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SSC ホーリークレイドル 〜消滅エンドに抗う者達〜   作者: Prasis
マキナウォルンデイズ 第七章~マキリスエスケープ~
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7-53 仲間が増えますよ

 ホーリークレイドルに戻った後、ミューカスさんにフレイルさんを会わせた所、多少重めではあるが風邪で間違いないとのことで、後はミューカスさんに任せた。


 ついでに気を失っていたフォレオとシルフェも預け、カミンさんの仕事場になる予定の技術研究所に向けて俺達は歩いていた。


「ふー、いやぁ何とかなって良かったけど、疲れたなぁ」


「今回は私達を助けるために来てくれて本当に助かった。赤の他人のために命を()けて行動出来るとは、君達は凄いな」


「私達はこれが仕事なのよ。確かに今回はかなり危なくて冷や冷やしたけど、ディビナの予言もあったし上手く行くと思っていたわ」


「予言? そんなものがあったのか」


「予言とは言っても未来は必ずしも確定してるわけじゃないみたいだし、それを知った俺達の行動次第で変わる可能性もある。まぁ、占いのようなものと思えばいいと思うけどな」


「そういうものなのか」


「……そういえば雷人、ディビナさんの力の事なんて知ってたのね。それも結構(くわ)しいじゃない」


「あ、あぁ、前に聞く機会があってな」


「ふぅん?」


「あ、ほら、技術研究所に着いたぞ。早く行こう」


 危ない危ない。フィアに例の話は出来ないから、深く聞かれる前に話題を変えないとな。

 墓穴を掘らないように注意しないと。


 そう考えた俺は早歩きで先行すると技術研究所の扉を開いた。

 するとそこにいたのは……。


「賞賛、なかなか良い設備が(そろ)っているみたいですね。しかし、こちらのものなどは改良の余地があるかと思います。反応速度など、今の五倍はいけますね」


「んなっ! マジかよ。確かに(いそが)しさにかまけて機械の更新は出来てなかったが、そんなに変わるなんてな。(ちな)みにそれはやってもらえたりするのか?」


「肯定、いいでしょう。これからお世話になる身なのです。こちらで出来る事は可能な限り協力しましょう」


「おぉ、やった。これで普段の業務をさっさと片付けて研究の時間が……おっと、来てたのかお前達」


 マザーと側に(ひか)えているのは八重桜のリーダーとかいう……確かボタンだったか。


「……えっと? どうしてマザーがここにいるんだ?」


「マザー!? どうしたのですか、あなたがマキナウォルンを離れてしまったら大混乱が起きますよ!」


「あぁ、大丈夫だ。問題ない。気にしなくてもいいぞ」


「ボタン殿まで来て、あなたは止める立場でしょう」


失念(しつねん)、そういえば言っていませんでしたね」


「言ってないって、何のことだ?」


「私の能力についてです。私の作った機人族(マキリス)にはそういった機能はありませんが、私にはこういう能力があるのです」


 そう言ってマザーが前に手を(かざ)すとマザーと全く同じ見た目の体が空中に投影されるかのように現れた。


 そして、それは当然かの様に動き出した。


「ん? 幻影かな?」


「それにしては(みょう)にリアルだけど……もしかして……」


「……スキャンした限りではマザーと全く同質の存在だ。これはまさか……」


「肯定、私は自身の分身を作り出すことが出来ます。そして、私の意識はマザーネットワークそのものですから」


「このように新たな体も同様の意思を共有しているのです。無論、無闇に増やすつもりはありませんが、こうしていれば外に出た子供達にも私は付いて行けますし、私が付いていれば安心出来ることに気付きました。ふふ、私は天才だったみたいですね」


 ま、マザーが増えるだって? しかも、外に出た子供達に付いて来る?

 おいおい、やっぱりマザーってただのモンスターペアレント……。

 

「疑念。雷人、何か失礼な事を考えていませんか?」


「い、いえ、滅相(めっそう)も無い」


「それならばよいですが、先程所長のウルガスからこの技術研究所は人手不足だと聞きました。私なら十分な技術を持った機人族(子供達)を作れますし、労働力の改善が出来るのです。わざわざ断る理由も無いでしょう?」


「……雷人、フィア、うちのマザーがすまないな。世話(せわ)を掛ける」


「どうやらウルガスも喜んでるみたいだし、メリットの方が大きいだろうから確かに断る理由はないわね。……ねぇ、雷人。もしかしてディビナが言ってた仲間が増えますよって……」


「あぁ、俺も思ってた。多分こっちだろ……」


 マザー=機人族(マキリス)全てが仲間になるとか、想像出来るわけないだろ!


「確かに近いうちにとは言ってたが、近過ぎるだろ。半日も経ってないぞ」


「すまないな。マザーの意向で世話(せわ)になる。改めてよろしく頼む」


挨拶(あいさつ)、約束をきちんと果たしてくれるのかしっかり見守らせて頂きますので、宜しくお願いしますね。皆さん」


 そう言うと、マザーとボタンは(うやうや)しく頭を下げたのだった。

死んだはずのマザーが生きていた理由、それは分身だったんですね!

これまでマキナウォルンに引きこもっていたマザーが外に出る事を覚えてしまいました。

これからは外に出る機人族の行先の数=外に出るマザーの数というとんでもない現象が……。

母とは何とも頼もしく、恐ろしいものですね!

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