5-22 幼き九尾巫女は順風満帆の夢を見る2
ノインさんは薙刀を構えた。
そういえば、ノインさんはフォレオの薙刀の師匠だったか。
確かにその構えはフォレオのそれと瓜二つだ。
さて、俺はどこまで通用する?
「行きます!」
言葉と同時、地面を蹴って走る。
両手に握った属性刀にカナムを纏わせ、ステップを踏みつつ右から切り掛かる。
それをノインさんが薙刀で弾こうとした瞬間、俺は瞬時に体を反転させて左からの切り掛かりにシフトした。
その直後、複数の甲高い金属音が鳴り響く。
「……俺の戦い方に慣れていない初手ならと思ったんですが、あっさりと対応するんですね」
「いえ、初手の不意打ちはなかなか良い手でしたよ。ただ、もう少し上手くやらないといけないのです。あなたの目が不自然に動いていたのですよ。まるでどこかを気にしてるみたいに」
不意打ち、そう不意打ちだ。
俺はフェイントに合わせて、ノインさんと話している間に四方の観客席にこっそり配置していたレールガンを放ったのだ。
しかし、それらは地面から突然無数に生えた槍や薙刀によって完全に防がれてしまった。
訓練の時に槍を降らせていたが、てっきり異空間収納をどうにか使っているのだと思っていた。だが、地面から生えてきたのを見る限りそうではないようだな。
「よっほっ! 円環剣舞!」
「ふむ、数には数でという事ですか? 間違っているとは言いませんが、数で勝ることが出来ないならじり貧なのですよ!」
相も変わらず、竹みたいに地面から生えてくる無数の槍を回避しつつ空へと飛びあがり、何本もの大剣を作り出して周囲を回転させる。
だが、ノインさんの言葉と同時、地面から生えた無数の槍が地面から飛び出した。
それらは回る大剣を次々と捉え、大剣は瞬く間に破壊されていく。
なるほど、地面から生えた槍は射出することが出来るのか。
だとすれば、とりあえず確認するべきなのはあれがただ射出しているだけなのか、制御可能なものなのかという事だ。もし空中で軌道が変えられるのならさらに厄介だな。
「武器を生やして飛ばすのがノインさんの能力ですか? 使い勝手がよさそうですね」
「えぇ、そうなのです。それをあなたは攻略しなければならないわけなのですが、何か攻略法は思いついたです?」
「いえ、ですがまだまだこれからですよ」
今のところ武器が出てくるのは地面だけだ。
イメージとしてはバルザックが使ってきた土の棘か。
突然地面から生えてくる以上、接近するのは難しい。
だが、あの時と同様に空を飛んでいれば躱すのはそれほど難しくない。
とはいえ、躱しているだけじゃ埒が明かないな。
どうするか……。
飛んでくる槍を高速で飛び回って躱しつつ電撃を放つが、それらは無数の槍によって阻まれてしまう。
レールガンなら複数の槍を吹き飛ばせるがノインさんに届く前にその力を使い切ってしまい当たらないし、場所が発見され次第破壊されてしまう。
反動がそれなりにデカいから何かしらに固定する必要があるからな。
移動出来ないのが痛い。ほとんど使い捨てだ。
それにしても、尽く防がれるな。
多分周囲に展開してる槍が破壊されたら、その方向に瞬時に新たな槍が生えるようにしてるんだろうが、それにしたって完璧だ。
本人の背が低いこともあって角度をつけるにしても射線を通すのは難しいしな……。
「いや、それならいっそ真上から狙い撃ちするか……」
無駄に長い槍をセンサー替わりなのか生やされてる所為で、闘技場の観客席程度の高さからの射角だと射線は通らない。
だが、もっと上からなら話は別だ。
邪魔になるのは今も襲い掛かってくる射出された槍だけだ。
数本なら問題なく撃ち抜けるし、こっちに注意を引けば気付かれずに撃てるはずだ。
「それとは別に陽動も用意しないとな。行くぞ!」
ノインさんに向けて手を翳すと周囲に無数の金属の弾が現れた。




