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SSC ホーリークレイドル 〜消滅エンドに抗う者達〜   作者: Prasis
マキナウォルンデイズ 第七章~マキリスエスケープ~
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7-19 乗ったら降りる、当然だよね!

障害物(しょうがいぶつ)とかないだろうな?」


「どうやら直線に入ったみたいですし、見える限り何もありません。とりあえずは問題ないはずですよ」


「大丈夫だよ! 私がクッションとネットを張るからね!」


「そうね、サポートはお願いするわ。それじゃあ皆、()ぶわよ! せーの!」


 目的地付近へ列車がやって来たとのことで超高速で走る列車から俺達は飛び出した。

 乗った時と同じように、フィアとフォレオを真ん中に俺とシルフェで(はさ)む形だ。


 列車の速度は約時速八百キロほどらしく、こんな速さの物から飛び降りるなど普通なら自殺行為(じさつこうい)に等しい。だが、俺達は能力者だ。何より乗ることが出来たのだ、降りることが出来ないわけがない。


「うわっ、風除(かぜよ)けを作ってても流石に風の影響(えいきょう)が強いな。よし、それじゃあ少しずつ速度を落としていくぞ」


「うん分かった。ゆっくり、ゆっくりー」


 乗る時と同様に相対速度(そうたいそくど)を列車に近付けつつ、ゆっくりと速度を落としていく。すると、当然列車の方が前に進んでいき、少ししたら完全に追い抜かれていた。


「うん、このまま行けそうね……って、列車が曲がったわよ! カーブが来るわ!」


「マジかよ!?」


 元々時速八百キロの列車に乗っていた俺達は、当然地面に対して時速八百キロで飛び出したことになる。


 多少速度を落としたところで、地面に接触すれば五体がバラバラになる様が目に浮かぶ。

 かと言って急減速は体への負荷(ふか)が大きすぎるので()けたい。


 くそっ、キツくても高速のままでカーブを曲がるしかない!


「シルフェ! ()げるぞ!」


「うん、調整(ちょうせい)するね!」


 各所(かくしょ)に配置した雷輪(カナムリング)の回転バランスを調節して進行方向を曲げる。

 しかし、まだあまりスピードを落とせていなかったので曲がるのにも結構な負荷(ふか)が掛かった。


「ふぐぃいいい! Gが、Gが掛かってますぅ!」


「ぎぎぎ、歯ぁ食いしばれええええええぇ!」


「わ、わあああああ!? 翼が擦れてる! 擦れてるよ!? ……え? あ、燃え、燃えてる!? 燃えてるよぉ!」


「も、もうちょっと耐えて、凍らせるからぁ。んんん、凍れ!」


 生きた心地がしなかったが、根性で何とかカーブを曲がり切る事が出来た。若干(じゃっかん)ふらついたが意識は保ってる。成功だ!


「はー! 何とか曲がり切ったぁ!」


「う、うぅ、消えてる? 消えてるよね? よ、良かったぁ……」


 途中スレスレまで壁に寄ってしまった所為でシルフェの翼が燃えてしまったが、フィアの氷で何とか消化出来た。シルフェは涙目になってしまったが、最悪の状況は避けられて本当に良かったな。


「ふぅ、この状態はとんでもなく危険ね」


「そうですね。これでは少しの油断であっさり死んでしまいかねませんよ……」


「うん、ちょっと負担は掛かるけど、次のカーブが来る前にもっと減速してくれる?」


「私からもお願いぃ」


「あぁ、分かってる。姿勢制御は任せるぞ」


 げんなりとしている面々に返事をすると力の制御に集中する。

 雷輪(カナムリング)調節(ちょうせつ)し、少しずつ減速を試みる。


 (いま)だに瞬閃雷果(しゅんせんらいか)にも(せま)る速度で飛んでいる所為(せい)もあり、雷輪(カナムリング)(ひか)えめに回してもとんでもない負荷(ふか)が体に掛かる。


 何回か経験のある俺はともかく、フィア達はかなり辛そうだな。

 フォレオなど死にそうな顔をしている。


 急いでこの状況を何とかしないとな。

 そう思った時、フィアが焦ったように叫んだ。


「わっ! 急カーブよ!」


「うぇっ! 曲がり、切れないっ!」


「んむむぅ! わ、わああぁん!? また翼が壁に当たって(こす)れてるよー!?」


「仕方ないわね……。ちょっと我慢(がまん)してね! バーンインフェルノ!」


 流石に厳しいと判断したのか、壁に向かってフィアが炎を噴出(ふんしゅつ)し無理矢理に進路を修正した。


「おわっ! (あつ)っ!」


「あっつ! あっつ!」


「ふぃ……」


「って、ちょっとフォレオ! 気をしっかり持って!」


 ()き出した炎の熱波(ねっぱ)がとても熱い。カナムで一応直撃(ちょくげき)()けているが、強烈なGと熱波(ねっぱ)のダブルパンチでフォレオが白目(しろ)をむいていた。


 そんな中、壁側(かべがわ)だったために一番熱波(ねっぱ)を受けていたシルフェは涙目(なみだめ)になりながらも()えていた。頑張ってるな。後で空に(すご)く頑張っていたと伝えておこう。


「はっ! 一瞬落ちてました。挽回(ばんかい)しますよ! ウォーターヴェール、セプテット!」


「ぶふっ! お、ああ、あああぁ!」


 フォレオが(さけ)ぶと同時に俺達は何かに複数回衝突(しょうとつ)した。いや、(さけ)んだ内容からして水の(まく)だろう。


「ふふん。これで()めましたよね」


「う、うん。ありがとね」


 フォレオは自慢(じまんげ)げな表情をしていたが、対するシルフェはお礼を言いながらも複雑そうな表情をしていた。


 それもそのはず、冷める事は冷めただろうが、他に大きな問題があったからだ。

 俺は迷うことなく目の前にある頭に拳骨(げんこつ)を落とした。

地下鉄に乗った以上は降りないといけないわけで、でも都合よく目的地付近に駅があるわけでもなく。

いやぁ、車から飛び降りるのだって命懸けなのに新幹線より何倍も速いものから降りるなんて想像しただけで怖すぎますね!


「面白い」「続きが気になる」と感じたら、

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 作者のモチベーションが上がるので、応援、ブクマ、感想などもお待ちしています!

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