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SSC ホーリークレイドル 〜消滅エンドに抗う者達〜   作者: Prasis
フロラシオンデイズ 第一章~デーモンフォール~
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1-17 初めての朝

 結論から言ってフィアの寝床(ねどこ)は俺のベッドになり、俺はその下に布団を敷いて寝る事になった。


 フィアはあまり気にしていない様子で私が下でも構わないと言ったが、そういうわけにもいかないだろう。


 とりあえずシャワーを()びてその日は寝たのだが、なんか良い匂いがして気になってしまい、その日は眠るのが遅くなってしまった。思春期の男女が同じ部屋で寝るというだけでも考えものだな。


 次の日、朝の陽射(ひざ)しの心地いい暖かさの中に目が覚めた。

 昨日の出来事を思い出しあれは夢だったんじゃないだろうか? などと考える。


「八時……か。土曜日とはいえ、そろそろ起きないとな」


 そう言って雷人がごろんと寝返りを打つと目の前に可愛らしい少女の顔があった。

 予期せぬ事態に一瞬放心するが、すぐに頭を振る。


 ……夢じゃなかった。


 思い出せ、どうしてこんな事になっている?

 確か昨日、俺はベッドの下でフィアは上で寝ていたはず……、そうか、落ちて来たのか……。おい、寝相(ねぞう)が悪いなんて聞いてないぞ!


 現在の状況に俺は頭を抱えた。

 この状況でフィアが起きれば、自分が悪者になってしまう可能性がある。


 状況的には一切悪くないと思うが、こういう時の立場は男が弱いと相場は決まっているのだ。落ち着いて状況を確認し、何とかこの状況を脱しなければっ! 俺は寝起きの頭を全力で回し、現状を確認した。


 フィアは寝ているがここまで落ちてきたのだ。間違いなく寝相が悪い。

 何が言いたいかというと、少し服がはだけている。


 肩が片方出てしまっていて、鎖骨と胸元が見える状態になってしまっている。

 何とも(なま)めかしい……。


 目の保養(ほよう)としてはとても素晴らしいのだが……、状況としては非常に悪い。

 俺は考えている場合では無いと判断し、少しずつずり下がるように布団から出ようとした。


 大丈夫だ。

 俺なら出来る。

 俺ならでき……。


「んんぅ」


 フィアが突然少し色っぽい声を上げながら、逃げようとする俺の腕に抱き着いて来た。


 胸が、胸が腕に当たっている!

 昨日フィアは着替えを持っていなかったので、今のフィアの服は寝巻(ねまき)として貸したシャツだけだ!


 胸の柔らかさと暖かさに雷人の頭は真っ白になり、咄嗟(とっさ)に腕を引き抜いてしまった。まずい!


「んぅ?」


 さすがに気付いたらしくフィアが目を開け、目を(こす)って欠伸(あくび)をする。

 そして目の前にいる俺と目が合った。


 やばい。

 俺は殴られるのを覚悟して身構えた。


「んぅ、雷人? ……あぁ、そういえばこっちで暮らす事にしたんだったっけ……ふぁ」


 そして、フィアは自分の服が着崩れている事に気が付くとサッと直した。

 そして雷人を見ると少し顔を赤くした。


「……見たの?」


「あー……起きたらそうなってたから、不可抗力(ふかこうりょく)と言いますか……」


「えっち!」


 フィアは布団から飛び出すと部屋の外に出て行ってしまった。

 しかし、すぐに戻って来て顔だけを覗かせた。


「……お手洗いはどこかしら」


 顔を赤くして視線を逸らしながら言ってくる。

 思っていた反応と違って何というか、非常に可愛らしい反応だ。


 アニメ好きなのだから絶対に殴られると思っていた。

 暴力系ヒロインは基本属性の一つだからな。


 最初は大人っぽく見えたけど、取り乱した時やマリエルさん達と話す時の子供っぽい彼女。もしかしたら、これが本来の彼女なのかもしれない。


「トイレは部屋を出て、右に少し行った左側の扉の中だが……」


「ありがと……」


 フィアは小声でそう言うと行ってしまった。

 少し布団の上に座って何とはなしに壁を見つめた後、枕に顔を(うず)める。少し顔が熱くなって来た。


 彼女は仕事で来ているのだからそんな風に見てはいけないとは思うのだが、やばい。可愛い。


 これまで女性に接する機会がほとんどなかった身としては突然の過剰摂取(かじょうせっしゅ)だ。

 しばらくそのままで心を落ち着ける。


「……そうだ。朝ご飯を作らないとな」


 雷人はなんとか平静を取り戻すと、手早く着替えキッチンへと歩き出したのであった。

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