7-28 ガッティーノ
「やー、皆大人気だねぇ。というわけでこの三人がファンの代表だよー。オネエがゲインでー、ちっちゃいのがハカス。一番おっきいのがムスコロだよー。三人とも機人族でもトップクラスのハッカーだからねー。凄く頼りになっちゃう!」
「三人ともハッカー? ハカス以外もか?」
「そうでゲース! 我ら三人はハッカーグループ「ガッティーノ」!」
「オデ達、情報収集、宣伝、応援すル」
「あたし達はイルミちゃんを羽ばたかせる翼なのよー!」
「天才ハカーであるこのハカス率いる「ガッティーノ」に掛かれば、出来ないことは無いのでゲース!」
個性派集団なのでちょっと信じがたいが、イルミもトップクラスと言っていたし多分優秀なのだろう。
そもそも、機人族自体に情報戦に強そうなイメージがあるしな。
「とりあえず頼りになりそうなことは分かった。俺はSSCの隊員の雷人だ。よろしくな」
「同じくフィアよ。あなた達みたいな素敵な機人族と知り合えて嬉しいわ。良かったらどんな活躍してるかとか教えてね」
「うちはフォレオです。作戦では全員の力が必要不可欠ですから、期待していますよ」
「私はシルフェだよ。頑張ってカミン達とイルミを脱出させようね。よろしく!」
「カミンだ。そしてこっちが私の妻のフレイル。イルミと同様マキナウォルンからの脱出を目指している。協力に感謝する。よろしく頼む」
「よろしくお願いします~」
「うんうん、他にも協力してくれる「ガッティーノ」のメンバーもいるけど、とりあえずここを拠点にしてるメンバーの顔合わせは終わったねー! それじゃ、作戦決行は明日の朝! 時間も無いし、作戦について具体的な話を詰めていこーう!」
そうして俺達はイルミの先導で歩き出し、拠点の中心付近にあった簡易的な建物へと向かっていったのだった。
*****
「了承、その件は迅速に進めて下さい。それでは次の報告をお願いします。……把握、確かにその区画は規格が古くなっていますね。準備が出来次第、順次取り壊して立て直しを進めて下さい。それでは次の報告を……終了。そうですか。それでは私はしばらく休息をとります。何かあれば知らせて下さい。……ふぅ、ようやく一段落ですね」
真っ暗な部屋にある一つの椅子。その椅子に座る小柄な少女が勢いよく全身を預けるように背もたれにもたれかかった。
ボーっと上を見上げる少女の長い白銀の髪がふわっと空気を巻き込むようにして広がり、ゆっくりと収束する。
ゆったりとした時間が流れる中、不意に部屋の扉が開いた。
そこには、真っ黒な長髪が綺麗な女性が立っていた。マザーの近衛、八重桜のリーダーであるボタンだ。
「ボタンですか。どうかしましたか?」
「いえ、マザーの様子は如何かと思い。差し出がましかったでしょうか?」
「否定、差し出がましいだなんて、そんな事あるはずがありません。我が子の心配を煩わしく思うことなど、ありえないのです」
「……ウコンとイコウからも報告がありました。明日、反抗者が攻めてくるのですよね。我等の対応は伺っていますが、本当にこれで良いのですか?」
「肯定、もちろんです。伝えた内容に変更はありません。対立、試練の時です。私から巣立とうと言うのですから、相応の覚悟を持ってもらいましょう」
「……承知しました」
そう言ってボタンは部屋を後にした。
残されたマザーは一人、悲しげに微笑んでいた。
マザーに襲撃がバレているとはつゆ知らず、作戦決行の時が迫る。
果たしてマザーの思惑は如何に、乞うご期待!
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