7-25 ベースキャンプは宝の山
俺達は今、イルミの反抗者仲間と合流するために移動していた。
どうやら連絡は送っているようなので、向こうも俺達を受け入れるのは問題ないみたいだ。
周囲は相変わらず廃墟ばかりで綺麗な景色という感じではない。
結構古そうだし、崩落とかしないかが心配だな。
大丈夫だとは思うが敵がいないか気を張る必要もあるし、ちょっと疲れる。
そんな事を考えていると フィアがふと疑問を口にした。
「そういえば、イルミの名前ってイルミ・アフェットって言うのよね?」
「うん、そうだよー」
「確かカミンもカミン・アフェットって名前じゃなかったかしら? 同じファミリーネームだけど、親戚か何かなの? それとも偶然なのかしら?」
「言われてみればそうだな。機人族に親戚とかってあるのか疑問だけど」
「あぁ、それなら簡単だ。機人族は全員が同じファミリーネームを名乗っているんだ。君達に照らし合わせれば親戚と言ってもいいだろうな」
「そうなんですか? 一種族全員が親戚とはまた壮大な話ですね」
「イルミ達の生みの親はマザーだからねー。機人族は全員マザーが作ってるんだ。だから、皆マザーのファミリーネームを名乗ってるってわけなんだねー!」
なるほどな。人も物に対して生みの親と言ったりするし、作った物に愛着があれば自分の子供だという時もある。機人族みたいに意思疎通の出来る相手なら尚更か。
「そういえばそんな話だったな。あれ? でもマザーのファミリーネームってどういうことだ? そのアフェットってのはどこから出て来たんだよ?」
「ん? あぁ、マザーというのは愛称であって名前ではなくてな。マザーの名前はフィーフィリア・アフェットと言うんだ。もっとも、この名で呼ぶ者は一人もいないのだがな」
「そうなのか? 何か呼ばれたくない理由があるとか?」
「いや、別にマザーの意向というわけではない。人族もあまり親を名前で呼んだりはしないのだろう? それと同じだよ」
「あぁ、なるほどな」
確かに俺も母さんの事を玲なんて呼ぶことはないな。そんなものか。
「まぁ、それを除いても気軽に呼ぶのは躊躇われるというのもあるな。どうもその名には何か思い入れがあるらしい」
「思い入れか。大切な名前なんだな」
「そういう事だ」
「あ、見えた見えた! あれが、イルミ達のベースキャンプだよー。ようこそー!」
イルミに言われて見てみるが何も見えない。いや、ちょっと集中したら遠くに廃棄されたらしき機械の山が見えた。
「……ベースキャンプってもしかして、あのゴミの山の事を言ってるのか?」
「にゃっ! ゴミの山とは失礼な! ジャンク品っていうのは適切に使えばまだまだ働ける宝の山なんだからねー!」
「あ、や、悪い。俺達と機人族じゃあ、機械への考えも違うよな。失言だった」
「ふーん、分かればよろしい! それじゃ、あそこまでダッシュしよーう! 行こ行こー!」
「あ、ちょっと待て!」
イルミは返事も待たずに走り出してしまった。全く、全然落ち着きがないな。
「私はフレイルを抱えているからな。ゆっくり行くから先に行ってくれ」
「分かった。それじゃあ先に行ってるぞ」
「はぁ、雷人も走るんですか? どうせ待つことになるのにわざわざ走るなんて、まるで子供みたいですね」
「そうか? まぁ、たまにはこういうのも良いだろ」
そう言って俺が走り出すと、体を捻ってストレッチをしていたフィアが振り返ってフォレオ達の方を見ていた。
「それじゃあ私達も行きましょうか。せっかくだから競争しましょ」
「へ? フィアまで乗り気なんですか?」
「よ―いドン!」
「って、いきなり始めるのはズルですよ!」
「あはははは、よーし、そういう事なら私も負けないよ!」
後ろの方からそんな声が聞こえて来た。
これ、もしかしなくても競争相手に俺も含まれてそうな気がする。
うーん……勝手に負けたことにされるのも何か癪だよな。仕方がない、走るか!
そんなこんなでなぜか徒競走が始まり、ゆっくり走るつもりだったのに全力で走る羽目になった。そうして、俺達はベースキャンプへと駆け込んだのだった。
何かを作ったら自分はそれの生みの親になりますよね。
つまりPrasisも既にホリクレのママになっているわけですね!
どうも、マザーPrasisです! ……なんか違う?
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