表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
SSC ホーリークレイドル 〜消滅エンドに抗う者達〜   作者: Prasis
フロラシオンデイズ 第四章~スクールフェスティバル~
216/445

4-33 その名を轟かすために

「くぅう! アイスニードルシェル!」


 廃墟群(はいきょぐん)一帯(いったい)に声が響いたかと思うと、空に無数の(とげ)が生えた氷の球体が出現した。


 それらは空中に(とど)まり、後から突っ込んできた影に触れると爆発するかのようにその(とげ)()き散らした。


 それとほぼ同時、そこから十メートルほど離れた位置に網目状(あみめじょう)の鎖が展開され、何かに引っ張られるかのように鎖が引き延ばされた。


 それがようやく止まると、その引き延ばされた鎖の先、中心には鎖に身を預けつつも油断ない視線を空中に向ける黒髪の少女がいた。


「はぁ、はぁ、ほんとにとんでもないのばっかり連れて来るわね。どうやったらこんな連中が集まるのよ」


 (うら)み言を口にしながら地面に飛び降りると、空を見上げた。


「そのとんでもないのに反応出来るのだ。お主もとんでもないのではないか?」


 するとそんな減らず口を(たた)きながら翼をはためかせ、新たな敵である竜人族(ドラグナイト)が無傷の姿を現した。


 この男、前回現れた竜人族(ドラグナイト)……確か、バルザックと言ったかしら。

 あいつよりも段違(だんちが)いに強い。


 一体どんな能力持ちなのかしら……それともこれが、竜人族(ドラグナイト)本領(ほんりょう)ってわけ?


「……セルビスだったかしら? それだけの強さがあるなら、仕事くらい幾らでも選べるでしょ? 何でこんな犯罪の片棒(かたぼう)(かつ)ぐのかしら? 確かに、傭兵はお金さえ(もら)えば大抵の仕事はするだろうけど、それでも宇宙警察(ポリヴエル)を敵に回すようなことはそう易々(やすやす)とはしないはずよね?」


 フィアの質問に対し、わずかな沈黙。一体何を考えているのか。

 しかし、そんなことは知らなかったということも無いだろう。

 その証拠にその(するど)い瞳からは動揺(どうよう)が一切感じられなかった。


「我らは傭兵(ようへい)だ。しかし、欲しいのは金ではない。そして、お主の言う通り仕事など幾らでも選べる。だが我らには、悠長(ゆうちょう)(かま)えている余裕などないのでな」


 セルビスがそう言ったところで、ようやくフォレオとシルフェが追い付いて来た。

 とりあえず、最悪の状況は(だっ)したかしらね。


 相手もそれに気付いたみたいだけど、動く様子はない。話は出来るみたいね。

 さっきの一撃だけでも分かる。こいつはまともに戦えばかなり苦戦する相手だ。


 それも、全員で戦ったとしても勝てる保証(ほしょう)はないくらいの。

 あの三人は足手纏(あしでまと)いになりかねないレベルね。

 なんとか、戦わずに済ませられればいいんだけど……。


「あなた、傭兵(ようへい)のくせにお金が目当てじゃないんですか?」


「そうだよね。皆が皆お金が目的じゃないよね! うんうん、私もそうだったよ。私だって仕事は選んでたしね。あれ? 仕事が選べるのにこの仕事に来たってことは、何か理由があるってこと?」


「当たり前だ。このような仕事、理由もなく選ぶわけがなかろう。……我等(われら)は、この名を宇宙中に(とどろ)かせねばならんのだ。貴様らはこの界隈(かいわい)では有名なのであろう? それに加えて、かの宇宙警察(ポリヴエル)(つら)なる者だ。それを打ち(やぶ)れば、我らの勇名(ゆうめい)。宇宙中に(とどろ)くのは間違いないであろう?」


 (おごそ)かな声でセルビスはそんなことを口にした。


 名前を(とどろ)かす? 確かに、私達自体はともかく宇宙警察(ポリヴエル)の実行部隊の一つとして、下請けを受け持っているホーリークレイドルは犯罪者達の界隈(かいわい)ではそれなりに有名だ。


 もちろんもっとも有名なのはS級社員だけど、A級と認められた社員でも倒すことが出来ればその界隈(かいわい)(はく)が付くという話は聞いたことがある。


 でも、それはあくまでその界隈(かいわい)の中での話よ。

 そんな名声が何になるのか見当もつかないし、間違いなく宇宙警察(ポリヴエル)やホーリークレイドルを組織(そしき)単位で敵に回すことになる。


 だから、例え考えたとしてもわざわざ実行に移すなんて話は聞いた事がない。


「確かに、ごく一部の人々の間では名が売れるとは思います。ですが、そんなの勇名(ゆうめい)と呼べるのですか? あなた達はそんな自己満足のために宇宙警察(ポリヴエル)を敵に回すつもりなのですか?」


 当然すぎるフォレオの言葉にセルビスの(ひとみ)剣呑(けんのん)に光る。

 覚悟は決まっていると、そういうことなのだろうか?


「貴様達は、我等の目的を聞かないと全力で戦えないのか? 我がそこまで話す必要などないであろう」


 話したくない……か。

 こいつらの最終的な目的が何にしても、今の目的が戦って私達を下して悪名(あくみょう)を広めることなんだったら、戦わないという結論に至ることはなさそうね。


 それなら今考えることは、どうやってこいつを捕まえるかってことね。

「面白い」「続きが気になる」と感じたら、

 下の ☆☆☆☆☆ から評価を頂きたいです!


 作者のモチベーションが上がるので、応援、ブクマ、感想などもお待ちしています!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ