表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
SSC ホーリークレイドル 〜消滅エンドに抗う者達〜   作者: Prasis
フロラシオンデイズ 第二章~エンジェルディセント~
68/445

2-14 新種の物質

「さてと、これが結果なわけだが……簡潔に言うと、この粒子は新種の物質だな」


「新種?」


「やっぱり?」


「あぁ、もしかしたらどこかでは発見されてるかもしれないが、俺の調べられる範囲では同じものは見つからなかった」


 そう言ってウルガスさんは紙を見せてきた。


 一応は見てみたが、何が書かれているのかさっぱり分からない。

 紙からウルガスさんへと視線を向ける。


「何か分かったことはあるんですか?」


「あぁ、あるぞ。お前さんがどうやって空を飛んでいたのかが分かった」


 ウルガスさんはそう言うとホワイトボードに簡単な絵を描きながら説明を始めた。


「結論から言って、この粒子は円を描くように回転する事でその円の内側に力場を発生させることが分かった」


「力場ですか?」


「そうだ。分かりやすく言うなら磁石みたいなものだな。粒子が描く円を面と考えると、片側には引き付ける力、もう片側には遠ざける力が働くわけだ。引力と斥力ってやつだな」


 ウルガスさんの説明にフィアが首を傾げた。


「それが飛ぶ事とどう関係あるの?」


「それなんだがな。どうやら粒子の回転によって発生したこの力はこの粒子にだけ作用するらしい。ほら、お前さんの翼もその粒子で出来てるだろ? だから、翼を引っ張る事で動きを制御してたって事だろうな」


 そう言われて試しに飛んでみると、確かに翼の上に青白色(せいはくしょく)の輪っかが浮かんでいた。これが作用していたのか。


「なるほど、よく見ると確かに回転してますね」


 粒子の回転速度を調整して地面に降りる。

 真っ直ぐ全力で飛ぶ事しか出来なかった最初に比べると、かなり上手く扱えるようになってきた。ウルガスさんがその様子を見ながらうんうんと頷く。


「まぁ、そういう事だ。これが分かっただけでも色々と応用が効くんじゃないか? 後はそうだな……名前はどうするんだ?」


「名前ですか?」


「あぁ、正式名称は置いておくにしても、とりあえず呼ぶ時の名前が無いと不便だろ?」


「確かにそうですね」


「今回はかなり(まれ)なケースだけど、こういう場合は本人が名前をつけるべきよね」


「そうだな。雷人、カッコいい名前を考えとけよ?」


 ウルガスさんがにやにやとしながらこっちを見ている。

 面白い名前でも期待しているのだろうか?


「名前、名前か……。分かりました。考えておきます」


「おう、それじゃ俺の用事は終わりだ。疲れてるみたいだし、とりあえず今日はゆっくり休めよ」


ウルガスさんはそう言うと、手をひらひらさせながら奥の方へと歩いて行った。

名前……これは重要だ。


何か技を考えたりしたら、その粒子の名前にちなんだものになるかもしれない。

じっくりと考えたいところだな。ちらりとフィアを見ると何やらジーっとこっちを見ていた。しまった、待たせちゃってたか。


「悪い。待たせたな」


「んーん、大丈夫。ねぇ……名前、例えばフィートとか、どう?」


 突然、なぜか上目がちにそんな事をフィアが言ってくる。

 フィート? それって距離か何かの単位じゃなかっただろうか?


 んー、語呂(ごろ)は悪くないが何か違う気がする。


「ちょっとイメージと違うな」


「……そう」


「まぁ、それについては後で考えるとして、今日はとりあえず帰ろう。なんだかんだで結構疲れた」


 俺は腕を上に向けて伸びをしながらそう言った。

 フィアはどことなく残念そうな顔をしている。


 そんなに気にいってたんだろうか?

 まぁ、何にしても今日の所は早くベッドで休みたい。

 そう考えているとフィアが手をポンと打った。


「そうだ。雷人、今日は疲れてるんでしょ? じゃあ、私が肉じゃがを作ってあげるわ」


 そして、突然そんなことを言い出した。

 そういえば最近は一緒に暮らしているが、いつも料理は俺が作っていた。

 果たしてフィアは料理が出来るのだろうか?


 アニメや漫画ならヒロインは上手いかド下手かの二択だ。

 変な属性持ってないだろうな?


「フィアって料理得意なのか?」


「任せて! パパもマリエル姉さんも私の料理の腕は認めてるんだから!」


「そっか、それじゃあ楽しみにさせてもらおうかな」


 彼等の味覚は知らないが、少なくとも俺の作った料理をフィアはうまいと言っていたからな。自信があるのなら問題は無いだろう。


「それじゃあ、早く帰りましょ」


 そう言って足早に歩き出すフィアに付いて、俺は控え室へと戻るのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ