表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
SSC ホーリークレイドル 〜消滅エンドに抗う者達〜   作者: Prasis
フロラシオンデイズ 第五章~クレイドルガーディアンズ~
285/445

5-43 訓練を終えたらリフレッシュしよう!

 俺達が訓練室に到着すると、そこにはすでに皆が並んで待っていた。

 その中へと軽く頭を下げながら入って行く。


「すみません。遅くなりました」


「待たせちゃってごめんね」


 すると唯がこちらに軽く手を振りながら微笑(ほほえ)んだ。


「いえ、こっちも訓練はさっき終わったところです。大丈夫ですよ」


「何ならもう少し休んでいたかったくらいだよね」


 いつも通りの調子でそんな事を言う空にノインさんが()め息を()いた。


「空はもう少し頑張った方が良いと思うのですよ。まぁそれは置いておいて、シノはどうしたのです?」


「アセシノさんなら先に出て行きましたけど、今いないなら多分こっちには来ないんじゃないですか?」


「シノはなんだかんだで(いそが)しいんだし、無理もないんじゃないかしら?」


「そうですか。顔くらいは出して欲しかったものですが、こちらもいきなり頼んでしまいましたししょうがないですね。それじゃあ、とりあえずこれで皆集まったのですよ」


 ノインさんが皆を見渡しながらそう言うと、パンッと拍手(はくしゅ)のいい音が部屋に響き、皆の視線がそちらへと集中する。


「皆、訓練お疲れ様かな。普段の訓練と比べるとかなりキツイ訓練だったはずだけど、皆最後までよく頑張ったかな」


「おうおう、最初は根性足りない奴ばかりだったが、全員少しは根性のある面構(つらがま)えになったぜ。これでこれからどんな敵と戦っても上手くやれんだろ!」


「はぁ、この訓練だけでそこまでいけたら苦労(くろう)はないのですよ。とはいえ、皆訓練の前とは見違えるほどに成長したのは間違いないのです。それでも、あなた達がひよっこだってことは何も変わっていないのですから、今回の訓練で学んだことを忘れずに、日々努力することが大切なのですよ」


「うん……。でも、頑張り過ぎちゃうのも良くない……から、明日はゆっくり休むと良いよ」


「そうそう、どこか遊びにでも行ってくるといいかなぁ。というわけで、訓練はこれでおしまい。私達もそろそろ仕事に戻らないといけないから、またしばらくは面倒見れないけど、困ったら気軽に相談するかなぁ」


 マリエルさんの言葉に俺は一歩前に踏み出した。

 今回の訓練は確かにいつもよりもキツかった。

 でも、それは俺達のためを思っていたからこそだ。


 それに、マリエルさんと戦った時、マリエルさんからの期待を感じた。

 フィアを守って欲しいというその期待を。


 俺は全力でそれに(こた)えたい。

 そして、そのための一歩を示してくれたS級社員の皆への気持ちは、この一言に集約(しゅうやく)される。


 集まる視線の中、俺は深々(ふかぶか)と頭を下げた。


「ありがとう、ございました!」


「ありがとうございました!」


 俺の声に続く形で皆の声が響いた。

 見るまでもない。そのお辞儀(じぎ)は、きっと綺麗に(そろ)っていた。


 顔を上げるとS級社員の皆が前を歩いていく姿が見えた。


 右拳(みぎこぶし)を上に挙げながら歩いていくエンジュさん。

 若干顔を赤らめ、前を見ながらも尻尾(しっぽ)をゆらゆらと揺らしているノインさん。


 ()ずかしそうに胸の辺りで小さく手を振っているルイルイさん。

 そして、屈託(くったく)のない笑顔で顔の近くで手を振るマリエルさん。


 全員が部屋の外へと出ていくと、部屋の中が一瞬静まり返った。名残惜(なごりお)しさを感じているのだろうか、皆がドアの方を見つめていた。そして、その空気を()くようにフィアが声を上げた。


「よし! 皆凄く訓練を頑張ったんだし、明日はどこかに遊びに行きましょ! 皆、どこか行きたい場所はある?」


「そうですね……。そろそろ暑くなってきましたし、皆でプールなんてどうですか?」


「プール! ……プールって何?」


 唯の言葉にシルフェが元気よく反応するが、すぐに首を(かし)げた。

 シルフェの故郷(こきょう)にはプールは無かったんだろうか?


「プールって言うのはあれだよ。人が入るように水を()めた遊ぶための場所の事だよ」


水浴(みずあ)び場みたいなものなんだ! 空は物知りだね! プール! プール!」


「ふふふ、水場ですか。それならうちの独壇場(どくだんじょう)ですね。いいでしょう。 うちの能力フル活用で楽しませてあげます」


「ちょっと、フォレオ? 行くのは公共の場なんだから、周りに迷惑(めいわく)かけちゃ駄目(だめ)だからね? でもいいわね。それじゃあそうしましょうか!」


 皆が疲れを吹き飛ばさんとばかりにはしゃぎ始める。

 プールか、そういえば長いことプールなんて行ってなかったな。


 それにしても、プールとなると必然的に水着だよな。

 この女子率の高さを考えると健全な男子高校生としては心が落ち着かないな。


 ……ん? ちょっと待てよ。

 普通の服も持っていなかったフィア達が水着なんて持っているのか?


「あれ? どうしたんですか、雷人君。浮かない顔をして」


「いや、皆はしゃいでるけど、フィア達って水着は持ってるのかなと思ってな」


「はっ、それは確かにそうですね……。あの、皆さん水着は持っているんですか?」


「……水着? 水着って何?」


「……うちはほら、水に()れたところで一瞬で(かわ)かせますし? ()れても問題ありませんから」


「あー……それは、考えてなかったわ」


 案の定と言うか全滅(ぜんめつ)だった。


 明日行くのに今持ってなくて大丈夫か?

 俺は確か……昔使ってたのがどこかに仕舞(しま)ってあるはず……。


「それではせっかくですし、これから皆で買いに行きませんか?」


「そうするしかないわね。ねぇ唯、自分じゃあんまり自信ないし、意見をもらってもいいかしら?」


「そうしましょう。でも雷人と空は付いて来ては駄目(だめ)ですよ! こういうのは当日まで秘密というのが定番ですから」


 そんなフォレオの言葉にシルフェが不満そうな顔をした。


「えー? 空に選んでもらっちゃ駄目(だめ)なの?」


「あはは、僕はサプライズの方が(うれ)しいかな」


「ふーん、そっか、それじゃあ頑張って選ぶね!」


 空は上手いこと(かわ)したな。漫画とかならこういう水着を一緒に選ぶみたいなイベントもありなんだろうが、現実でいうと女子多数の状況で水着ショップに行くのは精神的にちょっとキツい。時間も余計(よけい)にかかりそうだしな。


「私達が選ぶんだから、雷人達もちゃんと買いに行きなさいよ?」


「え? あー、そうなるのか? 分かったよ。じゃあ、どんなのを選ぶのかはお(たが)いに明日のお楽しみってことで」


「それじゃあ一旦(いったん)解散ですね。時間もあまりないですから、早く行きましょう」


 そうして俺達は解散し、男女で別れて水着を買いに行ったのだった。

「面白い」「続きが気になる」と感じたら、

 下の ☆☆☆☆☆ から評価を頂きたいです!


 作者のモチベーションが上がるので、応援、ブクマ、感想などもお待ちしています!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ