7-27 三人のイロモノ
「着いたー! たっだいまー!」
円盤が下に着くと同時に飛び出すイルミ、その前にさっきこちらに手を振っていた三人組が駆け寄って来た。
「あらあら、やっと来たのね子猫ちゃん達。なかなか降りてこないからあたし心配しちゃったわー」
まず声を上げたのは長身でおしゃれな機人族。
この喋り方にこのイントネーションの感じ、それは一つの核心を俺にもたらした。この機人族は、オネェだ!
顔は良いし、いい感じにパーマが掛かったピンク色の髪が色気を醸し出しているが、その体つきは細身であるものの男性モデルのように見える。
まさか機人族にもオネェがいるだなんて驚きだ。
悪印象を与えるだろうから口には出さないけどな。
「その話し方……あなたオネェね!」
「はい、こんな特徴的な話し方は間違いありません。絶対にオネェです!」
なっ! 俺が折角我慢したというのにフィアとフォレオが興奮したようにそんなことを口走った。
これから一緒に作戦をこなさなければならないというのに、いきなり亀裂が……。
「そうよ! あたしはオネェよ!」
って認めたああああ! この人、良識があるタイプのオネエだ!
「ふふふ、そこの少年。驚いた顔をしているでゲスね。ゲインがオネエ呼ばわりをされたことで激怒するとでも思ったでゲスか? 残念ながら我々は奇異の目で見られることには慣れているのでゲス! そう、この僕も言われているのでゲス。天才ハカーとね!」
おぉう、また奇天烈なキャラが出て来やがった。
機人族なのに眼鏡を掛けてるし、マスコットかと思うくらいの低身長、というか本当にデフォルメキャラみたいな見た目してやがる。フィギュアロイドの世界から来たんですか?
「その語尾とか色々気になるところではあるけど、ハカーでいいのかハカーで」
「今この人ゲスって言ったわよ、ゲスって! こんな濃い人が実在しただなんて!今日は何て日なの!」
「いやいやいや、こんなのはキャラ付けに決まっていますよ! すぐにボロが出るはずです! だって、そんなネタキャラみたいな話し方をする人が実在するはずがありませんから! ありませんから!」
こらこら、テンションを上げるな。
フォレオもにやにやが抑えられてないぞ。
「は? キャラ付けでゲスか? はー、甘いでゲスね。この天才ハカーたる僕が常識に納まるはずがないのでゲース!」
「ふふふ、可愛い子猫ちゃん達ね。でもハカスはいつもこんな感じよ。これで平常運転なのよー!」
「キター!!」
何だこの付いて行き難いテンションの高さは。
まさか……もう一人もこんな感じなのか?
そう思ってもう一人に目を向ける。
もう一人は身長三メートルはあろうかという巨体の持ち主で、俺達で言えばゴリゴリのマッチョな体形の機人族だった。
下半身に対して割増しで大きな上半身。この姿から想像されるキャラは……。
ワクワクな視線をフィアとフォレオが向ける中、遂に三人目が口を開いた。
「残念だったナ。オデには、二人みたいな、特徴はないゾ」
「キター!!」
「な、なんダ」
「典型的なキャラが来たわ! 絶対不器用と見せかけて器用なタイプよこの人!」
「絶対花とか愛でてるタイプですよこの人!」
「た、確かに、花は好きダ。何で分かル?」
「キター!!」
ははは、もうテンション爆上がりだよ。
ちょっと喋るのが苦手そうなカタコト系キャラ。
何でも力で解決しそうな見た目に反して細かな作業とかが得意な優しい奴とみた。
狙ってる。こいつ等を作ったマザーは絶対に狙っていると断言しよう。
非常に個性的な機人族が登場です!
最近は色々と表現に厳しいですが……こういうキャラっていろどりですからね!
妙な意図はありませんよ~! ありませんからね~!
それでは、また次回をお楽しみに!




