表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
SSC ホーリークレイドル 〜消滅エンドに抗う者達〜   作者: Prasis
フロラシオンデイズ 第六章~アンビションビーティング~
352/445

6-51 白き虎は最速を示す-1

「さて、まずは小手調(こてしら)べと行こうか!」


 膝関節部(ひざかんせつぶ)を曲げたかと思うと、白虎(びゃっこ)真直(まっす)ぐに突進してくる。


 神機というだけあってスピードはかなり速いな。でもこれならなんとか対応が可能だ!

 勢いのままに振り下ろされる前足を横っ飛びで(かわ)すと、地面が一瞬の光とともに爆ぜる。


「爆ぜた?」


 攻撃を躱された白虎はそのまま奥の壁まで突っ込んでいって激突し土煙(つちけむり)を上げていた。


 その土煙の向こうに何やら(まばゆ)い光が見える。

 ただ前足を(たた)きつけたわけじゃないのか?


「むぅ、流石の速度だな。慣れるまではコントロールに難儀(なんぎ)しそうだ。さて、運よく(かわ)せたようだな。デュシェルのスピード重視形態、その初撃(しょげき)を。だが、いつまで(かわ)し続けられるかな?」


 反対側に赤城さんも()んでいたのだが、どうやら奴は俺の方に(ねら)いを付けたらしくこちらに向かって跳躍(ちょうやく)する。


 そして、土煙の中でも主張(しゅちょう)の激しいその光の束を何度も何度も叩きつけてくる。動きは単純、攻撃の予測は難しくないな。


 冷静に後ろに()退(すさ)りながら躱していると、何となくその正体が(つか)めた。


「あれは、(つめ)()したレーザーブレードか」


 そう、光の正体は足の先、爪のように伸びる四本のレーザーブレードだ。

 それが近くを通るたび感じられる熱は、それらが一撃で俺を溶かしてしまいかねない熱を帯びていることを感じさせる。


 試しに属性刀をぶつけてみた所、属性刀は簡単に両断(りょうだん)されてしまった。


「ふはははははは! 一撃で敵を(ほうむ)ることの出来る大出力(だいしゅつりょく)! それをこれほどの速さで(たた)きつける一騎当千(いっきとうせん)の機体だ! (おそ)れろ! (おのの)け! こいつが貴様等(きさまら)死神(しにがみ)だ!」


「くそっ、対応出来ないほどじゃないがガード出来ないのは面倒(めんどう)だな。とはいえ……ははは、これが俺の死神(しにがみ)だって? 俺程度も圧倒(あっとう)出来ないのに、これが宇宙を支配(しはい)出来る力? 拍子抜(ひょうしぬ)けもいいところだな。これならジェルドーの方が(おそ)ろしかったぞ!」


 ずっとバックステップの要領(ようりょう)(かわ)していたが、バク転で体勢を変えて前傾(ぜんけい)姿勢になる。

 そして、カナムで足場を調整してしっかりと地面を踏みしめると、俺は振り下ろされる前足に向かって突っ込んだ。


 勢いそのままに身を(ひね)ってぎりぎりでレーザーブレードを(かわ)す。

 さてジェルドー、悪いがさっそく使わせてもらうぞ!


「来い! 封印刀(ふういんとう)ケラディウス!」


 (てのひら)を開いて(かざ)しながら(さけ)ぶとその先に紫色(むらさきいろ)の光が集まり、うっすらと(かがや)綺麗(きれい)な刀が手の中に(おさ)まっていた。そして俺は両手でそれを(つか)むとを思いっ切り振りかぶった。


「行くぞ。紫電一閃(しでんいっせん)!」


 雷輪(カナムリング)によって急激(きゅうげき)に加速された青白(せいはく)の一閃が白虎の右前足に吸い込まれる。

 渾身(こんしん)の一撃はレーザーブレードを出している指にヒットし、(わず)かに刃が食い込んだ。


 流石(さすが)は神機ということか、これほどの業物(わざもの)を使ってもあっさりとは切れないらしい。


 だがまだだ!

 この一撃はまだ止められたわけじゃない!


「はあああああああぁ!!」


「な、何だ! 何が起こったあああぁ!?」


 雷輪(カナムリング)をさらに加速、全力の一閃(いっせん)に白虎の足は内側に(はじ)かれバランスを(くず)した。

 白虎は右前足のレーザーブレードで左前脚に傷をつけながら勢いのままに地面を(すべ)っていく。


 どうやら(あし)は切断はされていないようなので、あのレーザーブレードの火力よりも装甲(そうこう)頑丈(がんじょう)さの方が上みたいだな。


 攻撃は受けられないし装甲(そうこう)も簡単には破壊出来ない程に頑丈(がんじょう)、今の所操縦(そうじゅう)(つたな)い以外に目立った弱点は無しか。


 前評判ほどではなくて安心したが、それでもなかなかに厄介(やっかい)だな。


 俺は勢いに(さか)らわずケラディウスを振り切るとそのまま空中で数回転し、地面に突き刺しながら身を(ひね)って地面に足から着地した。


 土煙を上げながらヘッドスライディングしたような形となった白虎は完全に横倒(よこだお)しとなっていた。どう考えても瞬時(しゅんじ)に立ち上がれるとは思えない。これはチャンスだ!


「赤城さん! 今です!」


「おう! これでも食らっとけ!」


 白虎(びゃっこ)の後ろを追っていた赤城さんが跳び上がり、その無防備な背中に(おど)りかかる。


 赤城さんは特殊治安部隊(スキルナイト)随一(ずいいち)剛腕(ごうわん)だ。

 完全にフリーの状態からなら、俺の紫電一閃を超える威力(いりょく)の一撃を出せるはずだ。


 しかし、ザレフもそう簡単に(あきら)めはしなかった。


「な、()めるな! デュシェルは、この程度で(やぶ)れはせんのだ!」


 俺は失念(しつねん)していた。あれはロボットなのだから、体勢が整っていなくとも反撃が出来る可能性を考えるべきだったのだ。


 白虎はグググと身を起こしながらその体から無数の砲身(ほうしん)を展開したかと思うと、それらの全てが空中の赤城さんに(ねら)いをつけた。


 そして、閃光(せんこう)殺到(さっとう)した。

機体の性能自体は高くても乗り手が良くなければそれほど脅威にはなりませんよね。

まぁ、雷人達が成長している今だから言える事なんですけども。


次回、「白き虎は最速を示す-2」、お楽しみに!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ