6-14 再戦の時は来た
「よぉ! 待ちくたびれたぜぇ、おい!」
「……っ! ジェルドー!」
「何よ。私達が来るのが分かってて、わざわざ待ち構えてたってわけ?」
「あぁ? あの時に言っただろうがよぉ。お前等は俺が万全の状態で殺してやるってなぁ。俺は爺さんが探し物をしてる間の警護を頼まれたわけだが、お誂え向きにこんな場所があるじゃねぇか。これはここでやれって事だろうよ。なぁ?」
なるほど、ここまでは一本道だったし、警護すると言うのなら奥に進ませさえしなければ何でもいいはずだ。
それなら、戦闘するのに十分な広さのあるここは迎え撃つのに悪くない場所だろう。
一体ここは何のための部屋なのか。
ここまでの道とはうって変わって整備されている様子の壁に天井に無数にぶら下がっている照明。
端の方には何かを引っ掛けることが出来そうな巨大なフックのようなものが取り付けられている。
何のための場所かはさっぱりだが、他にはこれといった物が置かれていない。障害物もないただの広い部屋。確かにこれはお誂え向きだ。
「さぁ、降りて来いよ! どれだけ強くなったか、俺が試してやるぜぇ」
その言葉に俺とフィアは頷き合うと地面を軽く蹴って飛び降りる。
翼をイメージして形作ると体がゆっくりと降下し、地面にふわっと降り立った。
フィアも鎖の上を滑るようにして降りて来てスタッと着地する。
そして、そのままジェルドーの方へと歩いていくと、ジェルドーが見覚えのある大剣を構えた。
「やっと、やっとだ。この数ヶ月、背中の傷が疼く度にお前等の事を思い出していたんだぜぇ。だけど、それも今日で終わりだ。行くぞぉ」
「楽勝だなんて思わないことね。何をしようとしてるのか知らないけど、今回はあなたに勝って、あなたの雇い主も止めるわ」
「今度は負けない。俺達が、勝つ!」
叫ぶと同時にフィアとともに駆け出し左右から挟むようにジェルドーに切り掛かる。
それに対してジェルドーは俺の方に踏み込むと大剣を振り、それを受けた俺を後ろに吹き飛ばすとそのままの勢いでフィアに切り掛かった。
くそ、やっぱり上手いな。
だが……!
「レールガン!」
吹き飛ばされながらも周囲に四門の簡易的なレールガンを作成。
フィアがジェルドーの大剣を受けて後ろに下がったタイミングで一斉射する。
出し惜しみは無しとばかりの一撃に、ジェルドーはこちらを見ることも出来ず……撃ち出された弾は地面に吸い寄せられるように落下した。
弾はジェルドーに当たることなく、地面を穿った。
「その力……やっぱりあの時、授雷砲が逸れたのはお前の能力の所為か!」
「あぁ? じゅらいほう? ……あぁ、あのとんでもねぇエネルギーの塊のことかぁ? そりゃそうだろうが。何だぁ? お前まさか、偶々外れたとでも思っていたのかぁ?」
「そうは思ってないけどな。改めての確認だよ」
「くはは、そうかよ。だが、これで分かったよなぁ? 俺に飛び道具は効かねぇ。俺を殺りたきゃよ、てめぇで来いってんだよなぁ?」
何らかの引力のような力か、はたまた自分への攻撃を逸らすような能力があるのか。
現状では分からないが、何かしら念動力のような力を持っていると考えた方が良さそうだ。
何の能力も使っていなくても強いっていうのに、本当に厄介な奴だ。
「雷人! こいつの言う事を真に受ける必要はないわ! しばらくは距離を取って戦うわよ。能力を使わせればその詳細が分かるかもしれないし、何かしら弱点があるのを隠してるかもしれないわ!」
フィアがジェルドーから離れながらそんな事を言うとジェルドーがあからさまに舌打ちをした。
「ちっ! 面倒だな。効かねぇって言ってんのによぉ!」
果たしてその舌打ちは本当に面倒だと思っての事なのか、それとも何か不都合があるからなのか。
分からないが、どちらにしてもこいつは強い。
慎重になって悪いことなどない。
「分かった。まずは色々試してみよう!」
フィアを失うような事には絶対にさせない。
ここで俺が、確実に仕留めてやる!
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第一章以来の因縁、再戦の時は来た!
最初の頃は手も足も出ませんでしたが、経験を積んだ雷人は一味違います!




