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SSC ホーリークレイドル 〜消滅エンドに抗う者達〜   作者: Prasis
フロラシオンデイズ 第一章~デーモンフォール~
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1-46 ファイヤー! へっ!?

 雷人は走っていた。


 あの男は発言はチンピラみたいだったが、力は強かったし、恐らく戦闘技術もあった。

 正直、俺が相手では奴の本気を引き出す事も出来なかったので、フィアとどっちが強いかなんて分からない。


 だが、そんな俺にもやれる事はある。ロボットが街に侵入しないようにその全てを破壊するのだ。

 自分の力の無さに悔しさが込み上げるが、今すぐに力が強くなる事は無い。今は自分に出来る事をする。


 それがフィアの助けになるはずなのだ。

 そう考えると腕時計型端末を使って連絡を取った。


「空、唯。フィアがあの人影の奴と交戦を始めた。ここからは俺達だけだ、きっちり守るぞ」


「了解。こっちも路地に逃げ込んだ奴は全部倒したよ。そろそろあれ、行けるんじゃない?」


「準備オーケーです。予定通り追い込み完了しましたよ。これで全てとはいきませんが、頭数は減らせるはずです」


 空達の返事に雷人は小さくガッツポーズをした。


 実はこの町の橋に繋がる道を廃ビルを倒すなりして(ふさ)ぎ、かつ大きな音を立てて敵を倒す事で相手の動きを誘導しておいたのだ。


 奴らはロボット、その動きは存外単純なものであった。

 これまでの戦闘から大きな戦闘音を聞いた時、一定よりも近いものは寄って来るが遠いものは避けようとする事が分かっていたため、それを利用したのだ。


 即興だったので上手くいくかは()けだったが、どうやら成功したらしい。

 雷人が目標地点に辿り着くと百体近いロボットが行き止まりにひしめいていた。今が好機だ。


 その場所にはフィアの持っていた爆弾が仕掛けられており、起爆スイッチは三人でそれぞれ持っていた。


 一人が持っていると、不測の事態が起きた際に押せなくなってしまう可能性があったためだ。


「よしやるぞ。せっかくだし同時に押すか」


「じゃあ、一、二の三で押そう」


「はい! では、一、二の三!」


「ファイヤー!」


「へっ!?」


 空と雷人の大声の掛け声に唯が素っ頓狂(すっとんきょう)な声を上げるが、それもすぐに巨大な爆発の音に()き消された。


 恐らく後処理をするらしい夕凪先生は頭を抱えている事だろう。近くにいた雷人を爆風が襲いバランスを崩して尻餅(しりもち)をついた。


「うひゃぁ!」


「きゃあ!」


「おわっ! ……はは、こりゃ凄いわ」


 空や唯の驚いた声が聞こえてくる。(のぞ)いてみると、群がっていたロボット達は跡形もなく消し飛んでいた。


 そこには(えぐ)れた地面と爆発の焦げ跡のみが残っていた。

 俺ももう少し近付いていたら危なかったかもしれない。


「空、唯、無事か?」


「僕は離れた所にいたから大丈夫だけど、結構凄かったね。地上で花火が上がったみたいな感じだよ」


「私も大丈夫です。でも、ちょっと腰が抜けちゃいました……。あはは」


「良かった。唯は少し休んでてくれ。現状を確認しよう。シンシアさん聞こえますか?」


 雷人が腕時計型端末に話しかけると即座に明るい声が返ってくる。


「はいはーい、聞こえてますよー」


「今の敵の数と位置を教えてもらえますか?」


「はいはい、聞かれると思って確認中です。皆さんに転送しますので五秒程したらマップって言って下さい。それで表示されますので」


 雷人、空、唯が五秒待ってマップと唱えるとそれぞれの目の前に、ここ侵入不可区画の地図が表示された。


 そこには恐らく自分達の位置にそれぞれをデフォルメしたような絵が付いていて、所々に赤色の点が存在していた。恐らく赤の点は敵の位置だろう。


 何とも便利なものである。まるでゲームみたいだ。

 それにしても、デフォルメ絵の意味はあるのだろうか? 分かりやすいから悪くはないが……変な所に(こだわ)ってるな。


 橋から二百メートル程の位置に三十メートル程離れて雷人と唯、東に三百メートル程離れて空、中央付近にフィアと赤色の点が存在する。


 フィアとあの男が戦っている証拠だ。その他の赤点は橋のある方側半分に散らばって存在していた。誘導する時に中央に集めようとしたが反対側に寄ってしまったらしく、その多くは端っこ、海沿いに橋へと向かっていた。


「わぁ、凄いね。エリア全域が載ってるよ」


「邦桜政府のくれたデータと完全に同期出来たのが先程だったので、少し遅くなってしまいました。すみません」


 空の言葉にシンシアが謝罪する。邦桜の衛星を使った位置把握を用いているのだろう。

 つまり上から捕捉出来ない位置に残敵がいる可能性もあるが、まぁ、よっぽど大丈夫だろう。


 残っているのは映っているものだけと考えて良いはずだ。

 赤の点を数えて呟く、点は今も移動している。早く方針を決めないとな。


「残りはおよそ五十体か、どうする?」


「では、私は西側に向かいますね」


「僕はこのまま、東側にいる奴を倒すよ」


「分かった。じゃあ俺は中央付近に点在してるこいつらを倒す。そっちは任せるぞ二人とも。何かあったら呼んでくれ。助けに行くから」


「了解!」


 方針を固めると景気よく声を上げ、それぞれが素早く動き始めた。

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