6-18 世界を作りし聖女風乙女-1
「この! 本当にやり辛いですね! あぁ!」
「あなたの守りも、なかなか、ですよ!」
フォレオの切り札である薙刀を用いての防衛術。
何とか捌くことが出来ているが、ナクスィアの攻撃は怒涛の一言だ。
二本の段平による剣閃は、まるで止まることなく流れるようにして放たれる。
だというのにその一撃一撃が鋭く速く、一瞬でも気を抜けば切られるのは間違いない。
同じように攻撃の速度を重視する傾向の雷人の剣も受けたことはありますが、一振り一振りのキレが違い過ぎますね。
そして何より、普通なら転倒してしまうような無理な体勢からでも問題なく攻撃してくるうえに、リカバリーも早い。
……それだけ鍛錬を積んで来たか、修羅場を潜り抜けて来たという事なのでしょうが。
「ハイドロビート!」
「ほう」
無数の水の鞭を背中側から生やして攻撃に加えると流石に捌けないと考えたのか、ナクスィアは襲い掛かるそれらを躱しながら滑らかな動きで距離を取った。
すかさず取り出したフォレオスペシャル二号(拳銃)で追撃をするが、くるくると回るようにしながらあっさりと撃ち落とされてしまった。
「……離れさせるのがやっとですか。これはキツイですね」
「そうでしょうか? 私の攻撃をこれだけ捌ける人はそう多くありません。誇ってもいいのではないですか?」
「あなたに認められても嬉しくありませんよ」
「そうですか? それは少し悲しいですね。私が人を褒める事なんてほとんどないのですよ?」
「……知りませんよそんな事。そんなことより、ようやくあなたの能力を把握出来てきましたよ。推測でしかありませんが」
「へぇ、把握出来たんですか? いいですね。それでは答え合わせといきましょうか?」
「……答え合わせ?」
「えぇ、あなたの推測を言ってみて下さい。今ならその推測の正誤を答えてあげますよ」
さっきからこの女、うちを殺せるタイミングに殺さなかったりとか、これだけ接近戦に強いのにわざわざうちと撃ち合ったりだとか、殺そうって意思が感じられませんね。
……まさか、時間稼ぎでもしているのですか?
もしかして、銃撃戦の時も手加減されていたのでしょうか?
そういえば、うちがフォレオスペシャル一号(狙撃銃)を出してからは威力の問題で有利に進められましたが、その前は撃った弾のほとんどが撃ち落とされていました。
あれを狙ってやっていたのならとんでもない腕前です。
それこそ、うちとは比べ物にならないレベルの。
……目的は分かりませんが、それだけの強敵をうち一人でここに留めておけるのなら誘いに乗るのはわりとありですね。
「……いいでしょう、乗ってあげますよ」




