表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
SSC ホーリークレイドル 〜消滅エンドに抗う者達〜   作者: Prasis
フロラシオンデイズ 第三章~ナンバーズウォー~
146/445

3-39 VSフォレオ7

「あなたの実力は十分理解しました。今度はこちらの番です。どうぞ、味わうと良いのですよ!」


 そう言って張られた弾幕(だんまく)はやはり拳銃とは思えないほどに厚い。

 一発一発の威力(いりょく)は雷盾で防げる程度だが、やはり拳銃でも弾丸は操れるみたいだ。


 四方八方から飛んで来る弾丸に集中を切らせばやられてしまいそうだ。

 それにしても……。


「くそ、ずっと思ってたんだが弾切れしないのか? 一体何発入ってるんだよ、それ! 本当に拳銃か!?」


「ふふふ、良いところに気付きましたね、お兄さん。この拳銃はウルガスに(つく)ってもらった私専用の拳銃なんです。フォレオスペシャル二号。カッコよくないですか?」


「フォレオスペシャル二号? いや……ネーミングセンスはこの際置いておくが、一号があるのか?」


「ありますよ? 最初に使ってた狙撃ライフル。あれが一号です」


「ははは、じゃあガトリングとかショットガンとかは三号、四号ってか? 一体幾つまであるんだよ」


「それは……お楽しみってやつですね」


 その言い方、まだ見てないのがあるんじゃないだろうな。

 というか思わずツッコんじゃった所為(せい)で話が()れたけど、特別製とか関係なくないか? 結局、弾はどれだけ入ってるんだよ。


 その時、ふとあることに気が付いた。

 おかしい、無い、無いぞ。

 周りを見てもあるはずのあれが無いのだ。


「全部(はじ)いてるのに……弾丸が一つも落ちて無い?」


「あれ、やっと気付いたんですか? 今うちが撃ち出してるのはただの弾丸じゃなくて水の弾丸なんです。ふふふ、ちゃんと圧力を()ければ、水だって充分な威力(いりょく)になるんですよ」


「……っ!」


 なるほど、そういえば銃撃音(じゅうげきおん)もほとんど無い。

 もっと早くに気付くべきだった。


 そうだとすればこの弾はフォレオの能力で作ってる物。

 フォレオの主武器は銃だけじゃなくて、銃と水を操作する能力の複合だったのか!


 つまり、フォレオは生命力(アニマ)が切れるまでは撃ち続けられる。

 これでは弾切れは望めそうにないな。

 

「くそ、これ以上は()えられないか」


「ほらほら、守ってばかりじゃ勝てませんよ」


 周囲に展開している雷盾に段々(だんだん)と穴が空き始める。

 ずっと集中を続けるのはなかなかに厳しい、雷盾を維持(いじ)出来ない。


 このままでは結局何も出来ずに終わってしまう。

 そうなるくらいなら……、一か八かもう一度接近する!


「すぅ、はあああぁぁぁ! 授雷砲(じゅらいほう)!」


「え? いきなり何なのです!?」


 俺は手で銃の形を作ると可能な限りカナムを指先に集め、前方に向かって解き放った。

 即席(そくせき)でやったとはいえ、充分な威力を発揮(はっき)するカナムの奔流(ほんりゅう)(せま)る水弾を蒸発させながら突き進んでいく。


 しかし、流石に全てというわけにはいかず、巻き込む事が出来なかった数発の水弾が足に当たる。


「ぐぁ! ま、だぁ!」


 しかし、走る痛みに耐えて地面を強く()る。

 視界を()()くしていたカナムの奔流(ほんりゅう)は一瞬で遠ざかり、視線の先には体勢を(くず)しつつもそれを(かわ)しているフォレオが見えた。


 授雷砲(じゅらいほう)が通り過ぎたのを確認すると、こっちに視線を向けたフォレオはすぐに体勢を立て直してこちらに銃を向けた。


 その立て直しの速さは流石の一言だ。

 だが、それでも距離は()まった。


「威力は(すご)いみたいですが、当たらなければ意味ないですよ!」


「ご忠告(ちゅうこく)どうも、知ってるよ!」


 再び放たれる水弾を()び上がって(かわ)し、空中に足場を作って縦横無尽(じゅうおうむじん)にスーパーボールが密室で跳ね回るかのように高速で跳び回る。


 結構難しいし体への負担(ふたん)もあるが、狙い通りフォレオはこちらの動きに対応し切れていない。

 誘導出来る弾丸も補足出来てなければ意味がない。弾丸は一発も(かす)りすらしない。


「その動き、やっぱり厄介(やっかい)ですね。まるで曲芸です!」


(とら)えたぞ!」


 一度(かわ)されていることを(かんが)みて、フォレオの斜め後ろ上方から跳び掛かり、しゃがんでも避けられないように攻撃を仕掛ける。


「これで、って!?」


「悪いですが、うちは銃専門じゃありません。接近戦も出来ますよ。ほらっ!」


 無防備な背中を切りつけようとしたのだが、今度は(かわ)すことなく、振り返りすらせずに器用に拳銃で受け止められてしまった。さらには、いきなり拳銃の先から刃が飛び出して腕を(かす)めた。


 隠し刃!?

 接近戦も()り込み済みと言うのは(うそ)ではなさそうだな……。


 だとしても、ここで引くわけにはいかない。

 フォレオが対応出来ようが、ここが俺の間合いだ。ここでやらないでどうするんだ!


 俺は逃げないように自身に(かつ)を入れたのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ