて唯と一緒に走っていく。


 煙が上がった方へ走っていくとバイザーを付けた人型のロボットに追い立てられている人々が見えた。


 数はそこまで多くないみたいだ。

 およそ十体、今の俺と唯なら問題なく倒せるはずだ。


「唯、行くぞ! 換装!」


「はい! 換装!」


 瞬く間に全身が光に包まれ、戦闘服に変わる。

 それと同時に全速力で走り出しロボットに接近した。


 そのロボットは素早く槍を構えたが、今の俺にはゆっくりに見える程度の速さだ。


「遅い!」


 軽いステップで(かわ)して属性刀を取り出し、すぐさま胴体を斜めに切り裂く。

 そのままの勢いで先にいた銃を構えるロボットに向けて走る。


 何発か撃ってきたが、空中に壁を作り出して立体的に動く事で(なん)なく(かわ)す。


 最近は飛ぶ練習のついでに立体的に跳ね回るようにして動く練習もしていたのだ。

 レオンの弾幕の前では足場を維持出来なかったからほとんど意味を()さなかったが、この程度の弾幕ならば問題は無い。


 ロボットの背後に降り立ち、くるっと回るようにしてその胴体を易々(やすやす)と切り飛ばす。

 特訓や実戦の経験が身になっているのが分かる。


 あまり実感出来ないのはやっぱり周りが強さのおかしい奴ばかりな所為(せい)だよな。

 ちょっとふらつくがそれでも楽勝だ。


 ちょっと前まで苦戦していたのが嘘みたいだな。

 敵もなんだか動きが良くなっているみたいだが、まるで問題にならない。


 そのまま襲い掛かって来た二体を電撃(でんげき)で撃退する。


 そこで辺りを見回すと残りの六体も既に唯の聖剣によって倒されていた。

 形状変化(フォームレス)も以前より強力になっているみたいだ。

 変化の速度がかなり上がっている。


「唯も大丈夫そうだな」


「はい、私も(きた)えていますから。さぁ、のんびりはしていられません。先を急ぎましょう」


「そうだな」


 周りの人々の視線を感じるが、そんなことを気にしている余裕はない。

 そのまま、前方にいるロボットを倒しつつ進んで行くと開けた場所に出た。


 どうやら中央広場を意識した場所のようだ。

 半径二十メートル程の広い空間の真ん中に噴水(ふんすい)があり、外周に沿()って出店が並んでいる。


 広場に踏み入りロボットがいないかと見回してみると、その噴水の中央にそびえる柱時計の上に座っている影があった。

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