3-37 VSフォレオ5
雷輪を高速回転させて飛んでいる俺は走っている時よりも格段に速い。
フォレオも立ち上がって撃ってきたが、俺が上空を飛んでいることもあって距離があるため掠りもしない。
流石に無理だと判断したのかフォレオはライフルを異空間に捨て、何かを取り出した。かなりの大口径に見えるし、砲門が九個もある……って!
「ミサイルかよ!?」
俺が叫ぶと同時、フォレオが構えた九連装ロケットランチャーからミサイルが放たれる。というか、次々に異空間から取り出して馬鹿みたいに撃ってきてやがる。容赦とかないのか!
「くそっ、迎撃するしかない!」
大型ロボットのミサイルくらいなら雷弾射撃からの雷弾解放でも何とか出来ていたが、今回は流石に数が多すぎる。
一発一発は大型ロボットのそれより小さいが、食らったらまずいのは間違いないだろう。
くそ、だったら雷弾解放以上の広さの面で受け止めるしかない!
「雷弾生成」
カナムをため込みつつイメージを練る。
多数のミサイルを一つ残らず捕まえる。そう、イメージするのは網だ。
「よし、いくぞ! 雷網捕縛!」
蜘蛛の巣をイメージした網状に広がるカナムで第一陣のミサイルを絡めとる事に成功した。
どうやらすぐには爆発しないみたいだな。……そうだ。
「良い事思いついた。利用させてもらうぞフォレオ! 雷輪、全力回転!」
俺は全速力で後から迫るミサイル群の間を雷網を引っ張りながら通り抜けた。
眼下のフォレオの顔が驚愕に染まる。そして、ミサイル群を引っ掛けた雷網と後続のミサイルが衝突し爆発。
数十個のミサイルの誘爆、その非常に強烈な爆風が全速力の雷人を後押しする。
そして、その勢いのまま上から下へ漸近線を描くかの様にしてフォレオ目掛けて突き進んだ。
フォレオはその場から退避しながらガトリングで牽制の弾をばら撒いた。
だが、今の俺は制御出来るギリギリラインの超高速だからな。弾道を弄れるフォレオと言えど当てるのは難しいみたいだ。
運よく当たった数発も風除けに使っていた雷盾に阻まれ、俺を撃ち落とすことは出来なかった。
そして、俺は属性刀を構えてフォレオ目掛けて突っ込んだ。
「このまま! 切る!」
「いくら速くても! 軌道が見え見え、なのですよ!」
雷人はタイミングを合わせて属性刀を振り切った。その一閃はフォレオの持っていたガトリングを易々と切り裂いたが、あと一歩でフォレオには届かなかった。
そして、そのまま骨組みの間を通り抜けた雷人は空へと上昇しながら勢いを殺し、フォレオの立つビルの骨組みに降り立った。
「ようやく会えたな、フォレオ。さぁ、ここからが本番だ」




