4-16 メイド&執事喫茶、開店です!
そしてやって来た椚祭当日。
俺達が行うパフォーマンスは午後からの予定なので、午前は自分のクラスの店番と他クラスの模擬店を回る事の出来る時間だ。
クラスの皆も俺達のステージがある事は知っているので、気を遣ってくれているらしい。
不測の事態が起きないようにと、店番は開店後の二時間という事になった。
そういうわけで俺達は店番の準備をしていたのだが……。
「まさか、俺達のクラスの出し物がメイド&執事喫茶だったとは……」
「なんだよ雷人。まさか自分のクラスの出し物が何なのかを確認してなかったのか? 今更逃げ出したりしないだろうな?」
「流石に逃げ出したりはしないけどな。ちょっとこう……恥ずかしいだろ?」
「いいじゃん。雷人はまだ似合ってるんだからさ。僕はこういうのは似合わないし、こっちの方が地獄だよ」
「いやいや、謙遜すんなって! 二人とも結構人気だぜ? 女子の視線を集めやがって、羨ましいなぁ。この野郎!」
今回、執事役という事で男子は全員執事服に身を包んでいるのだが、クラスの女子達が妙にやる気満々で、髪のセットとかまでしてくれたのだ。
何やら女子向けのイケメンが出てくるアニメ、白執事に出てくるキャラクターに俺と空が似てるんだとか。
チェックしてないアニメなのでどのくらい似てるのかは分からないが、何やら周りからの喜色の視線を感じるので、思ったよりも人気キャラなのかもしれない。
「なぁ、唯ちゃんもカッコいいと思ってるんだろ?」
「へ? 私ですか? えっと、その、皆さんが言っている白執事……というのは存じませんが、似合ってると思いますよ?」
そう言う唯はもちろんメイドの恰好をしていて、これまた凄く似合っている。
唯は贔屓目なしでも相当可愛いからな。和風だろうが洋風だろうが大抵のものは似合う。
こういう恰好をしてると金髪でも似合いそうだよな。いや、むしろそっちの方がしっくりくるかもしれないな。ウィッグでも持ってきたらどうだ?
「唯もメイド服似合ってるぞ。これは評判になってお客さんが一杯来るかもしれないな」
「え!? そ、そんな、私は……。いえ、ありがとうございます。そう言ってもらえると……嬉しいです」
「あぁもう、俺の前でイチャイチャするなっての! さぁさぁ! もうすぐ開店だぞお前ら! 投票で一番になったクラスには、なんと打ち上げ代が贈られるからな! 優勝目指して頑張ろうぜ!」
「おおっ!」
隼人の言葉にクラスの皆が腕を上にあげながら答える。
打ち上げ代だって? 初耳なんだが……。
「会長、そんな事までしてたのかよ。今回は本当に力を入れてるんだな」
「おかげで皆かなり気合入ってるよね。でもまぁ、そんなの関係なしにやるからには頑張らないと」
そう言って空が衣装を整える。その時、外で呼び込みをしていた男子生徒が声を上げた。
「最初の客を入れるぞ! 精一杯の出迎えをな!」
「よし、せーの!」
「お帰りなさいませ! お嬢様!(ご主人様!)」
文化祭と言えば模擬店! 模擬店と言えば喫茶! 喫茶と言えばメイドor執事!
唐突なメイド&執事、失礼します!




