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SSC ホーリークレイドル 〜消滅エンドに抗う者達〜   作者: Prasis
フロラシオンデイズ 第四章~スクールフェスティバル~
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4-12 想定外の会場

「ふぅ、それじゃあ今日はこのくらいにしておきましょうか。あまり無理をしても良くないものね」


「ようやく……ですか。疲れました。皆さん(すご)いやる気ですね……。あぁ、会長に(いや)してもらいたいです」


「はぁはぁ、僕ももう無理……。明日は絶対、筋肉痛確定だよ……」


「空、疲れちゃったの? じゃあ私が(いや)してあげるね! ぎゅー!」


「ちょ! だから! シルフェ!? やめっ、暑い! 暑いから!」


 いつものようにじゃれあうシルフェと空。

 何の気なしにふと視線をフィアの方に向けるとフィアは空達とこっちを交互に見て少しそわそわしていた。


 いつもの事なのに何を気にしているのだろうか?

 そんな事を考えていると(となり)に唯がやって来た。


「訓練場は空調が効いているとはいえ、これだけ動くとやっぱり暑いですね。でも、楽しいです。青春というのは、こんな感じなんでしょうか?」


「そうだな。確かにこれはザ・青春! って感じだ。最近は危なっかしい事も多かったけど、今は襲撃(しゅうげき)も特にないしな。こういうのを満喫(まんきつ)出来るのは学生の今だけだから、楽しんでおこうぜ」


「……今だけ、ですか。そうですね。全力で青春を楽しみましょう」


 何だろう。今一瞬だけ唯の表情が沈んだような。

 悩み事でもあるのだろうか?


 うーん、幸せそうに笑う唯の笑顔は作っているようには見えない。

 気のせい……だったかな?


「よし、明日は学校もあるし今日は早いとこ帰るぞ! 皆、汗掻(あせか)いてるし、夜は冷えるかもしれないから体調には気をつけろよ! ここで風邪なんて引いたら本番に間に合わないからな!」


 こうして練習は終わり、次の日からも授業終わりに集まっては練習を重ねた。

 そんな中でもごく短時間ではあったが、戦闘や能力の訓練も欠かさず行った。


 そして土曜日、俺達は実際の会場の下見(したみ)に来ていた。

 流石に当日にぶっつけで、なんて事は出来ないからな。

 ステージの広さと、会場の広さも確認しておかないと。


「ここが会場か。思ってたより……というより随分(ずいぶん)と本格的だな」


 一目見ての率直(そっちょく)な感想に対して、()ました顔の天音さんが答えた。


「当然です。会長がプロデュースしているだけでなく、会長自身も舞台(ぶたい)に立つのですから、より完璧なステージにしなくてはなりません。音響(おんきょう)も最新の機材を(そろ)えていますし、収容人数も万全です。全校生徒が入っても大丈夫ですよ」


「な、なるほど」


 会場は半径七十メートルはありそうな広々としたドーム状となっており、天井は晴れていれば開ける事が出来るようだ。


 遠くの人も見やすいように巨大なモニターもつけられているし、照明等も多く取り付けられている。


 使われる予定の機材も結構多いみたいで、今も学生達がせっせと運び込んでいる。

 中には明らかに学生ではない人もいるので、会長が(やと)ったのかもしれない。


 学園祭のステージにどれだけお金を掛けてるんだよ、あの人は……。

 本物と比べても遜色(そんしょく)ないレベルだぞ。


 完全に学生のレベルを超えてるな。

 流石はお坊ちゃまだ。絶対に敵には回したくない。


「はぁー、(すご)いわね。この前のレセフィラ・フォシュラのライブ会場程ではないにしてもかなり本格的じゃないの。会場がここまでだと、私達のパフォーマンスが見劣(みおと)りしちゃわないかしら?」


 実際に会場を見て不安そうに言うフィア。

 確かに、俺達が想像していたのは学生らしく体育館とかでやるような、そんなステージを少し豪華(ごうか)にしたようなものだ。


 学生レベルなら十分なレベルに仕上がった自信はあるが、ここまで本格的なステージとなると、それこそプロのレベルがないと見劣(みおと)りしてしまいそうだ。


 これは何か手を打たないといけないか? でも何をすればいいか……。


「でもでも、こんな所でやれるなんて(すご)いよね! 私、なんかワクワクしてきちゃった!」


「安心して下さい。皆さんが多少失敗しても大丈夫なくらい、うちの歌で盛り上げてあげますよ」


 嬉しそうにはしゃぐシルフェと自信満々のフォレオ。


 そういえば、ここ一週間の練習の間にダンスの練習はしてきたけど、全体での歌の練習はしてないんだよな。だからまだフォレオの歌は聞いていない。


 今回主として歌うのは女性陣で、俺達を驚かせたいとか言って別で練習しているみたいなのだが……本当に大丈夫なのだろうか?


 自信満々だし大丈夫だと思いたいが……。

 そんな事を考えていると後ろから声を掛けられたのだった。

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