表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
SSC ホーリークレイドル 〜消滅エンドに抗う者達〜   作者: Prasis
マキナウォルンデイズ 第七章~マキリスエスケープ~
419/445

7-31 移動だけで戦力の大半が駄目になったんだが……どうすんのこれ

 飛んでいた車体の側面(そくめん)から何やら翼のようなものが出て来た。

 一応飛ぶことが出来るようで一安心したのもつかの間、少しテンションが上がったらしいシルフェが不穏(ふおん)な事を口にした。


「おー! カッコいいねー! ねぇねぇ、この翼の後ろに付いてるそれは何なの?」


 ん? 翼の後ろに付いてる? ……ちょっと待て? 待て待て待て!?


「あぁ、それは今から使うものだ。強い衝撃が来るから備えてくれ」


「やっはー! ロマン第二段! いっくよぉーー!!」


「衝撃? ロマン? な、何か嫌な予感がするのです」


「あ、あはは、奇遇(きぐう)ね。私もそんな予感がするわ」


「わくわく、わくわく」


「よし、それじゃいくぞ。起動!」


「ちょっ、待っ!? まあああああああああああああああ!?」


「わあああああああああああああああああぁ!?」


 翼の後ろに付いていたジェットエンジンらしき物が炎を()き出し、スピードが一気に上がった。ぐおおおおお、力が掛かるぅ! って待て待て待て! 正面に高層ビルが見えるんだが!?


「前! 前!」


「分かっている。私の操縦(そうじゅう)は完璧だ。ふっ」


「やー! いけいけー!」


「ぐぎぎ!」


 車体……いや、機体と言った方が良いのか? それが姿勢(しせい)を九十度変えて下からジェットを噴出(ふんしゅつ)したらしく一気に進路が変わる。


 イルミとカミンさんは平気なようだが俺達はもはや(さけ)ぶことも出来ずにただただ機体にしがみ付いていた。


「よし、そろそろ着陸に移行する。減速機構、展開!」


「やー! ロマン第三段! 来るよ来るよ来るよー!」


「ろ、ロマン……ロマン!?」


「いや、もう()ろしてぇ!」


「あは、あはははははは!」


「おい! 壊れるな! 気をしっかり持てっ……えええええええぇ!」


 イルミのロマンという言葉に恐怖する女性陣。初対面の時を彷彿(ほうふつ)とさせるやばめな笑い方をするシルフェに声を掛けながら俺は魔法陣のような見た目の何かが前方に複数展開されたのを見た。


 そして、機体がそれを通り抜けるたびに段階的に減速され、それに応じた負荷(ふか)が襲い掛かって来た。翼が仕舞(しま)われ、車が地面を走り出した(ころ)には俺達は全員ぐったりとしていた。


「も……もうだめぇ」


「こ、ここまでとは……聞いていないのですぅ」


「うへぇ、もうむりぃ」


「……おい、移動だけで戦力の大半が駄目になったんだが……どうすんのこれ」


「なんと、人族は高速で移動すると憔悴(しょうすい)してしまうのだな。まいったな……人族への知見(ちけん)のなさがこうも響くとは、しかし休む(ひま)はなさそうだ。今更止まれないぞ!」


 カミンさんがそう言うと走っていた車体が大きく()れ、近くで何やら爆発が起こった。

 疲れ切った体に(むち)を打って視線を上げると、何やらドローンの様に空を飛ぶロボットがミサイルを()ちながら追いかけて来ていた。


「も、もう襲撃(しゅうげき)がバレたのか? 確かに派手(はで)だったとは思うが対応が早過ぎないか?」


「いや、あれはただの警備(けいび)ロボだ。予定にない車が走っているから止めに来ただけで、通常対応の範囲内だよ」


「通常対応でミサイルブッパするの!? マキナウォルン物騒(ぶっそう)だな!?」


「やー、これは迎撃(げいげき)しないとヤバそうだねぇ。ほらほら皆、これ飲んで飲んでー、すぐに元気になるよぉー」


 そう言ってイルミが何かの液体をぐったりしていた俺達に無理やり飲ませてきた。

 な、何かラムネみたいな味の飲み物だな……って、ん? 本当に体が楽になってきた?


「あれ? 何か気持ち悪いのが治まってきたわね」


「何ですかこれ!? こんなすぐに体調がよくなるとか! 一体何を飲ませたんですか!?」


「うおー! 元気になった! 即効性(そっこうせい)抜群(ばつぐん)だねぇ。凄い!」


「え、マジで何を飲ませたの?」


「やー、星間商人からこっそり買ったものでねー。即効性(そっこうせい)の万能薬だって話だよ? 特に人体に悪いものじゃないらしいけど、次の日は二日酔(ふつかよ)い? みたいになるらしいから気を付けてね!」


「な、何ですかその明らかに危なそうな飲み物……」


「気を付けろって、何に気を付けるんだよ。飲ませられた時点でもう遅いだろっ!?」


 イルミに文句(もんく)を言っていたらまた近くで爆発が起きて熱波に襲われる。

 そうだ、今は追われている真っ最中(さいちゅう)だったな。


「わわわ、言い争いをしてる場合じゃなさそうだよ!」


「……そうね。とりあえず今日大丈夫なら後はミューカスに何とかしてもらえばいいわ。まずは作戦を成功させるわよ!」


 何で機人族(マキリス)なのにそんな薬を買ってたんだとか、こうなるの分かってたんだろとか、いろいろ聞きたい事はあるがフィアの言う通りだな。


「あぁ、やるぞ!」


 そして、俺達は各々(おのおの)に武器を構えたのだった。

ロマン、やっぱりロマンですよねぇ!

……えっ、こんなのはロマンじゃないですか? そうですかぁ。

でも楽しければOKです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ