表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
SSC ホーリークレイドル 〜消滅エンドに抗う者達〜   作者: Prasis
フロラシオンデイズ 第五章~クレイドルガーディアンズ~
260/445

5-18 爆ぜろ不屈の快男児1

 さて、激戦の(すえ)に最後の一人に選ばれた俺はカプセルの中へと入り目を閉じた。

 そして目を開けてみるとそこは石造(いしづく)りの闘技場(とうぎじょう)だった。


 何となく見たことがあるな。

 確か、コロッセオとかいうやつだったか? あれに似てる気がする。


 決闘場(けっとうじょう)と言う意味では随分(ずいぶん)と雰囲気のあるステージだ。

 さて、そんな俺の相手はと言うと……。


「げっ……」


「何だ何だ? 俺とやるのは嫌だったか? 根性が足りないなぁ」


 いきなりこの人か……という言葉は何とか飲み込んだが、恐らく顔に出てしまっただろう。


 だが、それでもエンジュさんは笑顔のままだ。

 この人、(ふところ)が広いな。


 (おに)(きん)トレの所為(せい)でトラウマ気味(ぎみ)なんだよなぁ。

 あと、テンションに付いて行き(がた)い。


 だが、やるしかないのが事実だ。

 忙しい中せっかく時間を作ってくれてるわけだしな。

 (むね)()りるとしよう。


「さて、それじゃあさっそく俺への勝利条件を発表するか。俺の出す条件は……十分間ダウンしないか、一度でも俺からダウンを取ることだ! 根性があれば簡単だろ?」


「根性があればですか……確かにそうですね」


 ダウンを取るのに根性が関係あるかは知らないが、十分間ダウンしないのに根性(こんじょう)は必要だろうな。


 ……いや、本当にそうか?

 何か(だま)されてる気がする。


「そうそう、それとこれは全員共通の特殊(とくしゅ)勝利条件なんだが……俺達を本気にさせてもお前達の勝ちだ」


「本気……ですか?」


「あぁ、と言っても本気なんていうのは俺達自身にしか判断出来ないからなぁ。まぁ、要するに俺達に認められてみせろってことだ。根性見せてみろ!」


「はぁ……」


 要するに、本気を出したかどうかは向こうの申告制(しんこくせい)ってことか?

 だったらないものと考えた方がいいな。じゃあ、とりあえず俺が狙うのはもちろん……。


「逃げ続けて勝っても勝った気がしませんから、俺はダウンを取らせてもらうことにしますよ」


「お、言ったな? 根性あるじゃねぇか。気に入った! 最初の三十秒はここから一歩も動かないでやる! もちろん反撃(はんげき)も無しだ! 全力で掛かってこい! これが落ちたら開始な!」


 言うが早いか、どこからか取り出したコインを上に(はじ)き上げた。

そして、そのまま流れるように仁王立(におうだ)ちの(かま)えを取った。


 最初は動かないって?

 よっぽど防御に自信があるんだな。


「その余裕、後悔(こうかい)させてみせます!」


「おう! やってみろ!」


 その言葉の直後、コインが地面に落ち金属音が響く。

 それを聞くと、俺はすぐに地面を()ってエンジュさんに接近した。


 鬼のような訓練をしただけあって、はっきりと分かるレベルで体が軽い。

 訓練中は分からなかったが、一日休んだからこその自覚だろうか?

 これなら、本当にクリア出来る気がする!


 そう考えた俺は勢いそのままに()()りをエンジュさんの腹に決めた。

 だが……。


「なっ!」


 吹っ飛ばすつもりで放った()りを受けてもエンジュさんはびくともしない。

 その()った感触は何とも不思議だ。エンジュさんの腹は鋼鉄(こうてつ)のように(かた)く、それでいて衝撃(しょうげき)を流されているような。反発の少ない感触。


「くっ、あああああぁぁ!」


 スピードを完全に()りのパワーに変えてしまった俺はその場へと()り立ち、そのまま()を回して体重の乗ったパンチを何発もぶち込むが、またも手応(てごた)えがない。当のエンジュさんも余裕(よゆう)の表情だ。


「おうおうおう、どうした! こんなもんなのか?」


「まだまだぁ!」


 恐らく能力なのだろう。

 ()りやパンチの衝撃(しょうげき)は完全に吸収されてしまった。


 であれば他の方法を試すだけだ。

 俺はすぐさま属性刀を取り出すとそれを(こし)のあたりで構える。


「メイリード流! 狼牙閃(ろうがせん)!」


「ぬんっ!」


 全力で振り抜いた横一閃(よこいっせん)はガキィィィン! という金属音とともにその腹筋(ふっきん)(はば)まれた。

 今度はさっきのような吸収されるような感触はほとんど感じなかったが、それはそれとして普通に硬い。


 本当にこれは筋肉なのか!?

 一応(わず)かに切れてはいるものの、属性刀が腹筋に捕まって抜こうとしても抜けない! だったら、このまま!


雷弾解放(カナムバースト)!」


 雷弾解放(カナムバースト)は単純な放電技。シンプルだが十分効果的な技だ。

 さっきの様子からしてエンジュさんの能力は衝撃(しょうげき)を吸収する(たぐい)のものなのだろう。であれば、放電は効果があるはずだ。


「うぐっ! やるな! だが、根性(こんじょ)おおおおおおぉぉ!」


 エンジュさんの雄叫(おたけ)びに体が震える。いや、闘技場(とうぎじょう)自体が震えている!?


 効果がないわけではなさそうだが、やはり(たお)すには(いた)らないか。

 俺が属性刀から手を放して飛び退()がるとエンジュさんが腹から属性刀を抜いて放り捨てた。


 エンジュさんの顔に()みが浮かんだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ