4-7 レセフィラ・フォシュラ2
髪色で言うと、私とお兄ちゃんは黒髪だけどセレナとフォビスは水色の髪だし、ラフェリアは白髪でシュカは金髪、レイラは銀髪だ。
むー、確かに邦桜は黒髪とか茶髪が多い印象だから、珍しい髪色なのかもしれないね。
レイラ「そうでしょうか? 別に気にならないですけど、視線ならいつも集めていますよ?」
フォビス「私もそこまで気になりませんね。髪の色は綺麗だと言われる事が多いですから」
セレナ「いや、まぁね? うちらは今が人気絶頂のアイドルだから、そりゃ好感触の声の方が大きいけどさ……。そっか、気にならないんだ……。シュカ、あんたは流石にこっち側だよね?」
シュカ「気にならないと言えば嘘になるけどさ。アイドルやるならこのくらいの方がむしろ印象に残って良いでしょ。視線が気になるなら有名税だと割り切るしかないよね」
セレナ「それほんと正論ね。あー……いやほんと、何でこうなったの?」
そう言ってセレナは手を顔に当てて天を仰いだ。
どうやらレイラとフォビスは気にしてないみたいだし、シュカは割り切ってるみたいだ。
さっきからひっくり返ったまま黙ってるけど、ラフェリアも周りの目を気にする性格じゃないし、じゃあセレナだけが気にしてるのかな。
うーん、仲が良くても分かってない部分はあるものだね。
ラフェリア「ちょっとー! 誰も私の心配はしてくれないのー?」
ラフェリアが文句を言いながら足をバタバタとさせる。
一瞬だけ視線が集まるが一向に起きようとしないラフェリアを全員が無視した。
彼女は構ってちゃんなので、この場合は放っておくのが正しい。
フィト「あっ、とかなんとか言ってたらもうすぐ時間だね。ふぅ、はい、それではライブ中にも客席にはなるべく目を向けて探す方向で、見つけたらライブが終わり次第接触しましょう。怪しまれる可能性が高いですが、最低でも連絡先を聞き出せたらなんとかなるはずです」
私が顔の横で手を合わせながらそう言うとお兄ちゃんが微妙な顔でこっちを見る。
ライア「……毎度の事だけどさ。キャラ変え過ぎじゃないか? お前のお淑やかキャラって兄からすると違和感凄いんだが」
フィト「プロなんだからこれくらいは当たり前です。お兄ちゃんだって無駄に明るい元気キャラをやってるじゃないですか」
ライア「素のままでアイドルなんてやれるわけないだろ? ライブなんだから盛り上げないといけないしさ」
セレナ「それを言われるとねぇ。うちは心が痛いなぁ。でもさ、ほら。こんなテンション低めのアイドルでも需要があるんだからさ。世の中分からないよね……」
ライア「お前ダウナー系だもんな。写真とかの時は器用に可愛さを作るし、歌ってる時はめっちゃテンション高いのになぁ」
セレナ「一応仕事だし、歌は好きだからね。本能ってやつなのかな? とは言っても、キャラ変えてないのはあと四人もいるわけで」
そう言って件の四人を見てみると、ソファに座るシュカの上にレイラが座っていて、未だに起き上がらないラフェリアはフォビスが起こしている所だった。
ラフェリアは子供っぽさが売りなのであれで問題ないし、フォビスの落ち着いた感じも大人っぽいと人気だ。
シュカのぶっきらぼうな感じも一定数のファン層がいるし、レイラの癒し系の可愛さは元気なれると評判だ。
そう、このグループだとキャラ作ってる方が少数派なんだよね……。
フィト「素のままで人気って良いなぁ」
ライア「おい、素が出てるぞ。まぁ、フィトは俺とは違って多分素のままでも人気は出ると思うんだけどな」
フィト「それを言うならお兄ちゃんのその自然体な感じも好きな子いると思うけど?」
シュカ「二人とも乳繰り合ってるところ悪いけど、そろそろ時間でしょ? 準備しないと」
フィト「な! 言い方!」
ライア「乳繰り合ってはないだろうが!」
レイラ「もう、お兄様! トゲトゲした言い方はダメですよ! 相手を傷つけたり、争いの火種になったり、百害あって一利なしなんですから」
シュカ「はいはい、ほらレイラも降りて。これじゃ動けないでしょ」
レイラ「もぅ、お兄様はまたそっ気のない返事をして、ちゃんと直さないとダメなんですからね」
シュカに茶化されてちょっと恥ずかしくなってしまった。お兄ちゃん顔赤いし。
……多分、私も今は顔が赤いだろうな。集中しなくちゃ。
フィト「それでは行きましょうか」
ライア「よし……ライブ成功させて、目的も果たすぞ!」
シュカ「あんまり意識し過ぎてライブ失敗しないようにね」
レイラ「頑張っていきましょう」
ラフェリア「あはは、楽しみだねー。楽しんでこー!」
セレナ「うん、頑張っていこうか」
フォビス「はい、頑張りましょう」
こうして私達はいつも通り、ライブギリギリまでドタバタしながら楽屋を出てステージに向かった。きっと二人が見てるはず! ライブは絶対に成功させるよ!




