表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
SSC ホーリークレイドル 〜消滅エンドに抗う者達〜   作者: Prasis
フロラシオンデイズ 第四章~スクールフェスティバル~
212/445

4-29 改めての自己紹介……ならず

「それで、どうしたんだ? 協力を持ち掛けられたのか?」


 返答次第ではこれから一緒に行動する事になるかもしれない。

 そうなれば心強い限りだが……そう考えて(たず)ねる。


 すると、これまで黙っていた御嵩(みたけ)さんがおずおずといった様子で、指輪を手の上に()せて見せて来た。


「とりあえず、この指輪(スキルリング)とかいう物の援助(えんじょ)を受けられる事になりました。一先(ひとま)ず入社する意思はないって言ったんですけど、一応持っておいて欲しいって。どういう事なのか測りかねてるんですけど、念のためとしか言ってくれなくて。皆さんは何か知っていますか?」


 その質問にフィア、フォレオ、シルフェの三人が顔を見合わせる。

 難しそうな顔をしている辺り、この対応が普通ではないのは確かだろうな。


「……うちらは何も聞いてないです。まぁでも、確かにこの島が危険になる可能性は十分にありますから、(もら)えるのなら自衛(じえい)のために持っておくのは悪くないと思いますよ」


「そうね。もちろん、そうならないように頑張るけど。私達は決して万能じゃないから」


 フィアが申し訳なさそうにそう言うと天衣さんが頷き、そして頭を下げた。


「えぇ、自分達の国の事ですもの。それぐらいは心得ていますわ。……岩山を落とした件。あれが大事にならなかったのはあなた達の助力のおかげですわ。改めてお礼を言わせて頂きます。ありがとうございました」


「そんなのは……、いや……そうね。好意はありがたく受け取っておきましょうか。どう致しまして。ただこれだけは言っておくわ。今日は楽しかった。私もここが好きよ」


 フィアが微笑(ほほえ)みながら言うと、天衣さんは頭を上げて表情を(くず)した。


「そうですか。そう言ってもらえるのはとっても嬉しいですわ。私達、話し合ったんですけど、自分達の国の問題ですから出来る事はしたいですわ。もし何か手伝える事があったら教えて下さいね」


「そうそう。そして、力を合わせるからには仲良くね。そうするには……まずは呼び方から変えましょうか。そういうわけで自己紹介するわね。私は剱持祭(けんもちまつり)。祭って呼んで。あ、もちろん、彼女達だけじゃなくて全員よ? こっちも名前で呼ぶ事にするから」


「それ、良いですわね。私は天衣花蓮(あまいかれん)ですわ。花蓮でお願いしますね」


「そ、そういうことなら私も! 御嵩花南(みたけかなん)です! 花南でお願いします」


「ん。五郭心(ごかくこころ)。心で良いよ」


「おや、これは乗る流れですね。友人大量ゲットの大チャンスです。僕は嵐山風人(あらしやまふうと)。風人と呼んで下さい。機会があれば是非(ぜひ)お手合わせをお願いします」


「友人……。えぇ、友人が増えるのは大歓迎(だいかんげい)よ。私はフィア・ライナック。フィアが名前よ」


「フォレオ・シレーナ・ライナックです。フォレオで良いですよ」


「私はねー。シルフェリア・ミカエル! 皆シルフェって呼ぶから、シルフェで良いよ!」


 各々(おのおの)が自己紹介をし、並び順的には次は……俺だな。よし。


「俺は……」


「あぁ、雷人君達はいいですわ。こっちも全員知ってますし、フィアさん達もそうでしょう?」


「……」


 出だしで速攻(くじ)かれたこのやるせなさはどこにぶつければいいですか……?

 恥ずかしさで居たたまれなくなっていると、特に気にした様子もなく風人が切り出した。


「それでは、僕達はそろそろ失礼するとします。椚祭はまだ後夜祭が残っています。是非(ぜひ)楽しんで行って下さい」


 そう言って、丁寧に礼をすると風人達は去って行った。


「……まさか、あいつらがホーリークレイドルと接触してるなんてな」


「まぁ、良い事じゃない。手伝ってくれるっていうんだから。雷人達からしても十分な力を持った子達だったんでしょ?」


「まぁ、能力で言えば十分過ぎるくらいだな。指輪(スキルリング)も貰ったなら(なお)の事だろ」


「それに、友人になってくれましたからね。フィアにとってはこの上ないでしょう」


「あ、あんただって私と一緒で友達少ないじゃないの……」


「うちは今で満足しているので、全く問題ありません」


「ぐぬぬ、まぁいいわ。今はそんな事をしていたら時間がもったいないものね。さ、早く着替えて後夜祭とやらに向かいましょ」


 そう言ってフィアが更衣室の方へ一歩踏み出したその時だった。


「さて、話は終わった。という事でいいのか?」


 背後の曲がり角から声が響いたのだった。


「面白い」「続きが気になる」と感じたら、

 下の ☆☆☆☆☆ から評価を頂きたいです!


 作者のモチベーションが上がるので、応援、ブクマ、感想などもお待ちしています!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ