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SSC ホーリークレイドル 〜消滅エンドに抗う者達〜   作者: Prasis
幕間―灯火に集いし者たち~トーチクラウド~―
387/445

―トゥーナ6―

「へーい! 皆、ノッてるかーい!!」


「いえーい!!」


「……な、何だこれは?」


 ついさっきまで(おごそ)かで神秘的な感じだったのに、最後の一人のお(いの)りが終わるやいきなり周囲が明るくなり、霊人族(スピリチア)達の非常にポップなダンスが始まった。


 はっきり言って意味が分からない。

 いつの間にか服も露出(ろしゅつ)の多い衣装(いしょう)に変わってるし。


「だ、台無(だいな)しではないか!?」


「ユ―! そう言うのは野暮(やぼ)ってものじゃろ? 外界(がいかい)では祭と言えば歌って(おど)ってのドンちゃん(さわ)ぎだという話は聞いておるぞ! しめっぽい降霊祭(こうれいさい)はここまでじゃ! 祭と言えど時代とともに移り変わるもの! レッツパーリィナイじゃあっ!!」


「いえーい!!」


 周りの客やサイオル殿(どの)達もこの霊人族(スピリチア)達の変貌(へんぼう)ぶりにはポカーンとするしかなかった。


 しかし、(ごう)に入っては郷に従えという。霊人族(スピリチア)達がそれでいいというのであれば! それを全力でサポートしてやるのが(いき)な計らいと言うものだ!


「ふははははは! 良いだろう! 戻って来た魂達(たましいたち)も楽しい方が良いに決まっている! おい、お前達! 全力で盛り上げてやろうではないか!」


「よ、よーし、あたしも(おど)っちゃうぞー!」


「お、俺はどうすればいいんだ?」


「そういう事であれば、私も宴会用(えんかいよう)に用意した隠し芸を披露(ひろう)すると(いた)しましょう」


「よーっし、ニア!」


「ふふ、えぇ、分かりましたわ。それでは派手(はで)にいきましょう」


 周囲が広く光を発したかと思うと突然中央に現れる舞台(ステージ)

 周囲を何色ものライトが照らし、爆音(ばくおん)のスピーカーが霊人族(スピリチア)達の村にポップな音楽をまき散らした。


 それを見て皆は一瞬(ほう)けていたようだったが、もはやこのような場となっては黙っている方が不自然というもの。自然と歌って踊ってのどんちゃん(さわ)ぎが始まった。


「あ、あははははは! いいわね。(すご)く良いわ。降霊祭なんていうから(おごそ)かでもっとつまらないものだと思っていたのだけれど、(すご)く楽しいわ!」


「ふはははは! チームに入った記念(きねん)だ! トゥーナも全力で楽しめよ!」


「そうね。全力で楽しむとするわ! クマのパレード(ウルサス・ポーンパ)!」


 トゥーナが(さけ)ぶとクマのぬいぐるみが(あふ)れ出し、ニアから楽器(がっき)を受け取るとクマ達のパレードが始まった。そんな、大騒(おおさわ)ぎの夜はあっという間に過ぎていき、気付くと朝を(むか)えていた。


「そなた達、今回の祭りは(すご)く楽しかったぞ! 絶対に次もまた来るのじゃぞー!」


「いえーい!!」


 何やら気に入られたようで霊人族(スピリチア)総出(そうで)で山の(ふもと)まで送られ、俺達はその余韻(よいん)を残しつつもサイオル殿を町まで送り届けた。


「ふぅ、これで依頼(いらい)は達成だな」


「はい、皆さんのおかげで父にも報告することが出来、楽しい旅をすることが出来ました。本当に感謝しています。皆さんに依頼して本当に良かったです」


「ふむ、そう言われるとこちらも引き受けた甲斐(かい)があるというものだ。また何か機会があればよろしく頼む」


「はいこちらこそ」


 こうして依頼を達成した俺達はトゥーナを連れてホーリークレイドルへと帰還(きかん)するのだった。



*****


「そういえばあんた達、人数も増えて来たんだしそろそろチームの名前とかは決めないの?」


 トゥーナの登録が無事終わった(ころ)、チームのオペレーターであるミネアがそんな事を言いだした。しかし、チームの名前だと?


「そんなものあったか? 俺は知らないのだが、誰か知っているか?」


「いえ、私は知りませんわ」


「知らん」


「うーん、あたしも知りませんねぇ」


「私が知っているわけないでしょ?」


 ふむ、誰も知らなかったらしい。


「そっかぁ、まぁ名前つけてなくても問題はないし、こういうのって結構意見が食い違ったりしちゃうから付けない事も多いのよね。でも、私としてはあった方が良いと思うんだけどなぁ。ほら、一体感(いったいかん)って大事じゃない?」


 ミネアが指を立ててウインクをする。

 しかし、チーム名か。確かに一体感があっていいかもしれないな。

 そう思っているとニアが胸に手を当てて前に出た。


「確かに一体感は大事ですが、別にチーム名が無くとも私達には一体感があると自負(じふ)していますわ」


「ふむ、確かにそうだがチーム名というのも悪くないだろう。よし、この(さい)だから考えてみようではないか。ちなみに我がライバルのチーム名は何と言うのだ?」


「ん? 我がライバルってフィアちゃんのチームの事?」


 我がライバルはフィアではなく雷人の方だ。

 ミネアは知らなかっただろうか?


「そうではないが、そうだ」


「あはは、どっちよ。でも、フィアちゃんのチームもチーム名はまだ決まってなかったはずよ。聞いた事ないし」


「む、そうなのか。まぁ、仕方がないな。さて、それではどうするか。何か良い(あん)はあるか?」


「あたしは何でもいいよ!」


「俺はそういうのを考えるのは苦手(にがて)だ。(まか)せる」


「そんな大事な事は入ったばかりの私が決める事じゃないわね」


「誰も考える気がないではないか!?」


 何でもいいが一番(こま)るという事を知らないのか?


 そっちがその気ならレオン率いる警備隊(レオンナイツ)とかにしてやろうか?

 嫌だろ? 嫌であろう? などと心の中で悪態(あくたい)()いているとニアがスッと手を()げた。


「それでしたら、私達はあの夜に五人のチームになりましたわ。あの降霊祭(こうれいさい)、ユリンさんの光を全員で見ましたよね。だから、灯火(ともしび)(つど)いし者たち、トーチクラウドなんてどうでしょう?」


 おぉ、何かそれっぽいではないか? レオン率いる警備隊(レオンナイツ)よりも百倍は良い。流石はニアだな。


 そんな事を考えて(うなず)いていると、何やら全員の視線が俺に集まっているのを感じた。うん? なぜニアではなく俺を見る?


灯火(ともしび)ね。なるほど、確かに私達は光に集まったのかもしれないわね」


「そうだね! あ、虫じゃあないけどね?」


「俺は良いと思う」


(ふく)みのある視線が少し気になるが……確かに良い(あん)だ。流石(さすが)はニアだな」


「いえ、それほどでもないですわ」


「ミネアもそれで問題なかろう?」


「うん、思ったよりいい名前で安心したわ。レオン君とかネーミングセンス無さそうだし」


 ぐ、ミネアめ、(するど)いではないか。

 しかし、一応俺はこのチームのリーダーだ。表立って認めるのは止めておこう。


「それはひどくないか? 何にしても、これで決まりだな。今日から俺達は灯火に集いし者たち(トーチクラウド)だ! 皆、宜しく頼むぞ!」


「おー!」


 こうして、俺達灯火に集いし者たち(トーチクラウド)は正式にチームとなったのだった。

「面白い」「続きが気になる」と感じたら、

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 作者のモチベーションが上がるので、応援、ブクマ、感想などもお待ちしています!


 特に何か共通の目的があるわけではありませんが、彼らは一つの光の下に集いました。

 やはりチームには軸となるリーダーが欲しいものですね。雷人達は軸がぶれてますが……あはははは。


 さて、これにて幕間灯火に集いし者たち(トーチクラウド)は終了となりますが、少しだけおまけを添えたいと思います。

次回、「おまけ-お菓子作り-」お楽しみに!

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