表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
SSC ホーリークレイドル 〜消滅エンドに抗う者達〜   作者: Prasis
フロラシオンデイズ 第三章~ナンバーズウォー~
177/445

3-70 狂える姫の暴走は天災に等しく3

「さあ、成神(なるかみ)君。あなたの言う力を合わせるで、この危機を(だっ)して下さいな。その様子を私は特等席(とくとうせき)で見させてもらいますわ」


 彼女がそう言い()みを浮かべた次の瞬間、目の前には先程よりも(はる)かに巨大に見える岩山があった。


 視界一杯(しかいいっぱい)(おお)()くすほどの大きさ。

 威圧感(いあつかん)などと言う言葉では片付けられないそれが、目の前にあった。


「何、が?」


 瞬間気付いた。

 風を強く感じる。


 これは風人の力じゃない。

 実際に俺は、落ちている!


 その時、(となり)から声が聞こえた。

 暴風で非常に聞こえにくいが、身体強化で聴力も上がっているので何とか聞き取ることが出来た。


「どうですの!? 万策(ばんさく)()きましたかしら!? ……ふふ、特等席ですわ! この都市の終わりを一緒(いっしょ)(むか)えようじゃありませんの!」


「ふざけるなよ!」


「はい!? まだ(あきら)めませんの!?」


「誰が諦めるかよ! やってやる! ただし! これを乗り切ったらバカな考えは捨ててもらうぞ!」


「……良いですわ! やれるものなら! やってみて下さいな!」


「よし! 言質(げんち)取ったからな! ……フォレオ!」


 端末に向かって叫ぶと、これだけの騒ぎがあったというのにもしや寝ていたのか、ふにゃっ!?と驚いたような声が聞こえた。


 そしてすぐに事態に気付いたらしく声を上げた。


「はぇ!? なななな、何ですかこれ!? 一体どういう状況ですか!?」


「あれをぶっ(こわ)す! 地上に被害(ひがい)が出ないように頼むぞ!」


「は、はは、あれを壊す……ですか? そんなの無茶(むちゃ)ですよ……ああ、もう! 最大限サポートしてあげますよ! どうぞ!」


「ありがとう! よし! いくぞ!」


 天衣さんが事を起こすと言ったその瞬間から俺は力を()めていた。

 今までで最高レベルまで()めたカナムをぶつけてやる!


 とはいえ、ただ全力でぶつけるだけでどうにかなるとも思えない。

 だから、これまでの全てを()めてやる!


 まずは深呼吸をして極限(きょくげん)まで集中する!


 手を銃の形に、カナムを指先に集めて圧縮(あっしゅく)、同時に雷輪(カナムリング)を何重にもイメージし、今もなお落下を続けている岩山に向けて、無数の雷輪(カナムリング)で出来た砲身(ほうしん)を作る!


 それを見た天衣さんが横で息を()む。


「な、何ですの!? それは!?」


「終わりになんてさせるかよ。無理だなんて言わせない。俺が奇跡(きせき)って奴を見せてやる! これが今の俺に出来る……全力だあああああああああああぁ!!」


 その叫びと同時に指先に圧縮(あっしゅく)したカナムを放出。

 全身全霊(ぜんしんぜんれい)授雷砲(じゅらいほう)を放つ。


 放たれた極太(ごくぶと)の光は雷輪(カナムリング)を通る度にさらに加速する。

 エネルギーを(たくわ)えていく。


 そして、過去最大威力の授雷砲(じゅらいほう)が岩山の中心を(とら)えた。


「いっけええええええええええぇ!!」


 放たれた光はその高熱で岩山を真っ赤に、いや、それを()えて白熱(はくねつ)させる。

 (またた)く間に岩を溶かした熱線は、十秒程かけて巨大な岩山を貫通した。

 しかし……、


「そんな……」


 確かに授雷砲(じゅらいほう)は岩山を貫通した。

 だが、貫通したは良いものの、結局岩山は大きな穴が開いただけでその形を(たも)っている。


 依然(いぜん)として大質量を備えたそれがそのまま落下してくる。


 穴が空こうが関係などない。

 このまま衝突(しょうとつ)すれば、結局ラグーンシティは壊滅的(かいめつてき)打撃(だげき)()うだろう。


 どうする? どうする!?

 どうすればいい!?


 何か、何かないのか?

 この状況を打開(だかい)する(さく)は……!?


 その状況を見て、隣で放心(ほうしん)していた天衣さんが(わら)った。


「あは、あははははははははは! 見事でしたわ! 大口を叩くだけはありましたわね! でも、どうやら足りなかったみたいですわ! さっきの砲撃(ほうげき)! 一体あと何発()てますの!?」


 もう撃てないと分かっているのだろう。

天衣さんが勝ち(ほこ)ったかのように笑う。


 確かに授雷砲(じゅらいほう)はもう撃てない。

 流石に余力(よりょく)が足りないし、同じだけのカナムを()める時間もない。


 まさかこんな事態になるなんて、万事休(ばんじきゅう)すか……!


 そう考えたその時、下から無数の何かが飛んで来て岩山を穿(うが)った。

 恐らくフォレオの放った銃弾(じゅうだん)だ。


 見た感じ水の弾ではない。

 威力(いりょく)を優先した結果だろう。

 しかし、それもこれだけのデカ物が相手では()け石に水だ。


 と思ったら遅れて大きな何かが飛んで来て爆発した。

 あれは、九連装ロケットランチャーのミサイルか。


 続いて様々な弾丸が飛来(ひらい)し、どんどん岩山を(けず)っていく。

 だが、やはり決定打(けっていだ)()ける。


 ダメだ。あれでは全然足りない。

 そう思った時、意味もなく岩山に向かって伸ばした手が一瞬(いっしゅん)光ったのが見えた。


 何の事は無い。それはただ単に、指に()めていた指輪(スキルリング)が日光を反射しただけだった。


 ん? この指輪(スキルリング)……。

 そう思った時、耳元で声が響いた。


「雷人! やっぱりうちの武器では火力が足りません! (さいわ)いさっきの雷人の一撃で大きな穴が空いていますから、大きな衝撃(しょうげき)を与えてやれば割ることは出来るかと思います。ですが、うちは元々手数(てかず)主体で主武器はライフルです。あれほどのデカ物を破壊するような武器は持ち合わせていません。ロケットランチャーでも無理となると、もはやうちではどうしようもありませんよ……」


「……なるほど、大きな衝撃……か。そうか、試す価値(かち)はあるな」


 その瞬間、雷人の顔が(あせ)りから笑みに変わる。

 その光は、まさに暗闇に差す一筋(ひとすじ)光明(こうみょう)だった。


「はい? 何か言いましたか?」


「ありがとうフォレオ! やってみる!」


「うち何も言ってないんですけど!?」


 上手くいくかどうかは分からない。

 でも、やれることは何でもやるべきだ。


「地上まであと数十秒といったところでしょうか!? もう(あきら)めたらどうですの!?」


 その言葉に俺は不敵(ふてき)()みを浮かべた。

 それを見た天衣さんが顔を(ゆが)める。


 少しでも可能性があるのなら……手を伸ばさずにいられるかよ!


(あきら)めるわけないだろ! ……最後の、最後まで!」

「面白い」「続きが気になる」と感じたら、

 下の ☆☆☆☆☆ から評価を頂きたいです!


 作者のモチベーションが上がるので、応援、ブクマ、感想などもお待ちしています!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ