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SSC ホーリークレイドル 〜消滅エンドに抗う者達〜   作者: Prasis
フロラシオンデイズ 第五章~クレイドルガーディアンズ~
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5-33 置刃の剣聖ここにあり1

「雷人! やった、やったわよ! 私も課題をクリアしたわ!」


 五巡目(ごじゅんめ)は休みだったので外でシルフェとともに待機(たいき)していると、カプセルが開いて中からこれでもかと顔を(ほころ)ばせたフィアが飛び出てきた。


 確か今回フィアの相手をしていたのはマリエルさんだったか?

 まだマリエルさんとはやっていないから、その難易度のほどは分からない。


 だが、ここまで誰もクリア出来ていなかったのだ。

 簡単という事はないだろう。


 だったら、俺のやることは一つしかないな。


「本当か! (すご)いな、フィア! マリエルさんなんて特に難しそうなのに」


「えへへ、まぁ、付き合いが長いもの。マリエル姉さんの戦い方は熟知(じゅくち)してるわ。私も日々(ひび)成長してるし、このくらいは当然よ!」


 当然と言いつつも鼻高々(はなたかだか)といった様子で(むね)を張るフィア。

 ここまでの喜びよう、俺、空、フォレオが課題をクリアしたことで(あせ)りもあったのかもしれないな。


 同様に思うところがあるのか、シルフェが珍しく真剣な表情をしているのが目の(はし)に見えた。

 俺がそちらに視線を向けたのに気付いたのかフィアがシルフェに声を掛ける。


「ふふふ、お先よシルフェ。あなたも苦戦しているみたいだけど、ポテンシャルは高いんだから。十分に力を発揮(はっき)出来ればクリア出来るんじゃないかしら?」


「うん。そうだね。私も頑張らないと、空を守れるように強くならないとだからね!」


「うん、その意気よ!」


 なるほど。

 空が課題をクリアしたから(あせ)ってるんだな?


 相変わらずシルフェは空一筋(ひとすじ)だな。

 もっとも、空はシルフェがクリア出来なくても気にしないだろうが、シルフェとしてはそれは関係ないだろう。


 俺だってそうだが、自分がそうしたいからやるんだ。

 求められたからやるわけじゃない。


 そんなことを考えながらシルフェに何やらアドバイスを始めたフィアを(なが)めていると、パンパンと手を(たた)く音が聞こえた。


 その音に視線を向けると、どうやら五巡目が終わったらしく、ラストの空がカプセルから出てくるところだった。


「はいはい、次がラストだから早くやって今日は休むかな! 皆も疲れて来てるだろうし、私達も流石(さすが)に疲れて来てるかな!」


 そんなことを言うマリエルさんだが、ぱっと見あまり疲れていそうには見えない。


 取り(つくろ)っているだけなのか、俺達に気を(つか)っているだけなのか。

 何にしても、休んでいた俺としては特に反対する理由もない。


 ラストはマリエルさんが相手だ。

 もう一勝、(ねら)っていくとしよう。


 *****


「うふふ、いらっしゃいかな」


(いや)上機嫌(じょうきげん)ですね。何かあったんですか?」


「特に何かあったわけじゃないけど、雷人の目覚(めざ)ましい成長の話は聞いてるかな。ノインの課題もクリア出来たみたいだし、期待(きたい)してるかなぁ」


 マリエルさんの服装は上が羽帽子(はねぼうし)(ひざ)より下まで隠れる長い外套(がいとう)と大きな胸を隠す服で、下は(はかま)穿()いている。

 そして腰には何やら服を巻き付けているがお腹が丸出しという、コスプレ剣士といった出で立ちだ。


 今となってはもはや見慣れた格好(かっこう)なのだが、それでも俺の感性から言えば変、と言わざるを得ない。

 言わざるを得ないのだが……なんかこの闘技場(とうぎじょう)にいるとそれなりにしっくりくるように感じるから不思議なところだ。


 ……おそらくそれには、やんわりとした雰囲気に隠れつつも()れ出ているこの殺気のような感覚の所為(せい)もあるのだろうが……やばい、冷や汗出てきた。


「それで、マリエルさんの課題はどんなのなんですか?」


「私の課題はね。私に一発攻撃を入れる事。ルイルイのと一緒(いっしょ)かな」


「なるほど、それなら——」


「いけると思ったかな?」


その言葉と同時に俺の全身を嫌な感覚が走った

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