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SSC ホーリークレイドル 〜消滅エンドに抗う者達〜   作者: Prasis
フロラシオンデイズ 第五章~クレイドルガーディアンズ~
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5-1 打ち上げは嵐の中で1

どうも、Prasisです!

前回の後書きでしばらく休載すると書きましたが、思いの外筆が乗って間に合ってしまいました。

いつも通り一週間程度の休載でしたね。あはははは。


というわけで、第五章「クレイドルガーディアンズ」開始です!

「お前ら! 今日は(おご)りだ! じゃんじゃん飲んで食って(さわ)いでくれー!」


「おおおおおおおぉぉ!!」


 椚ヶ丘(くぬぎがおか)超能力専門高等学校から徒歩二十分ほどの場所にある焼肉屋。

 そのおよそ中心の位置にある席の上に立ち上がった隼人の声に大歓声(だいかんせい)が答える。


 そんな隼人を下から見上げるかたちの俺達はジトーっとした目を隼人に向けていた。


「おい、行儀(ぎょうぎ)が悪いぞ隼人。椅子(いす)の上に立つんじゃない」


「そうですね。隼人君なら能力を使えば台も作れるはずですし、やっぱりマナー的に良いことではないですよ?」


「そうそう、テンション上がるのは分かるけどねー。あ、ロースとカルビ四人前こっちでーす!」


 俺、唯、空の全員からの指摘(してき)に隼人は露骨(ろこつ)()め息を()いた。

 おい、何分かってないな―みたいな雰囲気(ふんいき)を出してるんだお前は。


「ノリが悪いぞお前ら……。せっかく焼肉屋を貸し切りにしてるんだぞ? マナーなんて気にせず行こうぜ?」


「いや、それとこれとは話が別だろ? それに今日は(おご)りだ! って、まるでお前の(おご)りみたいじゃないか」


「そうだよね。そうじゃないと分かっててもちょっと鼻につくよね」


「あー、相変わらず俺の立ち位置ってこんななのね。ちょっと皆に突撃(とつげき)されたからって機嫌(きげん)悪くすんなよなー」


 いや、違うし。クラスメイトに(むら)がられたことの腹いせとかじゃないし。

 生徒会長が話を持ってきた所為(せい)だとか思ってないし。


「まぁそうだな。せっかくの焼肉なんだ。冗談(じょうだん)はこれくらいにして楽しく食うか」


「そうそう。まぁ、今回頑張ってくれた皆に俺からのお礼ってことで、打ち上げ代取れるように俺も結構頑張(がんば)ったんだぜー?」


 飄々(ひょうひょう)とそんな事を言いながらもひょいひょいと肉を焼いていく隼人。


 ほんと、こいつなんだかんだでしっかりしているよな。

 (しゃべ)らなければ結構完璧なんじゃないだろうか?


「そういえばやけに張り切ってるとは思っていましたけど、そんなことを考えていたんですね」


「その割には僕達の力が大きかった気がするけどね」


「いやいやいや、それも計算に入れた上で話を勝ち取って来たんだっての! 光葉(みつは)との橋渡(はしわた)しもしてやっただろ? これでも俺は結構感謝(かんしゃ)してるんだぜ?」


 今俺達は会長のポケットマネーから捻出(ねんしゅつ)された打ち上げ代を使って、ラグーンシティ内でも比較的人気な焼肉店を貸し切りにしていた。


 というのも、昨日の椚祭(くぬぎさい)でうちのクラスがやっていたメイド&執事喫茶が投票で一番になったんだとか。


 まぁ、最初の数時間は唯やフィア達の助力(じょりょく)もあって相当な人気だったからな。


 さもありなんといったところだが、それにしても会長、ポケットマネーで店貸し切りとかぶっ飛び過ぎだろ。ほんと金持ちって(すご)いな。


「まぁ、天音さんの件は素直に感謝しておくよ。あれに関してはほんとに悪かったと思ってるからな」


「そうですね。あのジトーっとした目は寒気(さむけ)を感じさせるのに十分でした」


 そう言う唯は自分の肩を()いてプルプルと震えている。

 いやほんと、無言(むごん)の圧力って(こわ)いよな。特に女子の。


「まさか会長(かく)()生写真(なまじゃしん)セットで買収(ばいしゅう)するなんてね。怒られたりしないの?」


「まぁ、バレれば怒られるだろうけどな。光葉の奴はそんなへまはしないから大丈夫だよ」


 あの俺達を震え上がらせた怒りの冷たい視線が、まるで(うそ)だったかのような笑顔に変わったからなぁ。今は夏だが、春の雪解(ゆきど)けを味わえたよ。


 お、特上カルビが届いた。

 じゃあどんどん焼いていくか。


「むしゃむしゃ、そういえばホーリークレイドルの連中は呼ばなくて良かったのか? ステージだけじゃなくてメイドもやってくれたんだから、打ち上げに来ても問題なかったんだぞ?」


「もぐもぐ、いや、今日やるなんて知らなかったしな。それにもし来てたら皆に囲まれて飯食(めしく)うどころじゃないだろ」


「はむはむ、ごくん。皆さんとっても可愛いですもんね。メイド喫茶(きっさ)の時は時間も短かったですし、私達の相手とお客さんの相手でクラスの皆は話す機会がありませんでしたから、囲まれてしまうのは間違いないですね」


「あむあむ、そうそう、それにライブまでやっちゃったもんね。今日は三人が誰なのかって(すご)い聞かれたし、もしも今ここに来たりなんてしたらちょっとしたパニックになっちゃうよ」


 俺達のライブのパフォーマンスは我ながらかなりの出来栄(できば)えだった。

 そのメンバーの半数が見たこともない人達なうえ、その後に唯を含めてもう一曲やってたからな。そりゃあ注目(ちゅうもく)(まと)にもなる。


 いや、ほんと。これからどうやってはぐらかしていこうか……。


「はふはふ、んー、おいしいじゃないのこれ! あんた達なかなか良いもの食べてるわね!」


「ふーふー、はむ。んぅ! はぅ……。全く、功労者(こうろうしゃ)であるうち達を差し置いて打ち上げだなんて、そうは問屋(とんや)(おろ)しませんよ」


「むしゃむしゃ、ぺろぺろ、んぅ! (すご)いね、ここ! お肉も野菜も、アイスまで食べ放題なんだって! ほら、空も食べてみなよ!」


 いや、うん。え? 何でいるのかな?

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