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SSC ホーリークレイドル 〜消滅エンドに抗う者達〜   作者: Prasis
フロラシオンデイズ 第二章~エンジェルディセント~
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2-18 魔法少女クレイジーバット&デビルアイ

 何とか芽衣を寝かしつけることが出来た。

 ベッドに入れば案外早く眠ってくれたので助かった。


 だが問題はまだ残っている。

 リビングに戻るとフィアがジト目でこっちを見ていた。


「……兄妹以上でも以下でもないぞ」


「どうかしらね……」


 ジト目は続くが、今はそれどころではないのだ。

 このままでは明日の遊園地に支障(ししょう)が出る。


 フィアを連れて行かないという手もあるが、経験上、芽衣はフィアも連れて行きたがるだろうし、仲間外れにすればフィアの機嫌が悪化しかねない。


 諸々(もろもろ)を考えると、フィアの服装を変えるのが一番手っ取り早いんだよな。


「フィア、ちょっと聞きたいんだが、邦桜の服とかは持ってないのか?」


「邦桜の服? 持ってないけど」


 ですよねー。と全力で叫びたくなった。


 確か邦桜に来た理由で買い物したいとか言ってなかったか?

 何でそれ用の服を持っていないんだ!


「へぇ、フィアさんってまだ買い物とかは行ってなかったんだ?」


 俺が頭を抱えていると、なんとか(みはり)を寝かしつけられたらしく空が戻って来た。

 するとフィアはちょっと待ってて、とか言って自分の部屋に向かうと何かを持って戻ってきた。


「ふふふ、そうでもないわ。実は二人が学校に行ってる間に買いに行ったりしてたのよね。ほらこれ見てよ。魔法少女クレイジーバット&デビルアイ、略してクレデビのグッズよ! 他では手に入らない物がたくさんあったのよ。えへへへへ」


 その服装で行っていたのかというのもあるが、今のフィアの顔もなかなかやばいな。

 ゆるっゆるだ。


 魔法少女クレイジーバット&デビルアイというのは四年程前に有名になったアニメだ。

 かなり斬新(ざんしん)な作品で、当時は多くの熱狂的なファンを作り出した。


 基本的な設定はよくあるもので、平凡な女子高校生の二人が(なぞ)生物から悪を倒す魔法少女になってくれと頼まれ、怪物や怪人と戦うというものだ。


 しかし、定番と言えるのは最初の数話だけだ。

 最初は若干嫌々やっているのだが、主人公達は途中から敵を倒すことに快感を覚え始める。


 さらに進むと人をいたぶることに快感を覚えるようになり、怪人だったり悪人ならばいたぶっても問題ないという考えから積極的に悪人達を襲い、結果的に世界を救うという話になっていくのだ。


 確か中盤からはやり過ぎということで警察にも追われていたはずだ。

 この主人公達が少しずつ壊れていく描写が上手く、話もなかなかに面白かった。

 しかし、内容が内容なのでアンチもそれなりに多かったんだよな。


 ちなみにタイトルから想像出来るかもしれないが、一人は魔法(物理)のバットで敵を殴り、もう一人は魔法の大鎌と目から放つ光線で戦う魔法少女? なのである。


 あれ……フィアも(はま)ってたのか。

 まぁいいや。これに関しては今は置いておこう。話が()れる。


「その格好で行ってたなら、怪しまれなかったのか? それに、ラグーンシティじゃその時間に子供がうろついてること自体怪しまれそうなんだが?」


「大丈夫よ。ちゃんと朝葉原(あさはばら)に行ってきたから、多分コスプレとしか思われないんじゃないかしら?」


 普通にラグーンシティの外に出てたのか……。

 転移出来るんだから出来るだろうけどさ。


 そういえば、この家を買う時にはどうしたんだろうか?

 ……まあ過ぎた事は気にしても仕方がない。


「とりあえず、そのままだと目立ち過ぎるからな。明日朝一で買いに行くか」


 俺がそう言うと、フィアはローブを広げて自身の恰好(かっこう)を確認し始めた。

 やっぱり自覚は無いのか?


「この服そこまでダメかしら? それなりに気に入ってるんだけど……。あぁ、そんな目で見ないでよ。分かった。分かったから。明日買いに行くわよ。もう」


 まだ(しぶ)るようだったので、空と二人でジト目で見てやるとようやく了承した。

 なんとかなりそうで良かった良かった。しかし、空は未だに(あご)に手を当てて何か考え込んでいる様子だ。


「どうした?」


「いや、思ったんだけどさ。僕らじゃ女の子の服なんて分からなくない?」


「いやいや、フィアが好きな服選べばいいんだからさ。問題ないだろ?」


「でもフィアさんの好きな服って普通の服なのかな?」


「……」


 言われてみればそうだ。

 フィアにとっては今の服が普通なのだ。

 であればその感性は……。


「フィア、自分で選べそうか?」


「そんな事言われても分からないけど、ここで売ってる物ならどれでも大丈夫でしょ?」


 これはまずい。どうなるか分からないが、俺達が付いて行っても女子の服装など分からないしな……。そうだ!


「そうだよ。簡単な方法があるじゃないか!」


「?」


 俺の言葉に二人が不思議そうな顔をする。

 実に簡単な事だったな。自分達で出来ないなら、出来る奴を頼ればいいじゃないか。


 こうして俺はすぐに準備に取り掛かるのだった。

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